テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#カンヒュBL
みほり
どうも皆様、サカナです
英米周りを取り敢えず固めました
半自分用の設定説明を含んでるのでめちゃくちゃ説明的な地の文多めのカスの散文でございます
入れたいシーンすべて入れたらハチャメチャに長くなったしわかりずらい&読みづらいので、読み飛ばしてもらって構いません
前回より余程人間にとっては平和です
人肉も殺人もないです
パット見は仏英ですが恋愛はないです
⚠️流血あり
追記:石鶏という方が前回のイタリア王国や日帝、スペイン、更にはポルトガルまで絵に描いてくださりました!!
すごく丁寧に要素が詰められていて、人外好きは絶対にキマれるのでこんな小説は放って今すぐ見に行ってください!!!!
森の中にひっそり佇む、 全体を薄い魔力の膜で覆われた見事な西洋屋敷。
その大きな門から中へ入って行くのは、羊のような巻角と細くしなる尻尾を持った美男。
名をフランスという。
彼はカンビオンという夢魔と人間のハーフに生まれた存在であるが、通常のカンビオンとは大きく異なり、8割は夢魔の遺伝であった。
カンビオンは親が夢魔同士、または夢魔と人間のペアから生まれ、見た目は親がどんなに美しかろうとも醜く、7つの歳を迎える頃には大半が死んでしまう。
その点から見ても、美しく健康的なフランスは特異な存在であった。
長い中庭の石畳を歩くその姿は優美かつ自信に満ち溢れ、コツコツと鳴るハイヒールのリズムが小気味良い。
寸分の狂いもなく整えられた芝の上には花びら一つ見当たらなく、絵画よりも美しい。
この館を作った張本人はまだまだ存命なのだが、屋敷を覆い尽くすように張られた結界は四六時中この場所を適温に保つ。
結界魔法を扱う者が見れば、魔力操作の精密さにド肝を抜かすだろうという出来だった。
フランスは相変わらず豪華すぎるほどに立派な屋敷に辟易としながら、金細工で装飾された扉を叩く。
数分と経たずに、この屋敷の召使いさんが開けてくれた。
「やぁ、アルスターくん。今日はヤギ?いいね」
「ありがたきお言葉、光栄でございます、フランス様。当主様はいつものお部屋にいらっしゃいますので。付き添いは必要でしょうか」
「大丈夫だよ、ありがと〜ね」
出迎えてくれたのはアルスター、またの名を北アイルランド。
アルスターはプーカと呼ばれる妖精の一種で、強力な変身魔法を扱う。
自分の姿を変えるなんてお手の物で、今のように黒いヤギになっていたり、人間のときもあったり、一番多いのは黒馬だが、そうやっていろんな姿になることができる種族だ。
また、アルスターはこの屋敷の現当主たるイギリスの父親、 イングランドと契約している。
本来は気まぐれで善行も悪行もする性質でありながら、召使いとして様々な事をこなし、その仕事ぶりはピカイチときた。
どうしても手放したくないのかなんなのか、アルスターからはいつも、ほんのりイングランドの魔力の残り香がする。
多分洗脳とか、チャームとか、そういう類の魔法をかけられているのだろうとフランスは結論づけていた。
閑話休題。
フランスはとある目的のためにここを訪れたのであって、アルスターの境遇を考えに来たのではない。
もう見慣れた広い屋敷を歩いて、フランスは迷いなく奥へ奥へと進んでいく。
廊下の薄暗い雰囲気とは正反対に、フランスは些か上機嫌ですらあった。
質の良い木材で作られた芸術品と見紛うような扉を3回ほどノックし、それとほとんど同時に扉を開く。
「やっほーイギリス。元気してる?かわいくて美しくてかっこいいスーパーモデル様が来てあげましたよ〜っと」
ぱちっと見事にウインクをしながら部屋に入ると、部屋の主はくるりと振り向いた。
「はぁ…返事を返す前に開けないでくださいますか?もう構いませんけど」
ピンと立った犬のような耳に、引きずるほど長く、丁寧に編まれた尻尾はくるくるの巻き毛。
魔導書を読む手を止めて壁一面の大きな本棚に仕舞うと、イギリスはフランスの方に向き直った。
「…それより、ようやく来ましたか、フランス。待ちくたびれました」
部屋の中は整理整頓がきちんとされており、アンティークで拘りの見える家具や小物はどれもイギリスの趣味である。
イギリスはそんな拘りの家具の一つである戸棚からナイフを、薬品棚からは再生・回復の作用がある青色のポーションと痛覚鈍化のマゼンタ色のポーションを取り出した。
「せっかちだなぁもう。たまには雑談しようぜ〜?つまんないの〜」
「つまんないもなにもありません。ほら、腕を出して」
「スーパーモデルの体を傷つけるのになんて冷たいんだ、俺のお陰で元気なくせに」
「傷はきちんと治してるでしょう。貴方だって私がいないと爆散するくせに」
「ふん」
イギリスはハイウィザードのイングランドと、クー・シーという犬の妖精のスコットランドの間に生まれた、フェイウィザードである。
それも、かなり妖精寄りの。
具体的には、体表はウィザード、神経系や内臓などの重要な器官は妖精という、中々終わっている組み合わせである。
妖精とは、自然から生命力として魔力を恵み与えられて生きる特殊な生命たちのこと。
