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焼け残った一室、元は政府の使っていた高級旅館。今は占領軍のために使われている。
その床に、日本帝国は跪かされていた。
アメリカは椅子に腰を下ろし、足を組み、じっと彼を見下ろしていた。
その表情はどこまでも穏やかで、逆に不気味なほどだった。
「お前ってさ、ほんとに……不思議な奴だよな」
「……貴様に、理解されるつもりなどない」
「理解なんて、最初から求めてないよ。ただ……気になるだけだ。
どうして、そんな目をして俺を見るんだ?」
アメリカが立ち上がり、歩み寄る。
その足音だけが部屋に響く。
日帝は睨み上げた。けれどその瞳には、怒りよりも、別のものが滲んでいた。
悔しさ、痛み、そして……名もない渇き。
アメリカはその顎をつかみ、顔を無理やり持ち上げさせた。
「敗けたのはお前だ。立場も、力も、全部、俺が上。
でも……そうやって俺の手を受け入れるのは、初めてじゃないだろ?」
その言葉に、日帝の肩がわずかに震えた。
唇を噛み、視線を逸らす。だけどその仕草は、拒絶ではなかった。
アメリカは口角を上げ、そっとその耳元に唇を近づけた。
「なあ、あの夜のこと、忘れたとは言わせないぞ?」
一瞬の静寂。
日帝は何も言わず、ただ目を閉じた。
アメリカの指が、彼の襟元に触れる。軍服のボタンがひとつ、またひとつと外されていく。
そのたび、日帝の呼吸が浅くなる。
嫌悪の色は、もうそこにはなかった。
「これが罰だって思うなら、それでもいい。
でも……その体は、俺を受け入れてる。ずっと、そうだった」
ベッドに押し倒される音。
重なる体温。
交わる視線。
そして、名もない衝動が、またひとつ夜を濡らす。
言葉よりも先に、指先と唇が真実を告げた。