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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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※甚だしい捏造


※非日常な日常話


※実在の人物、団体とは一切関係ありません。


※軍パロです。


※以上をふまえて大丈夫な方のみおすすめください。




ゆっくりしていってね






















『総員に告ぐ。エーミールを絶対に、その建物から出すな』


再度、グルッペンからの命令が、無線で全員に届く。


「命令は承知したが……。そもそもアイツが籠城を始めとる……」


鬱が苦虫を噛み潰したように顔を歪め、返答する。


『ああ。それは『エミさん』なりの『ヤツ』への抵抗やな』

『だが『ヤツ』は、虎視眈々と外に出る機会を伺っとるはずや。その時は…覚悟を決めろ』


「上の人は命令するだけで,気楽ですなぁw」


皮肉たっぷりに、鬱が呟く。

鬱の皮肉に対し、グルッペンは笑って反論する。


『馬鹿野郎。俺がそっちに着くまで、お前らは花が拡散せんよう保たせろって言ってンだよ』

『万が一の責任を取るのは、総統である俺の仕事だ。お前らなんぞにやらすかw』


「グルちゃん……」


『だが、エーミールは必ず助ける。ええな?』


「当たり前や」


『こっちは打てるだけの手は打ってきた。俺らが到着するまで、現場の指揮は大先生に任せたぞ』


「りょーかーい」



通信が切れた。


鬱はスーツのポケットからタバコを取り出し火をつけると、大きく息を吸い紫煙とともに呑み込んだ。


「聞いたな、お前ら。この場の指揮権は、俺に託された。お前らしっかり命令に従えよ?」


「ははっ、大先生の指揮下か」

シャオロンが苦笑を浮かべ、車から斧を持ち出した。


「ごーっつ不安やな」

そう言いながらも、ショッピの口角は不敵に上がり、チェーンソーのエンジンの紐を2回3回と引く。


「せやけど、大先生なら俺の次くらいに安心やな。命令《オーダー》を、指揮官《コマンダー》」

おどけた笑顔でコネシマはそう言うと、鬱に向かって大きく頷く。


鬱はもう一度深く煙を吸い込むと、紫煙と共に大きなため息を吐く。

そして、眼鏡の奥から鋭く眼光を光らせ、大声で命令を発した。


「おっしゃあッ!! まずは草刈りじゃあッ! できるだけ死角をなくせ!!」


「アイアイ・サー!!」


それぞれ、斧やチェーンソーなどの道具を取り出し、教会の周囲の草を刈り始めた。


雑草刈りが始まる中で、鬱は数歩引いて改めて教会の周囲を見渡す。


「…………」

「どないした? 鬱」

「指揮官と呼べや」

「何やえらそうに」

「それよりロボロ。教会に突入するなら、あの木とあの木、どっちがやりやすい?」

「ん〜……、せやなぁ。右側の高い木は、窓が近いがてっぺん細すぎて登るンがホネやし、左の方が行きやすいかもな」

「なるほど」

「……両方の周辺残すよう、奴らに伝えてくるわ」

「あんがと。頼むわ」




ロボロが伝令に走るのと入れ替わりに、ゾムが鬱の元へ駆け寄ってきた。



「何か用か?」


草刈りの命令を出した際、鬱は目配せでゾムには待機を命じていた。

意味を察したゾムは、周囲から人影がなくなってから鬱に近付いていた。


「教会内にある武器は、何が幾つある?」

「……手榴弾が10。以上です、指揮官」

「意外に少ないな」

「俺とエミさんの遊び場やからな。あんま武器は持ち込んでへんねん」

「近接武器もないんか?」

「強いて言うなら…金属ワイヤーがあるくらいやな。あとは工具くらいか」

「なるほど。エーミールのことやから、きっとワイヤーはトラップに使(つこ)とるな。と、すれば……」


鬱が何やら小声でブツブツと呟いている。

ゾムはただ黙って、その様子を見ていた。

少しして、鬱がゾムに向かって顔を上げた。


「ゾム。教会のそばにある左右のおっきな木。どっちが登りやすい?」

「どっちか言うたら、左やな」

「右はアカンか?」

「細くてしなりはするが、行けんことはない。エミさん怖がるからナイショやけど、何度か登っとるな」

「よしッ」


鬱がしたり顔で膝を叩く。


「ゾム。今、グルッペン達がこっち向かっとる。お前はグルちゃんちの傘下に入って、グルちゃんの指示を仰げ」

「できるだけ静かに行けよ? エーミールにお前がおることを、気取られるな」


「わかった」


そう言うとゾムは、風のように素早くこの場を去っていった。




「エーミールは…今ンとこ、どっちも大丈夫そうやな」


外の騒がしさに対して、エーミールのいる教会内は異様に静かである。

エーミールもビオランテもどきも、膠着状態にあると鬱は踏んだ。

エーミールがあの寄生体を観察し弱点を探っているのと同時に、ビオランテもどきもまた、寄生先であるニンゲンを警戒し、観察している。

まさかニンゲンごときに、ここまで抵抗されるとは思ってなかったのだろう。


「人間を……エーミールをなめんなよ、バケモンが」


静まり返った教会の中を確認するすべは、今の鬱たちにはない。

だが、鬱達を近寄らせまいとする爆弾トラップは、同時にビオランテもどきを閉じ込めるトラップでもある。

ビオランテもどきに完全に乗っ取られたとしても、絶対に帰らせる気はないという、エーミールの確固たる意志。


「耐えてくれや、エーミール。俺らで何とかすっからな」

「お前おらんと……トントンが書類作成と整理で、死んでまうからな」


若干ひきつってはいたものの、鬱は不敵に笑ってそう呟いた。




続く


Rose Rose I love you 【完結】

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コメント

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きゃー!utさんかっこいい〜! grさんもかっこいい〜!✨✨✨

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