対して、元人間であるウィザードは魔力回路から生み出される魔力によって魔法を行使し、自然から魔力を受け取るなどはできないのだが…
なんとこのイギリス、魔力がないと生きていけないのに、魔力を生み出す回路が存在しない。
魔力回路とはそもそも、魔力を生み出す内部器官と、出力を担う表皮、もとい外部器官のセットで一つ、というかなり特殊な器官である
魔力を生み出す内部魔力回路は基本的に妖精以外の全ての生き物に備わっているとされるが、それを覚醒させ、魔力を生み出し、魔法を扱えるようになるのは魔界育ちの魔物ぐらいなもので、魔力との相性が良くない人間の生まれでありながら魔法を扱う者たちの特異性を感じられよう。
妖精は体全体が魔力を出力する、つまり魔法を出す外部魔力回路のようになっていて、人間が呼吸で酸素を得るように、基本的にはただそこにいるだけで自然発生する魔力を手に入れ、それを行使することができるのだ。
しかし、イギリスの体はそうもいなかった。
ウィザードのように魔力と合わない表皮なのに、内臓を動かすには魔力を使用しなければならない。
困ったことに内臓だけは、魔力を蓄え、それをエネルギーとして動くようにできているから。
ただ、誰かから魔力を受け渡されるにしても、回路がないことで魔力の系統を整えられず、はじめから適合したものでないと拒絶反応が起こってしまう。
生きていくにはあまりにも不利な体質だった。
しかしながら、フランスの方もまた厄介な体質を抱えている。
フランスはイギリスの逆で、なくても良い魔力回路が部分的に備わり、肝心の魔力放出が不可能であった。
カンビオンであるフランスは中途半端に人間が混ざっているせいで、魔力回路が悪魔のそれとしては不完全ゆえに、魔法を行使することができない。
言うなれば、銃口のない拳銃という状態だった。
弾は込められるし、引き金もあるが、弾の出ていく先がないのである。
そう、弾は込められる…つまり、回路が存在しないわけでもない。
魔力を体内で生み出し続けても、その魔力は体の中に溜まるばかりで、自力で減らす方法が一切なかった。
そうすると、いずれ膨大な魔力に耐えきれなくなった体は消失してしまう。
ただ、フランスの魔力は使い先がないので、系統らしい系統がない。
血液型で言えばО型のような、誰にでも分け与えられる、世にも珍しい魔力である。
魔力が欲しいイギリスと、魔力がいらないフランス。
利害が一致するのに、時間はかからなかった。
「面倒くさい魔物ですこと。じゃあほら、いつもの。前より美味しくしてさしあげましたから」
そんな背景を踏まえつつ、長い付き合いをしている二人。
幼少期から変わらず、週に1度会っては魔力の受け渡しを行っている。
「え、美味しくできたの?ほんと?嘘じゃないよね?」
「貴方が散々わがままを言いますからね。回復ポーションの作り方から着想を得て、なんとか」
「それ最高じゃん!あれ本当にゲロマズだったし、もっと売れるんじゃね!」
「…そうもいきませんよ。使うのは魔法省が認可した病院とか、研究所くらいなものですし」
「ふぅん?よくわかんないけど、爆売れ〜って感じじゃないんだ。じゃあその美味しくなったってやつ飲ませてよ。気になるし」
「どうぞ」
マゼンタ色のそれは痛覚鈍化の効果のあるもので、イギリス特製のポーションだった。
イギリスは体質こそ生きにくいが、薬師としての適性は歴代のどんな薬師よりあると言っても過言ではない。
妖精は自然と共生する存在なので、イギリスも材料となる薬草や鉱物との相性が非常に良く、森羅万象が自ずと導いてくれるような感覚でそれらを扱うことができる。
おまけにウィザードらしく精密な魔力操作も得意であるので、フランスから譲り受けた魔力を高度な技術で行使し、高品質なポーションを次々と生産することが可能になるというわけだ。
ポーションを受け取ったフランスはちゃぽちゃぽとガラスの瓶を揺らし、中の液体を確かめる。
見た目は何も変わらないことに不安を覚えつつも、コルクを抜いて瓶を傾け、ひと思いに口の中へすべて流し込んだ。
イギリスはやや緊張した面持ちでフランスの様子を見守っている。
実験はいくらかしたものの、痛覚鈍化を飲み慣れているであろうフランスの意見を取り入れることは大切だ。
「…っぷは!本当に美味しくなってるんだけど!やるじゃんイギリス!」
きゃっきゃと喜ぶフランスを見る限り、これは成功に違いない。
「それは良かったです。では、魔力をください」
「いいよ、ナイフ貸して?」
手渡されたそのナイフは丁寧に砥がれており、ドワーフが製作したそれは、小さくとも切れ味はお墨付き。
フランスは刃をそっと白い肌の上に当て、ちゃんと痛くないことを確かめた。
「 効果と味の両立は難しいんだから文句言うな〜とか言ってたくせに、やればできんじゃ〜ん♡」
「最初からできないなどとは言っておりません。この私が失敗するはずないでしょう」
フランスは言葉が上手いというか、話しているとついつい乗せられてしまうような独特のテンポがある。
にこにこニヤニヤと楽しそうにしているのは結構だが、からかうのはやめてほしいところだった。
ザシュッ
フランスは相変わらず楽しそうにしながら、会話の傍らにざっくり手首を切る。
