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ミリ - 風詠みの騎士
年齢: 20歳
性格: 快活で自由奔放、しかし責任感は強い
容姿: 金色の短髪、深緑の瞳、軽装の騎士服
能力: 「風詠み」──風の流れを読むことで、敵の動きを予測し戦況を有利に運ぶ
背景: 元王国騎士。武力よりも戦場の流れを読むことを重視し、独自の戦闘スタイルを築く。王国の腐敗に嫌気がさし、放浪の旅を続けていたが、神殿の予言を聞きつけて仲間に加わる。
年齢: 18歳
性格: 冷静沈着、使命感が強いが時折優しさを見せる
容姿: 銀髪に紫の瞳、薄い青色の神殿衣
能力: 「神託の声」──煌天竜の言葉を聞き取ることができる
背景: 神殿に仕える巫女として育てられたが、実は自身の役割を知らぬまま過ごしていた。神殿の封印が弱まるにつれ、彼女に課せられた本当の使命が明らかになっていく。
年齢: 22歳
性格: 皮肉屋だが仲間思い、過去の罪を背負いながらも未来を求める
容姿: 黒髪に赤い瞳、機械式の片腕(錬金術による義手)
能力: 「創造の錬金術」──物質を一時的に自在に変化させる能力
背景: かつてルカと共に錬金術を学んだが、王国の陰謀によって故郷を失い復讐を誓った。しかし、仲間と共に旅をする中で、本来の自分を取り戻し、錬金術を破壊の手段ではなく創造の力として使い始める。
年齢: 21歳
性格: 無口で冷静、しかし仲間を守ることに関しては誰よりも熱い
容姿: 黒髪に金色の瞳、右腕に封印された闇の紋章を持つ
能力: 「夜影の力」──制御された闇の力を解放し、強化した一撃を放つ
背景: 異国の血を引く少女。王国の影の騎士団「黒閃騎士団」に囚われていた過去を持ち、そこから脱出して戦い続けている。自分の力を完全に制御できていないため、仲間を守るために極力封印しているが、神殿での試練を経て真の力を目覚めさせることになる。
月光が大地を白く照らし、静寂の中に風の囁きが響く。エルミナリアの辺境、深き霧に包まれた森の奥に、四人の影がゆっくりと進んでいた。
「ここが『契約の神殿』へ続く道……か。」
先頭を歩くミリが立ち止まり、風の流れを読むように目を閉じる。彼女の感覚は、この場所に潜む異変を敏感に察知していた。
「妙だな……風が途切れてる。」
リリアは静かに歩みを止め、手にした巫女の杖を握りしめた。神殿に仕える彼女は、この地に古の力が眠っていることを知っていた。
「神殿の封印が弱まり、何かが目覚めようとしている……私たちを試しているのかもしれないわ。」
カナデは錬金術の紋章を手のひらに浮かべ、慎重に周囲を観察した。「試されるのは得意だが、敵意を持たれてると面倒だな。」
そんな彼らの背後に、静かにサヤが立っていた。彼女の右腕には闇の紋章が刻まれており、その力を隠すように黒い包帯を巻いている。
「……進むしかない。」
そう呟くと、彼女は静かに一歩を踏み出した。その瞬間――
ゴオォォォン……!
地の底から響くような轟音が鳴り、森の奥にそびえる巨大な門が開かれた。そこに刻まれた古の文字が淡く光り、四人を迎え入れようとしていた。
契約の神殿が、彼らを試す時が来た。
霧の森を抜けると、四人の前に巨大な門がそびえ立っていた。門は石と金属の融合した荘厳な造りで、表面には古の文字が刻まれている。微かに光るそれは、まるで生きているかのように脈打っていた。
ミリが剣の柄に手を添えながら門を見上げる。「……まるで意思を持ってるみたいだな。」
リリアがその文字を注意深く読み取る。「これは神殿に入る者への試練……神聖なる契約を結ぶ資格があるかを問われるの。」
カナデは腕を組み、「試練ってのは、つまり……戦うってことか?」と呟く。
すると、門の中央から光が放たれ、地面が震えた。ゴォォォン……!
