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私は学校に行く道にある古びれた文化住宅の集落で、人が通る小道に洗濯物を干し、隣の家に今晩のおかずの鍋を持って行く美鈴を想像した
今まで貧しさとは私達には関係のない生活で、どこかテレビで見たアジアのスラム街を思い浮かべた
そういう種類の貧乏を私は知らなかったし、父のお金で贅沢三昧の美鈴にはとうてい耐えられないということが理解できただろう、間違いなく徹といても豊にはなれない、現に今も徹は私の財産で暮らしているのだから、もちろん彼は稼いだお金を私に全額くれる
でも見習い弁護士の給料は信じられないぐらい安かった、そして美鈴は野心がある女だ、貧乏生活に耐えるには美鈴は忍耐強くないだろう、美鈴の故郷は和歌山だと言っていた、徹の故郷ももちろんそこだ、美鈴は貧しい故郷を捨て、単身大阪にやってきて どこから見ても田舎者の真面目な美しい工場婦として父の前に現れた
しかし工場の賃金など知れている、野心家の美鈴が金を得る手段は『金持ちと結婚』より他なかった。そう考えると、私の父はいかにもふさわしい相手だっただろう