早速ボタボタと血が溢れてきた傷口に口をつけ、イギリスはその血を啜った。
お互い魔力の出力が苦手であるので、このような原始的で直接的すぎる方法に頼らざるを得ないのである。
「…じゅる…ず‥〜ッ…」
「いっつも思うんだけど、この光景ヴァンピールに吸われてるみたいだよねぇ」
「なにを…じゅるる…馬鹿なことを…んん…この方が…ごきゅ…効率が良い…ぢゅ〜ッ…‥でしょ…」
「なんか、話しかけてごめん」
イギリスはフランスの傷口を舌で抉るように 血液を飲み込み、腕を伝う一滴すら舐め取って飲み干していく。
元より血を飲むような種族ではないし、悪魔の血は特に美味しくないと言うが、イギリスはそんな血を必死になって啜らないと、衰弱して内臓が不全するので生きていけない。
フランスは手首を深く切って大量の血を流してでも魔力を減らさないと、高熱に苦しめられながら死に至ることだろう。
微弱に魔力が流れている血液をこくこくと喉を鳴らしながら胃に押し込めてやれば、体はすぐにフランスの魔力を体内に拡散した。
しばらくしてイギリスが満足すると、先程までかじりついていた傷口にポーションをかける。
きらきらっとポーションに込められた魔力が瞬いて、骨に到達してしまいそうだったひどく深い傷がさっと癒えていく。
フランスは片手でスマートフォンを弄っていたが、 ひやりとした液体の感覚がしてイギリスの方を向いた。
「もうお腹いっぱいなのぉ?俺の血、おいしかった?♡」
貧血ゆえの青白い顔で、甘ったるく囁かれる。
こういうところはフランスに流れる夢魔の血がそうさせるのか、生来のものなのか、定かではない。
再生・回復ポーションの副作用たる不思議な高揚感に踊らされ、活性化したその本性で口説き文句はすらすらと流れ出す。
しかし少なくとも、幼馴染には効かなかった。
「吐かないことを褒められたいくらいに不味いです、悪魔如きが自惚れないでください。不遜」
「機嫌悪〜い。え、そんなに?ショックなんだけど」
くっと眉間にシワを寄せて、イギリスはポーションが入っていた空の瓶を近くに置いていた桶に浸す。
中には天使から仕入れた聖水が入っており、役割としては残留したポーションとその魔力の洗浄である。
「誰が好き好んで悪魔の血なんか啜りますか。全く…少しくらい美味しくする努力をしては?生活習慣を直すとか」
「生活習慣で血を美味しくとか無理だろ、サラサラにしかならないって。無茶言わないでくれよ」
「私はポーションを美味しくして差し上げたのに?私だけ苦労していろと言うのですか」
「イギリス、それはちょっと言葉が強いかな。この話やめよ」
治った手首を動かしながら、フランスは立ち上がって窓を眺めた。
人をからかうのは上手いが、話を逸らすのは下手らしい。
イギリスはため息をつきつつ、早速フランスから得た魔力で魔法を使った。
専用のケースから愛用の杖を取り出し、魔力を流して軽く振る。
杖の先端に取り付けられた大きなダイヤモンドから光が溢れ、イギリスを柔らかく包み込んだ。
そしてぱっと光の粒が弾けると、特徴的だった犬耳や尻尾は姿を消し、イギリスの姿は人間に近いものへと変わる
いわゆる変身魔法であった。
「あーあ、可愛かったのに。勿体ないよ」
「お兄様くらい強ければまだしも…貴方だって、カンビオンならわかるでしょう?混血が生きていく難しさ」
イギリスはウィザードと妖精の、フランスは悪魔と人間の混血児である。
二人の困った体質のように、混血児にはこうした身体的欠陥が出るケースが少なくない。
特に、ウィザードのような元人間や、ただの動物から変異した化け猫などの種族と、悪魔や妖精のような自然発生した種族とでは、遺伝子的な構造がまるきり違う。
かと言って、元人間と動物変異種の相性が良いとも言えないのだが。
「でも俺の前でもそうやって魔力消費して誤魔化すなんて、疲れるだろ」
兎にも角にも、混血児はそういった遺伝子的な理由から力が弱く、成人する前にその多くが死する。
この二人だって、偶然出会っていなければ今のような生活できたか怪しいところだったのは、既に記した通り。
そんな力の弱い混血児を差別し、虐げることすらも、“よくあること”でしかなかった。
「それに、その姿を隠したいならアルスターくんに頼めばいいじゃんか。変身魔法なんて、イギリスがちょっと頑張るより簡単にしてくれるんじゃないの?」
プーカが扱う変身魔法は、魔法というよりは呪いに近いほど強い力である。
プーカの言い伝えの一つとして、夜中に黒馬に変身したプーカに乗ってしまった旅人は、夜明けまで下ろしてもらえず、暴れ馬のように走っていたプーカが止まる頃には、旅人は人間とは程遠い化物になっていた。
というものがある。
その変身は二度と解くことができないもので、それこそプーカが恐れられる所以たりえる力。
プーカによってかけられた魔法は解けない。
まさにイギリスの望むところだった。
「何度か頼んだことはありますよ。私をちゃんとした妖精にしてくれとか、それができないなら見た目だけでもウィザードにしてくれと」
「じゃあなんで今も変身魔法を使うの?」
「仕方がありませんよ。アルスターが、契約上できません、と言うのですから」