石の門が徐々に開かれ、その内側から影が現れる。人ではない――それは、神殿の守護者だった。
漆黒の鎧を纏い、無数の目を持つ幻獣。その視線は冷酷で、一切の感情を持たない。
「契約の試練を受ける者よ。汝の覚悟を示せ。」
その声は直接頭に響き、四人の心を貫いた。
ミリは剣を構え、冷笑した。「覚悟なら、とっくにできてるさ!」
リリアは杖を掲げ、巫女の力を解放する。カナデは錬金術の紋章を手のひらに輝かせた。
そして、サヤは静かに右腕の封印を解き、黒き光を滲ませる。「……すぐ終わらせる。」
光と闇が交錯し、試練の門が開かれた。
嵐のような闘いの中、ミリの剣が風を切り裂き、リリアの神託が輝きを増していく。カナデの錬金術が次々と形を変え、サヤの闇の力が敵を翻弄していた。
しかし、守護者は容易く倒れる相手ではなかった。その漆黒の鎧は魔力を吸収し、何度傷つけても再生する。
「……しぶといな。」ミリが息を整えながら言う。
「このままじゃキリがないわ。」リリアの声には焦りが滲む。
カナデは地面に手を当て、錬金術の紋章を浮かべた。「……なら、こいつを利用するか。」
すると地面の石が彼の魔術によって変化し、黄金に輝く刻印を描いた。
「これを爆破すれば、一瞬だけ守護者の力を封じ込められる……その隙に全力を叩き込め!」
ミリは笑みを浮かべながら剣を構え、リリアは神託の力を最大限まで引き上げた。サヤは静かに右腕の封印を完全に解き、黒き炎を纏った。
「いくぞ!!」
カナデの爆破と同時に、ミリの剣が煌めき、リリアの光が降り注ぐ。サヤの闇がうねるように敵を包み込み、瞬く間に守護者の動きが止まった。
轟音と共に、試練の門が崩れ落ちる。
静寂が訪れ、彼らの前に新たな道が開かれた。契約の神殿へと続く、本当の試練が始まろうとしていた。
試練を突破したミリたちの前に広がるのは、果てしなく続く神殿の回廊だった。静寂が支配する空間――古の魔力が微かに脈打つ。
リリアが神託の杖を掲げると、淡い光が回廊を照らした。「ここから先は、契約を交わす場……だと思う。」
ミリは剣を肩に担ぎながら歩を進めた。「なんだか静かすぎるな……逆に落ち着かねぇ。」
カナデが慎重に壁の紋様を触れながら呟く。「この神殿、そのまま朽ちてるわけじゃない……まだ生きてる。」
彼の言葉に、サヤは鋭い視線を周囲へ向けた。「……気配がある。」
その瞬間、回廊の先にある扉がゆっくりと開かれた。
扉の向こうに広がるのは、空に浮かぶ巨大な円形の祭壇。中央には、一対の石像――竜の姿を象ったものが鎮座している。
リリアが息をのむ。「これは……煌天竜の祭壇。」
すると、祭壇の中心に刻まれた文字が淡い青光を放ち始めた。
「契約の者よ――答えよ。汝は何を望む?」
その声は、まるで天から降る神託のように響き渡った。
ミリ、リリア、カナデ、サヤ――四人は、各々の覚悟を胸に、祭壇へと歩み寄る。
試練を超えた先に待つものは、単なる契約ではない。
彼らの運命を決する約束だった。
煌天竜の祭壇の前で、四人は静かに立ち尽くしていた。青白く輝く文字が空間に浮かび、問いを紡ぐ。
「契約の者よ——答えよ。汝は何を望む?」
その声は、ただの音ではなかった。意識の奥底まで響き渡り、魂そのものに問いかける力を持っていた。
ミリは剣を握りしめ、口を開いた。「私は……この剣で未来を守りたい。」
風詠みの騎士として、自らの力が仲間を導くものであると信じていた。だからこそ、この契約が必要だった。
リリアは胸の前で手を組み、静かに祈るように言った。「私は真実を知りたい……この神殿の使命を、そして煌天竜の意志を。」
巫女としての宿命を背負う彼女は、この問いに導かれるように答えた。
カナデは短く息をつき、腕を組んだ。「俺は力が欲しい……ただの破壊じゃなく、本当の『創造』の力を。」
錬金術師として、過去の罪を背負いながらも未来を創りたいという思いが、言葉となって紡がれる。
そして最後に、サヤが静かに目を閉じた。「私は……闇に囚われることなく、仲間と共に生きたい。」
彼女の腕に宿る闇の紋章が淡く光る。その闇は、長らく彼女を支配していた。しかし今、彼女はそれを乗り越えようとしていた。
祭壇の光が強く輝き、再び声が響く。
「その望み、契約の証とせよ。」
瞬間、石像に刻まれた煌天竜の目が開かれた。
契約が成立したのだ。
祭壇の中央で煌天竜の石像の瞳が開かれた瞬間、眩い光が空間を満たした。天から降り注ぐ神聖な輝きが、四人の身体を包み込んでいく。
ミリは剣を握りしめ、その感覚の変化に気づいた。「……これは?」
彼女の剣が風と一体化し、周囲の気流を読み取る力がさらに研ぎ澄まされていた。
リリアは神託の杖を胸に抱え、呟く。「煌天竜の声が……より鮮明に聞こえる。」
彼女の心に直接語りかける意志が、今までとは比べ物にならないほど強くなっている。
カナデは拳を握り、自身の錬金術が新たな形を生み出すのを感じ取った。「創造の力が……俺自身と共鳴している。」
これまでの錬金術は物質の変化に留まっていた。しかし今、彼の意識が直接物理法則に干渉し始めている。
