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黒星
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未成年で、力の弱い僕には
この理不尽な暴力を前にして抗う術なんて何一つ持っていなかったのだ。
幸いにも、僕の片手は自由だった。
そしてズボンのポケットの中には、怜治さんと繋がっているスマホが入っている。
男は前を向いて僕を引き摺っている。
客観的に見れば、これ以上ない通報のチャンスが揃っているはずだった。
それなのに、もしスマホを取り出したことが男にバレたら
その瞬間に刃物で刺されるかもしれないという恐怖が脳裏にこびりつき
110番に通報することすら、今の僕にはどうしてもできなかった。
心臓が早鐘のように痛いほど脈打つのを感じながら
僕は自分の身体が今、最悪なことにヒートの真っ只中であることを思い出す。
(もしかして……っ、この人…僕がΩだって知っていて、狙った……?)
僕が気づかないうちに、フェロモンが漏れて衣服に染み出てたとか……っ?
うそだ、嫌だ…
今から僕、誰もいない場所に連れて行かれて、襲われるの……っ?
そんな恐怖に怯えて俯いていると、男が急に足を止めた。
「…っ?」
そこは周囲から完全に孤立した、錆びついた倉庫が付いている古い一軒家の前だった。
ここが一体どこなのか、なんて男に質問する暇もないまま
男は空いている片手で倉庫の重い鉄扉を開けるなり
「ほら。さっさと入れ」と、有無を言わせぬ冷徹な声で命令してきた。
「やっ…いや…っ、!!」
引き攣った声を上げ、僕は必死に地面を踏み締めて拒もうとした。
しかし、男はすぐさま
「口答えするな。さっさと入れと言っているんだ」
と、低く鋭い声で一喝してきた。
その般若のような恐ろしい形相と声色に完全に気圧されてしまった僕は
抵抗する気力を根こそぎ奪われ、開かれた暗い倉庫の中へと、恐る恐る歩を進めるしかなかった。
そして、僕の身体が完全に中に入った瞬間――
バンッ!!!という、鼓膜を破らんばかりの凄まじい勢いで鉄扉が閉められた。
「…なっ!だ、出して!!出してください!!」
閉じ込められて初めて我に返り、僕は必死に叫び声を上げた。
だが、鉄扉の向こう側からは
ジャリジャリ、ガチャン、という重い金属の擦れ合う音が虚しく響くだけだった。
嫌な予感がして、内側からドアノブを掴んで思い切り引っ張ってみたけど
案の定、外側から完全に強固に施錠されているようだった。
「おっ、お願いだから開けてください…っ!!」
バンバンバンっ!!!と、両手で壊れるくらいに扉を叩き、狂ったように助けを呼ぶ。
けれど、外はもうすっかり夜の帳が下りている時間だ。
コメント
1件
いやもう無理無理無理無理!!!😭💦💦 この絶望感やばすぎん?? スマホ持ってるのに通報できない恐怖がめっちゃ伝わってくるし、倉庫に閉じ込められるシーンで心臓バクバクしたよ…🥺 しかもヒート中でΩってバレてる疑惑とか重すぎてしんどい… 怜治さん早く助けに来てくれ~~~!!!🙏💕 続きが気になって夜しか眠れないんだが??🐱💫