俯きながら杖をくるくると回して手遊びするイギリスは、どことなく落ち込んでいるように見える。
「あの人がアルスターの何を契約違反の罰としたのか、それは知りません。でもきっと、命や記憶といったすごく重いものなのだろうと思います」
「あー…悪く言うようでごめんだけど、あの人ちょっと頭イってるしな…アルスターくんが契約破って死んだとして、アンデッドにすればいいとか思ってそうだよ」
あの人ことイギリスの父親、イングランドは天才だった。
その分頭のネジが数本吹き飛んでおり、いくら礼儀正しく魔法の扱いに長けていても、妖精の里のひとつを焼いて気に入った妖精を無理矢理娶ったような男だ。
その妖精こそが母親たるスコットランドなのだが。
いくら妖精に性別がないとはいっても、伴侶の性自認すら無視している、本当に ひどい話である。
「そうですね。アルスターはアルスターなりに父を慕っているようですけれど、私には何もできませんし、そっとしておく他ありません」
憂うような表情をしていたイギリスは、次の瞬間手を少し叩いて、仕切り直した。
「それより、私にはまだお仕事が残っているのです。フランスも、ポーションの効果が切れるまでは安静にしていないと」
「はいは〜い」
結局、イギリスに魔法の使用を控えるように促すことはできなかったようだ。
あまりしつこく言えばまた拗ねられてしまうので、今日のところは諦めるしかない。
イギリスは部屋に備え付けられている呼び鈴を鳴らして、アルスターを呼ぶ。
あまり裕福な生まれではないフランスからすれば、その動作のなんと貴族的なことか。
そして10分もしないうちにコンコンコン、とノックの音が響くのだから、アルスターはつくづく働き者である。
肉体疲労の少ない妖精とはいえ、こんな広い屋敷をあっちへこっちへと動き回って働いていたら、やめたくなったりしないのだろうか。
恐らく、それができないようにされているけれど。
「お入りなさい」
威厳たっぷりの声色で、イギリスは部屋の外にいるアルスターへ声をかける。
アルスターはガチャリとドアノブを回して部屋に入り、イギリスへと深く頭を下げている。
「当主様、御用でございますか」
「フランスを部屋へ。それと、仕事を再開するので、そろそろ帰ってくるであろうアホどもが入らないようにしなさい」
「畏まりました。それではフランス様、僭越ながら、先導させていただきます。こちらへ」
アルスターは真面目だ。
この屋敷の者たちの前では特に腰が低い。
契約の都合なのか、単純に恐れ故か。
「そんなにかしこまらなくていいのに」
「なりません。このアルスターめは雇いの身ですから」
「給料出てんの?」
「ご主人様から、 魔力と好物を少々」
「怖…それしか貰ってないのに働かされまくってんの?」
魔力はともかく、プーカの好物といえば、ブラックベリーなどが有名であろうか。
特別高級なわけでもなく、野山で採れる程度の代物だ。
そんなものだけでずっとこの広い屋敷の家事をさせられているなら、それはもう奴隷だろう。
「私が望んだことでございますから。愛しいご主人様の崇高で濃密な魔力を戴けるのなら、例えこの身がズタズタに引き裂かれようと、喜んでお仕えさせていただきます」
柔らかな絨毯の上を、四足の蹄が通る。
変身しているのはケンタウロスのように下半身が黒ヤギとなっている姿でありながら、しゃなりしゃなりと優雅で、フランスの歩調に合わせてくれていた。
「なんでそんな忠誠心を保っていられるんだかね〜…」
小さな小さな独り言を呟いて、アルスターの後ろを歩く。
フランスは自由な魔物だ。
夢魔を含む悪魔たちというのは、元々自分勝手に行動する存在であるし、フランスだってその気質を持っている自覚はある。
確かにモデル業という忙しい仕事を選び、日々あちこちを飛び回っているが、それは自分が楽しいから続けているのだ
アルスターのように、契約で雁字搦めにされて、自立するには心許ない報酬で使い潰されるなんてまっぴらである。
「…さぁ、お部屋に到着いたしました。フランス様、何か御用がありましたら、室内にあるベルを鳴らしてくださいね。すぐに向かいますので」
「うん、ありがとね。いつも案内してくれて助かるよ」
「恐縮です」
ぺこりと頭を下げて、アルスターは一歩下がった。
「お食事の際、呼びに参ります」
「はーい」
そのまま扉を閉めると、静かな足音がし始めて、暫くするとそれも消えた。
「…さて、何しようかな」
フランスは週に1度という高頻度でこの屋敷に泊まる必要があるので、客室のうちのひとつにだけはフランスの荷物がいくつか常備されており、着替えやスキンケアのセットはもちろん、子供の頃に持ち込んだぬいぐるみなんてものもまだ置いている。
なのになぜまだアルスターに案内されてこの部屋に来るのかといえば、フランス用の客室は不定期にこの屋敷の長男の手で破壊されたり、なんらかの罠が仕掛けられたりと滞在不可になるので、毎度異なる部屋に案内されるからだ
荷物はイギリスの手で保護魔法をかけられているので、転移魔法で荷物だけを移しているが、 主犯である大英帝国は、フランスが大層気に食わないらしい。
「仕事がないと暇だな〜、自撮り投稿して現在地を割らせるわけにもいかないし…」
