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「いつも貰ってばかりで……気にするなと言われても、やっぱり気にしちゃうし、私も理仁さんに何かお返しがしたいです。何か欲しい物とか、して欲しい事、ありませんか?」
サプライズでプレゼントをする事は簡単だけど理仁のように経済力のある人は欲しい物なら自分で買ってしまうだろうし、余計な物をあげたくもなかった真彩は欲しい物やして欲しい事がないか直接聞く。
「急に言われてもな……その気持ちだけで問題ない」
「それじゃあ私の気が収まりません! 何でも良いんです! 何かありませんか?」
「……本当に、何でも良いのか?」
「はい!」
真彩の言葉を聞いた理仁は少し悩む素振りを見せた後、何かを思いついたようで口元に笑みを浮かべ、
「それなら、寝心地の良い枕が良い」
欲しい物を口にする。
「枕……ですか?」
「ああ。今使っている物はつい最近買ったんだが、あまり合わなくてな」
「そうなんですか? それじゃあ、良さそな物を探してみますね」
「いや、探す必要はない」
「え?」
「ここは寝心地が良さそうだから、借りるとするか」
「!!」
理仁が指差したのは座っている真彩の膝。つまりは、膝枕をして欲しいという事らしい。
「こ、ここ……ですか?」
「何でも良いんだろ?」
「そ、それはそう……ですけど……」
まさか理仁の望みが膝枕だなんて予想もしていなかった真彩は慌てふためいている。
そんな彼女の様子を見ていた理仁は、
「冗談だ。本気にするな。その気持ちだけで良い。それよりも、これからも家の事を頼む。俺の望みはそれだけだ」
若干笑いを堪えつつ真彩に言った。
「冗談……だったんですね」
「何だ? それともしてくれるのか、膝枕」
本気にしていた真彩をからかうのが面白いのか理仁は意地悪で言ったつもりだったようだが、
「……理仁さんが、望むのであれば……」
予想外の答えが返ってきたので、理仁は目を丸くした。
「あ、あの……理仁さん?」
真彩は思った事をそのまま口にしただけだったのだろう。理仁が何故驚いているのか分かっていないようで控えめに声を掛けると、
「はぁ……。真彩、お前は少し無防備なところがある……そういう事を軽々しく口にするな。ここは男所帯なんだから、誰に対しても勘違いさせるような言動はするなよ」
小さく溜め息を吐いた後、理仁は少しだけ困ったような表情を浮かべながら真彩に言った。
「……すみません、気をつけます」
「分かったならいい。時間取らせて悪かったな」
「いえ、プレゼント、ありがとうございました。それじゃあ、そろそろ失礼しますね」
「ああ。お休み」
「はい、おやすみなさい」
理仁の部屋を出た真彩は少しだけ浮かない顔をしていた。それは何故かというと、先程のやり取りが原因だった。
(私は無防備なんかじゃないし、誰かれ構わずに言ったりしないんだけどな……)
そう、真彩があの時理仁に言った事は考え無しでもなくて、理仁が望むのであれば、膝枕でも何でもしたいと思ったのだ。
(……家事をやるのは仕事だから当たり前なのに……それ以上望まないなんて……)
真彩としては、何とか他の事で理仁の役に立ちたいと思っていたのだけど、結局何も思いつかずに夜は更けていくのだった。
そして翌朝、
「うわー! ママみて! おもちゃいっぱい!!」
目を覚ました悠真は枕元に置いてあった沢山の玩具が入った袋や箱を見て大興奮。
「本当だね。きっと悠真が良い子だから、サンタさんが沢山くれたんだね」
「わーい! ゆうま、あとでサンタさんにおれいのおてがみする!」
「そうだね、そうしたらきっとサンタさんも喜ぶね」
「うん!」
するとそこへ、
「お、悠真、どうしたんだ、そのプレゼントの山は」
「さくー! ゆうまいいこだからサンタさんがくれたの!」
「へぇ? それは良かったなぁ! 何貰ったんだ? 俺にも見せてくれよ」
「うん!」
悠真の嬉しそうな声を聞いた朔太郎が悠真に声を掛け、共にプレゼントの開封をし始めた。
沢山のプレゼントに囲まれ嬉しそうな悠真を前にした真彩は幸せな気持ちでいっぱいになり、自然と笑みが零れていく。
そして、そんな真彩の耳には昨夜理仁から貰ったハートのピアスが光り輝いていた。