‾‾‾‾
「声の底で」
想太Side
放課後のカラオケは、僕だけの秘密の箱
壁に跳ね返る声が部屋を満たす
それは僕だけの音 僕だけの時間
歌うとき、世界は少し溶けて
空気の一粒一粒まで揺れている気がした
声が体を通り抜けて胸の奥の何かが そっと顔を出す
画面の文字が光を放つ
『覗き込んだその瞳は 解き明かす謎の虜』
歌うことが好き―――
そんな簡単な言葉では収まらない
ただ 音の波に身を預けると現実の重さは遠くへ流れていく
僕の声は僕だけのもの
なのに 世界に届いてしまう気がして――
『愛して 満たして 入り交ざるBlack and White』
歌詞の一つ一つが僕の内側で光り震える
誰かに見せるためじゃない
ただ この声が僕を運ぶ
声と心が絡み合って、僕はここにいると確かめている
ガチャッ
ドアの音
誰かが入ってきた気配
部屋の空気がわずかに震える
僕は歌い続けた
声が部屋を満たして、知らない誰かを巻き込むように広がる
曲が終わると 静寂が押し寄せる
胸の奥に小さなざわめきが残る
あれはだれだったのだろう
なぜか自分の声の影が 見えない糸に引かれる気がした
翌日――――
教室に入ると、いつもと変わらないざわめき
机に向かい席に着く
いつもどうりの風景 いつもどうりの空気
―――胸の奥には昨日の余韻がまだくすぶっていた
授業が始まる
先生の声が遠く、黒板の文字がぼんやり揺れる
クラスメイトの声も友達の笑い声も どこか他人事のように聞こえた
頭の中で昨日の歌がリフレインする
声が脳に響き渡り、胸をじんわり満たす
僕はただ声を愛していた―――――
誰かに聴かせるわけでもなく、ただ声そのものが好きだった
昼休みも放課後も時間は静かに流れた
教室のざわめきと廊下を歩く足音のリズムが昨日と今日を繋ぐようで
思考が、心が、歌の余韻に引っ張られて現実の端っこに漂っていた
―――放課後、
教室には人が少なくなっていた
窓から差し込む夕陽は、部屋の奥まで届く
息をつくと、静寂の中に自分の呼吸が大きく響いた
ふと見ると、 折りたたまれた紙があった
僕あての手紙―――誰が置いたのか、教室には誰もいない
文字は丁寧で、でもどこか震えていて、
「昨日の歌、もう一度聴きたい。場所は下にある 」
僕は息をのむ
ただ声を、歌うことを愛してるだけなのに――――。
世界のどこかで、僕の声はすでに誰かを動かしているらしい
――――
コメント
2件
え、、え、、投稿してる‼️‼️ 嬉しい‼️てか語彙力の暴力すぎて流石にやばいんだけど…⁉️😿😿 冗談抜きで私より語彙力あるからバズるべき🙊🙊