靴を脱いでふかふかのベッドに寝転がり、適当にフォローしている芸能人のアカウントやネットニュースを流し見る。
エゴサは面倒くさくて差別的な内容も出てくると知っているから、もう何年も前からしなくなった。
大人気モデルとは肩書だけで、種族を理由としたアンチは本当に多い。
また別の理由もあるが。
それはさておき、本日は完全なオフである。
プライベートなんてほとんどないほど忙しいフランスでも、イギリスの元へ来るときだけはどんな高額な仕事だろうと断り、必ず丸1日の休みを作るようにしていた。
なぜなら、普通に療養であるから。
別にストレスが〜とかそういうわけではない。
もし強いストレスがかかるような仕事なら、フランスはとっくのとうに辞めてこの屋敷でニートをしているだろう。
ならばどうして療養という名目になるのか。
答えは単純なもので、フランスは先程もしていたように、イギリスへ血を分け与えているからだ。
傷口を癒したとしても、大量に失った血液がすべて戻るわけではない。
いくら人間より頑丈な魔物とはいえ、カンビオンは普通に死ぬ。
本来は7つまでに亡くなるような魔物なのだら、フランスだって何がきっかけで命の灯火が消えてしまうかわからない。
もしフランスが亡くなれば、フランスのおかげで生き永らえているに等しいイギリスの命も危険になる。
1日程度で完全回復するのかと言われればNOだが、休まないよりよっぽどマシだ。
そして、 もうひとつ理由がある。
血を分け与えてる際に使っている痛覚鈍化ポーションの効果持続時間は、約24時間だ。
つまり、血を分けたあとも痛覚鈍化は続いている。
もし痛覚鈍化の状態で何が起きるかわからない外に行ったら、大きな傷がついても本人が気づけないのだ。
思い切り足を踏まれたり、誰かに切られたり刺されたり、転んで骨を折ったりしても、気づくことが出来ない。
実際、以前にちょっとした事故も起きている。
なので、薬が抜けて体も休めるよう、この休みは療養として扱われていた。
屋敷側は一人を除いてフランスを歓迎しているし、フランスも馴染みの多いこの場所は気に入っている。
「…なんか眠いな…」
ブルーライトを浴びるのにも疲れてきて、フランスはスマートフォンの電源を切り、うつ伏せになって脱力した。
枕に顔を埋めながら、長い腕を伸ばして手探りにヘッドボードへスマートフォンを置く。
そしてもぞもぞと動きながら掛け布団に入ると、長いまつ毛に縁取られた目を閉じ、フランスは静かに寝息を立て始めるのだった。
一方その頃、フランスから魔力を得て仕事に戻ったイギリスは、発注を受けたポーションを生産し続けている。
「なんだか今回は再生・回復ポーションの依頼が多いですね…薬草集めに出ていて良かったです」
イギリスの作るポーションは性能が良いと評判で、この屋敷の主要な財産源だ。
イングランドが当主をしていた頃は、引き受けた依頼を魔法でこなす何でも屋のような商売だったが、市販のものでは効果が薄いからと特別にポーションを求める声が増え、今ではそれを生業としている。
箔が付いて複数の施設や企業とも提携するようになり、ウィザードの名家として名を馳せた。
「再生・回復はあんまりお金にならないんですけどね〜…仕方ないか」
いくつかの薬草をすりつぶし、魔力を丁寧に練り込みながら聖水を一滴ほど混ぜ、煮詰める。
悪魔などは聖水で弱るので、この時聖水を入れすぎてはいけない。
沸騰直前に火から下げ、魔法を使いつつ液体を濾して瓶に移し、瓶ごと冷水で一気に冷やす。
こうして完成した原液を、他の瓶に小分けにして、求められていた濃度まで希釈し、完成だ。
これをあと何度か繰り返せば、依頼された分は完了となる。
プラスして他の依頼品も必要だが、再生・回復ポーションより数が多いものはないので、比較的楽だった。
そして、作業すること数時間。
コンコンコン、と控えめにノックが響いた。
それと同時にどことなく無機質な、しかし聞き慣れた声が耳に入る。
「当主様、お食事の時間でございます」
ドア越しのくぐもった声を聞きながら、イギリスは作業の手を止めた。
丁度区切りの良いところまでできていたので、大人しく食事を取ることにするらしい。
ドアを開けると、アルスターは先ほどとはまた姿を変えて佇んでいた。
1日に何度も変身する事自体は珍しくなく、狭いところを掃除したのか、うさぎにしては大きな、しかしイギリスから見れば小柄な黒うさぎになっている。
「わかりました。カナダたちは帰ってきていますか?」
「はい。皆様、既にお揃いでございます。また、大英帝国様もお戻りになりました」
イギリスが言っているのは、何年も前にイギリスの兄が育てると言い出した四人の子供のことだ。
子供とはいっても、年齢的にはイギリスと同世代だったが。
そのうち一人は先々代くらいのアスモデウスの息子だそうで、夢魔の上位種リリムの最後の生き残りでもある。
「…お兄様が?」
「手元のコレクションが溜まってきたので、飾るついでに当主様のお顔を見にいらっしゃったと」
「…念の為、フランスのそばにはお前がつき、フランスが口にするものには注意を」
「畏まりました」
大英帝国とフランスは仲が悪い。
