テラーノベル
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昨日とは違う事務所に到着し、車から降りる。昨日の夜の雪が溶けて凍ったのか、地面はキラキラと太陽を反射していた。山中は慎重に1歩目を踏み出すと思ってたよりも滑らなかった。
さっきまで寝ていた吉田ももう脳みそを覚醒させ、シャキッとしていた。
二人で事務所に入り、楽屋に向かう。この事務所もまた、昨日のとこと同様完全に空調が整っており、入った瞬間から暖かかった。楽屋の扉を開けると3人はもう到着していた。佐野は奥の方で一人、スマホを見ている。目だけを今入ってきたばかりの2人に向けると、すぐにまたスマホに目線を落とした。
「あれ?2人一緒に来たん?」
「うん。昨日じんちゃんうちに泊まったから。」
山中は佐野に聞こえるようにわざと大きな声で言った。いつもの小ボリュームの声ではない。山中の思った通り、佐野はそれを耳にするとバッと山中の方を見た。佐野の顔は俺のものに触れるなとでも言いたげな怒りの顔だった。
やっぱり昨日までのはやちゃんは偽りなんだね。
予想は確信に変わった。さっきまでスマホを見ていたはずなのに佐野のスマホは真っ暗だった。それはスマホなんかよりも吉田の様子を伺っていたことを示していた。まだ撮影までに時間があるため山中は佐野を呼び出した。
曽野と塩﨑に〇ぬほど心配されたが山中は大丈夫なことを確信していたため普通に話すだけだと2人を落ち着かせ、楽屋を後にした。その背中を吉田は心配そうに眺めていた。
佐野は大人しく山中について行った。人気のない非常階段まで来ると山中はくるりと佐野の方に振り向いた。スカートみたいなパンツがひらりと揺れる。それを佐野はつい目で追ってしまった。
「はやちゃんさ。昨日何があったの?」
「……は?なんのこと。」
「もういいからそういうの。さっさと答えてよ。」
いつもの山中の優しい雰囲気からは想像もできないほどの冷たい声に佐野の首元をゾクリと冷気が通り過ぎた。
「じんちゃんをあんなふうに傷付けて。俺本気で怒ってるんだけど。」
「……はっ。別に。ずっと思ってたこと言っただけだけど?何か悪い?てかお前に関係なくね?」
「関係ある。」
山中は即答した。山中は佐野の目をじっと見つめる。佐野から発せられる言葉に嘘はないか、強がりはないか見定めている。
一方佐野は山中の目を見れないでいた。目を見れば全てを暴かれる気がした。手をヒラヒラさせながら落ち着かない様子で目をキョロキョロさせている。
山中はふっと笑う。その様子に佐野はイラつきをあらわにした顔で睨みつける。
「……何がおかしいんだよ。」
「はやちゃん演技下手くそになった?全く動揺隠せてないけど。」
佐野は気付いて欲しかった。一人で抱えるには重すぎるこの問題を。佐野自身も気付いていなかった。
本能的に誰かに助けを求めていた。だから色んなドラマに引っ張りだこの佐野なら普通に隠せるはずの動揺が体にあらわれていたのだ。
「もういいからさ。話してよ。じんちゃんには言わない。はやちゃんが嫌ならだいちゃんにも舜太にも話さないから。」
「……柔太朗。」
「うん。聞くから。何があったのはやちゃん」
佐野だけをまっすぐ見つめるその瞳に佐野は甘えたくなってしまった。昨日自分の手で、言葉で愛する吉田を傷付けた佐野の心はもう限界を超えていた。
佐野は昨日の出来事を一からゆっくり話し始めた。何度も何度も言葉に迷いながら、それでも包み隠さず全てを。その間山中は佐野の手を握り、優しく頷きながら静かに聞いていた。
コメント
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のりもちさん、第9話読了したよ〜!!😭✨ 山中くんの「関係ある」の即答、マジで痺れた…!普段は優しいのに、大事な人のためには冷たい声で真正面から向き合う姿勢がかっこよすぎる。佐野くんの動揺を隠せない様子や「気付いてほしかった」っていう本音が切なくて、ずっと手を握って話を聞く山中くんの優しさにこっちまで泣きそうになったよ…💦 2人の関係性が深まる大事な回だったね!続きめっちゃ気になる〜!!🌸
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みえりな@多忙の為あまり居ない
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