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ー数分前。
「ふぅ。頼まれてた媚薬できた。」
ツララは、三日前に女性の部下の一人から恋愛相談を受けていた。何でも付き合ってから一ヶ月も経っているというのに、相手が未だに手を出して来なくてやきもきしているらしい。
でも自分から誘う勇気もないので、そこで媚薬の力を借りたいとの事だった。
「何故男の自分に相談したのか?」と聞けば、
「ツララ様は上司で話しかけやすいし、いろんな魔法の研究をしているし、薬を作れるから。」と返ってきた。
そこまで言われたら断る訳にもいかず、ツララは可愛い部下のために人肌脱ぐ事にしたのだった。
そして今、その媚薬が完成したのだ。
「さて、できたはできたけど。効力を試してからじゃないとすぐには渡せないよね。誰かで試す訳にもいかないし。うーん。」
媚薬が入った小瓶を見つめながら、ツララは考えた。そして、数分考えた末に答えを出した。
「・・・自分で飲むか。」
ツララが小瓶の蓋をキュポンと開けて飲もうとしたまさにその時、
コンコン。
とドアをノックする音がした。
ピタッとツララは動きを止めた。
(誰だろう?)
「はい。どちら様ですか?」
ツララがドアに向かって声をかけると、すぐに
相手から返事が返ってきた。
「オーターです。ツララ、今入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ。」
ツララは媚薬の入った小瓶をテーブルに置きながら、声をかけた。
ガチャ。
オーターがドアを開けて研究室の中に入ってきた。彼女は書類の束を手に持っていた。
「オーター、どうしたの?」
「次の会議の資料を持ってきました。貴方、また研究室にこもっていてライオから受け取っていなかったでしょう。」
「あっ!」
忘れてたとばかりに声を上げるツララに、
オーターは「はあ。」とため息をついた。
「研究熱心なのもいいですが、ほどほどにして下さいね。」
「う、ごめん。気をつけるよ。」
「そうして下さい。では、私はこれで。」
「あ、待ってオーター。」
「何ですか?」
用が済んで踵を返し、研究室を去ろうとするオーターをツララが引きとめた。
「資料を持って来てくれたお礼に、よく眠れる薬あげるよ!」
「それ、危ない薬じゃないですよね?」
「危なくないから安心して。今渡すよ。」
そう言って、ツララは薬がしまってある戸棚に向かった。
(お礼など別に構いませんのに。律儀な人ですね。)
フッと口元に笑みを浮かべながら、オーターは思った。
すると、ツララを待っていたオーターの鼻に甘い匂いが漂ってきた。
(何でしょうか?甘い良い匂いがします。あの小瓶から?)
オーターは媚薬の入った小瓶が置いてあるテーブルへと近づき、開けっ放しの小瓶を手に取り鼻を近づけ匂いを嗅いだ。
(やはりこの小瓶から甘い良い匂いがします。何故でしょう?無性に飲んでみたくなってきました。)
普段の彼女なら人の物を勝手に触ったり、ましてや口にしたりなどしないのに、まるで魔法にでもかかったようにオーターは媚薬の入った小瓶を口へと運んでいく。
「お待たせ!ごめん、遅くなっ、て・・・」
ツララの言葉が途中で途切れる。
何故なら、目の前で自分が作った媚薬をいつの間にかオーターが手にしていて、しかも飲もうとしていたからだ。
「オーター!?それ飲んじゃ駄目!!」
ツララが慌てて止めたが間に合わず、オーターは媚薬を少しだけ飲んでしまった。
それでもオーターの手から小瓶を取り上げ、ツララは蓋を閉めて懐に閉まった。
そしてオーターに向きなおる。
「ハ、ハアハア。」
(体が熱い。立っていられない。)
オーターは胸を押さえながらガクンと膝をつき、顔を赤く染め、荒い息を繰り返していた。
ツララは急いでオーターの元に駆け寄る。
ツララの方に顔を向け、何とかオーターが声を発してツララに助けを求めた。
「ツ、ララ。ハアハア。体が・・・熱いん、です。助けて、下さい。」
「僕が・・・治してあげる。奥の部屋に仮眠用のベッドがあるから。・・・一緒に行こうか。」
ツララがスッと右手を差し出す。
この時のオーターは媚薬に体を侵され冷静な判断ができなくなっていて、体の熱をどうにかして欲しいとしか考えられない状態だった。
なので、
「は、い。」
差し出されたツララの手をとってしまった。
ツララの手を借り何とか立ち上がったオーター。
と、立ち上がった拍子に服と肌が擦れ、
「んん。」
と、色っぽい声を上げながら体を震わせよろめいた。そんなオーターの体をすかさずツララが支える。
「んっ!」
「だ、大丈夫?・・・早くベッドに行こうか。」
「ん。」
こくっと頷きオーターはツララに導かれるまま、共に研究室の奥の部屋へと消えていった。
・・・そこで治療と称して、ツララに自分の純潔を捧げる事になるとも知らずに。
****
パタン。カチャ。
ツララが研究室と奥の部屋とを隔てる扉を閉めて鍵をかけた。
「そうだ、あとは。」
それから念の為に、外に音が漏れないように防音魔法もかけた。
「これでよし。」
ツララはオーターをベッドへと連れて行き、ベッドに座らせた。
「・・・じゃあ治療始めるよ。オーター、自分で服脱げる?」
「いえ。それは治療に、必要な事なのですか?」
「・・・うん。必要な事だよ。脱げないなら僕が脱がしてあげる。」
「あ。」
ツララが手を伸ばし、オーターのネクタイを取り床へと落とす。次にベストを脱がせ、中に着ているYシャツのボタンを一つ一つゆっくりとはずしていく。
ぷちん、ぷちん、ぷちん、ぷちん、ぷちん。
二人しかいない静かな部屋にボタンをはずす音と時々オーターが「ハア。」と出す甘い吐息だけが響く。
全てのボタンをはずし終え前を開くと、白い肌と
その白い肌に映える黒いブラジャーが露わになり、ツララは思わずコクッと唾を飲み込んだ。
「オーターって、結構セクシーな下着を着けてるんだね。」
「あ、あんまり、見ないで下さい。」
「ご、ごめん。えと・・・し、下も脱がすね。」
「下も・・・・ですか?」
「う、ん。一応。・・・お尻上げて。」
(一応?)
「・・・分かりました。」
ツララの指示にしたがい、熱い体を少し動かしてオーターはお尻を上げ、その間にツララがズボンを脱がした。
「ん。じゃあ次は、ベッドに横になって。」
「はい。」
オーターがベッドの上に上がり横たわる。
その間にツララは、自分が巻いているマフラーと上着を脱ぐ。その時に自分も媚薬を一口飲む事を忘れずに。
ドクン。
「・・・!」
(今のオーターを見れば効力は大体分かったけど、結構クるな。僕もすぐに体が熱くなった。)
媚薬を飲んだツララは、オーターに続いてベッドへと上がった。
「ハアハア。え、ツララ?上着やマフラー無くて大丈夫なのですか?」
先にベッドに横たわり、また荒い息をはき始めたオーターが、冷え性で普段から防寒着を手放せないツララを思って気遣いの言葉をかけた。
その言葉にツララは微笑んで返事をする。
「大丈夫だよ、ありがとう。今は早く君の治療をしないと。」
「ぁ。」
そう言ってツララが、荒い息をはくオーターの上に覆い被さった。