いつも一方的に大英帝国が嫌っていて、部屋破壊のような陰湿なことをすることも多かった。
彼は強すぎる力を持っているあまりに命を軽視するため、フランスの食事に聖水などが混ぜられては堪ったものではない。
「フランスはどこに?」
「当主様のお次に通達しに向かおうかと」
「そうでしたか。では、お前はもう行きなさい」
「ありがとうございます、当主様」
深々と頭を下げてから、アルスターは毛に覆われた黒い足で歩いていく。
毛と毛が擦れる音と反対の方に向かって、イギリスも歩き出す。
いざ食事のことを思い出すと、ようやく身体が空腹を感じ始めた。
やけに静かだ。
最初の違和感はそれである。
いや、違和感の正体自体は知っていた。
だって兄が、大英帝国が帰っているのだから。
同じく帰っているらしいアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドにとっては養父で、命の恩人で、魔法の師匠だ。
「彼らも可哀想に…」
大英帝国は思想が偏っている節がある。
強者こそ絶対で、弱者は存在の価値がないと言うのだ。
イギリスが生まれたとき、大英帝国は既に青年に近かったが、イギリスもかなり冷遇されてきている。
生まれたばかりの弟でさえ、すぐに死ぬかもしれない、魔力がない、とわかれば冷たく当たるような兄だった。
ダイニングルームに入ると、やはり空気が悪い。
「おかえりなさい、お兄様」
「イギリスか。しばらく見ないうちに腕を上げたな、お前はいくつだったかな…5歳くらいか?」
ただでさえ背の高い大英帝国が、圧の強さで何倍も更に高く見える。
小さくて、覚える価値がようやくできた程度のイギリスのことなんて、大英帝国には子ども同然だそうだ。
「…ご冗談を」
「やめなさい、大英帝国。そう弟を虐めるものではないよ」
「まあまあ、ほんの戯れではございませんか」
な?と圧をかけてくる兄の目が嫌いで、イギリスは俯きがちに頷いた。
昔から嫌われているのは知っているが、それでも世界一の魔法使いから睨まれるのは気分が悪い。
「おいイギリス、こいつがいるなんて聞いてねーぞ!帰ってくるんじゃなかったぜ!」
「ちょっ、兄さん!」
兄に睨まれ居心地が悪かったところに、追撃が来る。
席を立ち上がり、下品にも指で大英帝国を指して文句を言ってくるのは、アメリカ。
アメリカは大英帝国が拾ってきた養子第1号だったが、種族はウィザードでも妖精でもなく、ソーサラーという魔法使いの一種である。
ウィザードは人間が死に物狂いの努力と0に近い確率を無理矢理掻い潜って魔法を身に着けた種族、ソーサラーは生まれつき魔法が使える種族だ。
前者は論理的に術式を組み立て、魔法の媒介として杖を使い、後者は感覚的に様々な魔法を、杖なくして扱う、程度の癖の違いが見受けられるそうだが、それも個人の性格や技量によるので、ウィザードとソーサラーにほとんど違いはないと言っていい。
「まったく…どこで躾を間違えたんだかね。覚えているかい?クソガキ」
「そんなの最初っからだっつーの!!テメェみてえな魔法以外なんの取り柄もないようなカスに育てられたんだからなァ!!」
「ねえ兄さんやめてよ、ご飯にしよう?僕ら学校に帰れないようにされちゃうって」
「あー?なんのためにそのガッコーに通ってると思ってんだ!コイツをぶちのめして見返すためだろーが!!」
「それ兄さんだけだよぉ…」
血気盛んなアメリカをなんとか止めようとしているのは、先程軽く触れたリリムの生き残り、カナダ。
リリムはサキュバスやインキュバスと言った一般の悪魔とは違う、所謂上位種族にあたる。
かの有名なリリスの子どもたちを指していた言葉だ。
リリムは本来なら、悪魔の生息地のうち、色欲という地域の魔王の血族のはずである。
悪魔の生息地は広く、7つに分かれていたが、色欲は代々リリムが魔王アスモデウスとなって治めていた。
しかし、何十年か前にとあるインキュバスが革命を起こし、そのインキュバスがアスモデウスの冠を戴くという事件が起きてしまう
更には当時のアスモデウス…つまりカナダの父親が処刑され、秩序が大変に乱れ、インキュバスはイングランドや大英帝国含む討伐軍によって討ち滅ぼされた。
カナダもそのインキュバスに隠されていたものの、戦後処理中に塔の中にいたところを発見され、興味を持った大英帝国が引き取ってきたのだ。
ちなみに学園では、個別の支配ではこうしたバケモノに対抗できない可能性があるとして、悪魔たちは大罪の王七人で共同して治められる現在の形に至った、というのが正史として語られる。
話が逸れたが、カナダもアメリカも、魔界的な価値基準でいえばかなり上位の種族だ。
大英帝国を恐れて緊張しきっているオーストラリアとニュージーランドも、そこらの魔物なんかよりよっぽど強いはずなのである。
オーストラリアは黒鳥物語に登場する文化英雄ウルナの魔力を引いた黒鳥の一族で、ニュージーランドは神々から人々へと死や死の知らせを伝える特別なピワカワカの一族なのだ、と大英帝国は言っていた。
まだ二人が雛だった頃に見つけ、魔力の高さと物珍しい血筋に興味を持って拾ってきたそうである。
元人間のハイウィザードたるイングランドや、それこそイギリスと同じ組み合わせの混血児である大英帝国なんかより、本来なら拾われ引き取られてきた四人の方が強い。
