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「「はぁ!!?」」
部屋の中に二人の声が鳴り響く。
一瞬耳鳴りがするほどうるさかった。二人の顔を見上げると口を大きく開けていて、その顔は驚きに染まっていた。
太宰治「ちょっと森さん!それどういう事!?私そこまでは聞いていないのだけど!?」
中原中也「そうですよボス!大体こんなガキが戦力になるとは思えません!!」
森鴎外はまぁまぁと二人を軽く制して僕に向き直る。
森鴎外「入りたくないなら強制はしないよ、どうする?」
僕は考えた。
この組織に入ったところで僕の生活は変わるのだろうか。
先ほど中也が言っていたように僕は戦力なんかにはならない、対して頭もいいわけではない。
かといって、力が強いわけでもない、この森鴎外という男、何を企んでいるんだ?
森鴎外「考える時間を上げるとしよう、今日はここに泊まりなさい。」
太宰治「森さん、何を企んでるの?その子供役には立たなそうだけど。」
太宰はむすっとした顔で僕を見下ろす。
中原中也「そうですよボス!こいつ異能も持ってなさそうだし、引き取っても意味ないんじゃ!、」
森鴎外「わからないよ?突然強い異能が発現すりかもしれない。」
そういってほほ笑む森に太宰は呆れていた、多分日常茶飯事なのだろう。
太宰治「わかったよ、どうせ言っても聞かないんでしょう?」
太宰は小さくため息をついてあきらめたように言った。
中也は僕のことが気に入らないのか先ほどからずっと僕を睨みつけるように見ている。
森鴎外「じゃあ太宰君と中也君は玲君の教育係ってことで。」
森は満面の笑みで言った。
「「はぁぁあ!!?」」
太宰治「ちょ、はぁ!?何言って!、」
中原中也「そ、そうだぜボス!なんで俺らが!、」
二人はすごく慌てている。
太宰は語彙力を失っているし、中也に限っては慌てすぎて森にため口を使ってしまっている。
森鴎外「じゃあ、よろしくね」
森は微笑みながら二人と僕を部屋から押し出した。
「「「、、、」」」
二人はしばらく呆然とした顔で部屋の扉を見つめていた。
僕は何も言わずにその二人の背中を見つめていた。
二人は顔を見合わせて、ゆっくりと僕のほうを見る。二人は再び顔を見合わせ、深いため息をついた。
「仲良しだね。」
「「仲良くない!!」」
仲良しじゃんか、とは思ったがめんどくさくなりそうだったので口には出さないでおいた。
太宰治「はぁ、取り敢えずついてきて、」
太宰はなんで私が中也と教育係なんか、と文句をこぼしながら歩いていく。
僕と中也は黙って太宰についていった。
太宰治「ほら、ここ」
太宰はそういうと小部屋の扉を開けた。
僕は部屋に入る。
広くはないが、子供一人が過ごすには十分な広さだ。
部屋には隅にベッドが一つと、その横に勉強机が置かれている。
机の上には小さいライトと鉛筆削りが置かれている。
とてもシンプルだが、僕にとっては三ツ星ホテルのような空間だった。
ありがたかった。
本当にありがたかった。
太宰治「ちょ、なんで泣くのさ、」
気づくと僕は涙を流していた。
太宰と中也はそんな僕を見て少し慌てている。
「だい、じょぶッ、き、に、しない、で、」
僕は嗚咽を必死で抑えながらそう伝えた。
二人はなにか察したのか
太宰治「明日また来るから。」
とだけ言って部屋を出て行った。
~次の日~
部屋のドアがノックされる。
中原中也「おい、いつまで寝てんだガキ」
中也がベッドで寝ている僕に声をかける。
中原中也「早く起きろ、行くぞ」
中也が僕の毛布をはぎ取る。
「、、寒い、」
中原中也「寒くねぇ、行くぞ」
僕は渋々ベッドから出て中也についていく。
中原中也「クソッ、ンで俺が、」
中也はぶつくさ言いながら僕を連れていく。
「どこ行くの」
僕がそう聞いても中也は愚痴に夢中で何も答えてくれない。
中原中也「おい太宰、連れてきたぞ」
太宰治「遅かったね、玲君に歩幅合わせてあげてたの?」
中原中也「ンなわけねぇだろ」
太宰と合流して再び歩き出す。
しばらく沈黙が流れる。
その沈黙を最初に破ったのは太宰だった。
太宰治「今から森さんのところに行くから。」
「、、うん」
太宰治「どうせ中也のことだから愚痴に夢中で何も教えてくれなかったんだろう?」
「、、うん」
太宰治「やっぱりね」
太宰がジトっとした目で中也を見下す。
中原中也「俺を見下してんじゃねぇ」
太宰治「しょうがないじゃないか、君は私よりチビなんだからさ。」
中原中也「ぁあ!?俺は十六だ!これからのびんだよ!」
太宰治「それいつも言ってるけど全く伸びてないじゃない」
中原中也「うるせぇ!」
「、、ねぇ」
太宰治「大体なんで私が中也と一緒に教育係なんか、」
中原中也「俺だっていやだわ!」
「ねぇ」
中原中也「ンだよ!!」
「部屋、通り過ぎたよ。」
「「、、、」」
太宰治「まったく、これだからチビは、」
中原中也「ぁあ!?手前だって気づいてなかったじゃねぇか!」
太宰治「いいから行くよ。」
「うん」
二人は何事もなかったかのように部屋に向かう。
部屋の前に着くと、中也がドアをノックして部屋に入っていく。
僕と太宰は其のあとに続いて部屋に入る。
森鴎外「返事は考えてくれたかい?」
「、、、」
森鴎外「まだ時間が必要かい?」
僕は無言で首を振る。
森鴎外「じゃあ、返事を教えてくれるかな?」
森さんは微笑みながら言った。
(こんなに優しくされたの、いつぶりだろ、)
頬に涙が伝う。
僕は嗚咽を抑えながら俯いた。
(泣き止まなきゃ、叩かれる、泣き、やまなきゃ、)
そう考えれば考えるほど涙があふれてくる。
部屋には僕の嗚咽だけが鳴り響いた。
森さんは、そんな僕を叩くでもなく、言葉を投げかけるでもなく、ただ無言で僕の頭を優しく撫でてくれた。
十分ほど時間がたって、ようやく涙が止まった。
僕の涙が止まったことを確認し、森さんは僕と視線を合わせるように片膝をついた。
森鴎外「落ち着いたかい?」
「、、うん」
太宰治「で、どうするんだい?」
それまでずっと黙っていた太宰が口を開いた。
太宰治「まぁ、答えはもう決まってるだろうけど。ていうか森さんはいつまで跪いてるのさ」
森鴎外「あぁ、そうだったね。」
森さんはゆっくりと立ち上がった。
太宰治「どうするの?どうしたいかは言わないとわかんないよ?」
「、、、」
僕は、森さんに歩み寄り、森さんの前で正座する。
森さんはきょとんとした顔で僕を見つめる。
僕はそんな森さんを数秒の間見上げて、床に手をつき、深々と頭を下げた。
「僕を、ポートマフィアの構成員として、雇ってください。」
数十秒もの間部屋には沈黙が流れた。
森鴎外「ようこそ、ポートマフィアへ。」
そういってボスは小さく笑った。
ここまで読んでくださった読者様方。
ありがとうございました。
主には文才がないのでところどころ変になっているところがあったかもしれませんがそこは目をつむってください。
この夢小説の続きはチャットノベルにて書いていきますので、良ければそちらも読んでいただきたいです。
それでは、僕はこれで。