そして、サヤは静かに右腕を見つめた。「……闇が、私に抗っていない。」
彼女の封印された力が、ついに完全なる支配下に置かれた。
その時、祭壇の中心から再び声が響いた。
「汝らの契約は成された。だが、試練は終わりではない。」
次の瞬間、神殿の奥へと続く扉が開かれた。
新たなる試練が、彼らを待ち受けていた。
神殿の扉が開いた先には、広大な空間が広がっていた。天井は見えず、淡い光の渦がゆらめく異空間。空気は張り詰め、まるで何かが潜んでいるかのようだった。
ミリは剣を握りしめ、周囲を警戒する。「……気配がある。」
カナデは錬金術の紋章を輝かせながら息をついた。「この空間……魔力が異常に濃いな。」
すると、その中央に浮かぶ階段の先に、一人の女性が立っていた。
長く艶やかな漆黒の髪、燃えるような紅玉の瞳。漆黒のローブには龍の紋様が刻まれ、指先には赤黒い魔力が脈打っている。
エミリア。龍魔術の使い手。
彼女は静かにミリたちを見下ろし、口元に冷笑を浮かべた。「ようやく来たのね……契約の者たち。」
リリアは眉をひそめ、祭壇の煌天竜の気配を感じ取る。「……この神殿の力を奪おうとしているの?」
エミリアは肩をすくめた。「奪う?いいえ、これは私のものよ。龍の力は血統ではなく、支配する者が持つべきもの。」
その瞬間、彼女の背後に巨大な龍の幻影が現れた。紅蓮の瞳を持ち、神殿の魔力と融合している――まるでエミリア自身と一体化しているかのようだ。
カナデが苦笑しながら呟く。「こりゃあ、交渉の余地はなさそうだな。」
ミリは剣を構え、風を纏いながら冷静に言った。「だったら――戦って決めるしかないな。」
エミリアは満足げに笑い、龍魔術の紋章を刻みながら宣言した。
「龍の咆哮に沈みなさい――契約の者たち。」
次の瞬間、空間が歪み、龍の炎が襲いかかる。
エミリアの龍魔術が空間を揺るがし、紅蓮の炎が四人を飲み込もうとする。
「くそっ、こんな力……!」ミリが剣を振るい、炎を断ち切ろうとしたが、龍の魔力はまるで意思を持っているかのように彼女を追い詰める。
リリアは煌天竜の声を聞き取ろうと試みた。「この力は……単なる攻撃じゃない。まるで、生きているみたい。」
カナデは錬金術の術式を組みながら言った。「なら、こちらも創るしかねえな。俺たち自身の意志を!」
その言葉に、サヤは静かに瞳を閉じ、闇の力を制御した。「……私たちの力が交われば、何かが変わる。」
その瞬間、四人の持つ力が呼応し始めた。風、神託、錬金術、闇。まるで世界の法則が再構築されるかのように、彼らの魔力が融合し、神殿の空間に新たな輝きが生まれる。
意志。それは単なる力ではない。新たな生命の息吹だった。
光の中から姿を現したのは、黄金の翼を持つ龍。煌天竜とは異なる、彼ら自身が創り出した存在。
エミリアは驚きに目を見開いた。「……そんな、これは何?」
ミリが笑みを浮かべ、剣を掲げる。「お前の龍魔術に対抗できる、新たな存在さ!」
リリアは神託を紡ぎ、カナデは創造の紋章を浮かべる。そしてサヤは闇を解放しながら、その龍の意志と共鳴した。
四人の力が生み出した新たな意志。それは、運命を変える存在だった。
黄金の翼を持つ新たな龍が空間にその存在を示した瞬間、神殿全体が震えた。まるで世界の理そのものが書き換えられているようだった。
ミリたちが生み出したこの存在は、エミリアの龍魔術をも凌駕する力を秘めていた。
エミリアは顔を歪め、再び魔力を練り上げる。「こんなもの……私の龍が打ち砕いてやる!」
彼女の背後の竜が咆哮を上げ、血のような炎が神殿を焼き尽くそうとする。しかし、それを前にして、ミリは笑みを浮かべた。「悪いけど、ここまでだ。」
風が剣に集い、リリアの神託が煌天竜の声を具現化し、カナデの創造の錬金術が輝きを増す。サヤは闇を完全に制御し、その力を龍の存在へと繋げた。
四人の意志が交わり、黄金の龍がエミリアの魔力を包み込む。
「意志とは、支配するものではない。共鳴し、未来を創るものだ。」
その言葉と共に、黄金の龍が大きく翼を広げ、空間を光で満たした。エミリアの龍はその輝きに飲み込まれ、その咆哮と共に消滅する。
エミリアは膝をつき、静かに呟いた。「……これが、お前たちの力……」
ミリたちは剣を収め、リリアは微笑んだ。「あなたが支配しようとした力は、私たちが創ったものとは違う。」
カナデは腕を組みながら言う。「悪くない戦いだったけど……次はもっと良い使い方を考えるんだな。」
サヤは静かにエミリアを見つめ、呟いた。「……あなたの魔術は消えない。ただ、変わるだけ。」
神殿の空が晴れ、新たな光が世界を照らした。
ミリたち四人は、それぞれの力を手にし、契約の神殿を後にする。
そして、彼らの新たな旅が始まる。
これは終わりではない。新たなる約束の始まりなのだから。
お読みいただきありがとうございます♪
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