しかしそんなことはなく、いつまでも恐ろしく底の見えない力を誇るのだから、現実は小説より奇なり、なんてよく言ったものだ。
イギリスがそんなことを考えている間にも、大英帝国とアメリカは言い合っていた。
本当に仲が悪い。二人はどちらも最悪のタイミングで帰ってきたと思っているだろう。
「お父様、このままでは拙いのでは…」
「お前の兄は賢いですから、不安にならずともすぐ収まりますよ 」
父はメイドが淹れた紅茶を優雅に嗜み、母はその膝の上で嫌がって殺意に満ちた目で父を睨んでいた。
どうにも止める気のない両親にイギリスは困り果て、無駄に不安を煽られてばかり。
ずっと前に二人が喧嘩したときは、屋敷が半壊しても止まらなかった。
あんなに酷い喧嘩は初めてだったし、それ以降は会わないようにしていたとはいえ、やはり一度あったことは二度もないとは言い切れない。
「ねえ、なんかさっき空気がピリピリしてたけど、どうしたの?」
イギリスの不安は杞憂で終わり、大英帝国とアメリカのやり取りも、大英帝国側が飽きて落ち着いてきた頃。
「フランス、ようやく来ましたか 」
「なんか、アルスターくんに今はダメって言われてたの」
「お二方が落ち着かれるまで、扉の外で待機しておりました。皆様をお待たせしてしまい、大変申し訳ございません」
「いえ、良い判断です。幸いなことに諍いはすぐ落ち着きましたし、食事にしましょう」
「はい、直ちに」
大英帝国とアメリカの言い合いが聞こえていたのか、アルスターはフランスの登場で更に大英帝国が荒れることを避けてくれたようだった。
「やけに屋敷が薄汚れていたなと思えば…ソイツもいたのか」
アルスターの配慮も虚しく、大英帝国は再燃してしまったようだが…
「お兄様、喧嘩はやめてください」
「安心してよ、イギリス。俺がSNSで何人アンチの相手してたと思ってんの。今更こんなやつと喧嘩とかしないし」
「ですが…」
「相変わらず醜い角だな、カンビオン。少しはそのスケープホーンを隠そうとは思わないのか?」
「お兄様!」
不快そうに眉を顰める大英帝国。
スケープホーンとは、カンビオンに対する蔑称のひとつだ。
フランスのような巻角は、この魔界ではとても醜いという認識をされる。
天を衝くようにすらりと伸び、生命を表すように太く、大理石から象ったように滑らかな角。
それこそが良いもの。それこそが美しさ。
特にドラゴン、悪魔、その他角を持つ種族は恐ろしいほどその価値観に固執しているものだった。
醜い角と呼ばれるものの特徴は羊の角のようであり、羊は古くから神の子羊として神を表すものとして扱われることも多く、従順、無垢、犠牲を象徴し、神やら天使やらを想起させるものであったからこそ、悪魔からすれば不愉快だろう。
カンビオンが醜い醜いと言われる理由で、フランスのアンチの原因である。
顔と身体だけでは足りない。角まですべて揃って、初めて美しい。
大英帝国にはその価値観が自らの信条のように根付いており、そのせいでフランスが大嫌いなのだというが、 なんとも理不尽極まりない、とイギリスは何年も思っている。
「他人の角ばっか評価して楽しい?角すら持たず、ドラゴンやら魔王から奪うだけのくせにね」
「とても楽しいとも。だから私は美しい角が好きだ」
「ちょっと」
「アンタの二つ名、角狩り、だっけ?角なんか集めても何にもならないじゃないか。カルシウムと魔力の塊。それ以上でも以下でもない」
「私は美しいものを愛しているからコレクションしている。だが、お前にも意味があるのではないか?角を移植でもすれば、多少そのアタマもマシに見えなくはない」
「あの」
「これだから老害は嫌いなんだ。今や俺は世界が認めるスーパースターで、角を含めてこの世の誰より美しいと自信を持って言える。巻角が醜いって時代は終わったんだよ、おじいちゃん」
「角がおかしいと脳までおかしいのだな、ベルウェザー?」
「そうだよ、俺はいつでも世界を引っ張っていくトレンドさ」
「お兄様!フランス!」
今にも殴り合いそうなまでにヒートアップしていった二人を止めたのは、イギリスとアルスターだ。
「お兄様、早くしないと食事が冷めてしまいます。お父様の前でいつまでもそのようなことをしていては、面目が立たないのでは?」
大英帝国とフランスが喧嘩していた中でも、使用人たちは動いている。
美しいクロスのかかったダイニングテーブルには、外見からして整えられた食事が既に並べられており、あとはこの二人の空席を埋まるのみだった。
イングランドが最愛の番に食事を取らせるに不十分な状態が続いて苛立ち始めたので、これ以上の騒動を増やさぬようにと、イギリスとアルスターで止めに入った次第である。
「…そうだな、イギリス。こんな価値のないものに構っていては私の品位が損なわれる」
流石に大英帝国は即座に我に返って、イングランドの隣の空席へついた。
フランスの方もアルスターが宥めてくれたらしく、些か不機嫌ではあるが、大人しくイギリスの左隣の席へ。
「自分から始めたくせに…」
なにやら恨み言が聞こえるが、それに関してはもう無視を決め込んだ。
「はぁ…仕事より疲れた気が…」
