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第12話 「呼べないキモチ」

「――キョースケ!」

夏実の声が、別の声にかき消された。

声が止まった夏実と、京輔、史花の三人は、声に引き寄せられた。

京輔の後ろから、ひょこっと一人の女性が姿を現した。

しっぽの短いポニーテールが印象的な彼女は――里(り)奈(な)。

「!」

「何?」

「いいからいいからー」

里奈は首を傾げる京輔に対してニヤニヤ笑うと、すぐに夏実へ視線を移した。

「ちょーっとだけキョースケ借りていー?」

「いいも何も、篠塚が決めることだし」

「だってさキョースケ!」

「悪い。ちょっと行ってくる」

「いってらっしゃい」

「……」

へらっと笑う夏実と無言の史花が見送り、京輔は食堂の端の席まで里奈に連れていかれた。

たまに京輔と一緒にいるのを見たことがある男女が四人くらい固まっていた。

京輔の髪をくしゃくしゃに撫で回したり、脇腹をつついたり、楽し********

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両片思いをこじらせている二人の話。

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