「立派でございました、当主様」
アルスターに労われながら、イギリスは小さく頷く。
言いつけ通りフランスの近くについてくれているので、イギリスとも位置が近いのだ。
「…そうだ。フランス」
「なに?」
「毎週言っているので、もうわかっているとは思いますが、念の為。貴方の食事には、貴方が噛み切れないものは入っていませんからね」
フランスの前に置かれたスープとパン、そして特別柔らかく作られているメインディッシュを指差して、イギリスは言った。
「びっくりした、なぁんだそのこと?ちゃんとわかってるよ」
フランスにはまだ、痛覚鈍化の効果が残っている。
過去に一度、そのせいでとんでもない事故があった。
それはイギリスのトラウマなのだ。
幼かったフランスが肉料理の肉と自身の舌を間違えて噛み切ってしまい、イギリスは友人の口から溢れた鮮血が服にクロスに染み渡るところを目にしてしまった。
それが堪らなく恐ろしくて、しばらくは父の飲むワインや食事にかかる赤色のソースも怖くなり、まだ時々夢に出るのだとか。
それ以来、この屋敷で出るフランスへの食べ物はすべて柔らかく、もし噛み切れない肉があればすぐに吐き出すようにと指示し続けていた。
「本当に勘弁してくださいね、貴方は変に思い切りが良いから…」
「流石にあれは俺もびっくりしたから気をつけてるつもりだよ?安心してってば」
「はいはい、それでやらかしたらもう未来永劫コーンスープ以外出しませんからね」
「わ、わかってるよ…」
何はともあれ、漸く、もはや待ちに待った食事会の始まりである。
とはいっても、イギリスは食事を楽しむ余裕ができないほど兄とその周囲に気を配りながら食べていた。
今日はこんなに騒がしいのに、明日には全員旅に出たり、仕事に戻ったり、学園の寮に帰ったりしていなくなるのだから、そう思うと、案外心には寂しさが残る。
大変だけれど、家族は好きだ。
イギリスはこっそり微笑んで、カナダから好物を強請る俗なアメリカの足を、躾代わりに魔法で小突いてやるのだった。
コメント
8件
いやぁありがたい!本当にありがとうございます🙇イギリスは犬耳のケツラプンツェルということがわかりましたありがとうございます🙇尻尾を編み編みするその手間を考えると彼がいかにお坊ちゃまかよく分かります。建前上フランスとの利害関係だけだと思ってましたが、舌ちょん切れて血だらけになるのトラウマになるレベルでグロが苦手なのか、もしくはめちゃめちゃ情があるのが何とも質の良いツンデレ。ツンデレ大好きですありがとうございます🙇フランスもモデルとして活躍できるほどの美貌なんですね。立ち絵のハードルが上がる上がる、、、羊角は美しくない価値観なんですね、あのカーブの所が一番撫でてて気持ちいいんで私は好きですが、、、ビッグホーン並に角の主張激しかったのかな()上がる難易度恐ロシア、、、!イギリスの薬のせいもあってか自分が傷付くことにさほど気を割いてないのが最高にカンビリオンしてますね。後で出てきたやつ全部調べないと。 個人的には北アイルランドかアメリカを多腕にしたいですね。北アイルランドは変身能力というだけで自在に生やすことはできないのでしょうか、、、?今のところ妖精の羽的なのがくるくる巻いて手みたいな形にする事で性癖を満たそうとしてます、、、アメリカは人外感を出したい、、、器用そうだから四つ腕で生きたいですね、、、生意気そう。後大英さんショタコンだったらうれしいな(願望) それと!個人的に一番気になるのがスコットランドですねぇ、、、一体どんな性格なのか、イングランドとの関係性がめちゃめちゃ気になります。というかイギリス周り大好きなんでテンション爆上がりです。 できた順に3体ずつ出そうと思ってるんで、立ち絵に時間がかかりますがお許しを🙇 今回も世界観の広がりを感じる癖小説をありがとうございます🙇キャラデザに要望や間違いがあればまた遠慮なく書いてください!!
待ってください感動が文章にアウトプットできません色々溢れそう… いぎぎ が一番の苦労人なのかわいそう…家族にまともなやつがほとんどいない。いたとしても発言権が実質ないし… みんなのキャラデザがすごいしストーリーが深すぎませんいい意味で!? あいる の変身設定大好き! 洗脳…ぽいですね確かに…「濃厚な魔力をいただけるだけで十分」ってもう十分洗脳されてる立証が完了しましたけど… いぎぎ と ふら の関係が今までに見たことがない世界線になっててすごく好きです!!!!!! やってることは痛そうなのに薬のおかげ(せい?)で痛みなく淡々とこなしてくる ふら が大好き💕 舌痛そう…そらトラウマにもなりますよ… いんぐ と だいえー が完全に頭逝っちゃってる…というかその世界の普通ってなんだ… すこ のしれっと書かれてる設定すごく好きです…!!性自認無視して…膝の上に乗ってる妖精さんで…村滅ぼされてて… いんぐ のことが嫌いで… しれっとすごい設定を盛り込んでくる感じいい意味でやばすぎて最高です…!! 後半に移ります↓
深夜に書ききったので描写がめちゃめちゃでおかしいかもしれませんが、生暖かい目で見てくださいね… 書ききれなかった設定としては、スコットランドさんは別に女の子ってわけじゃなくて、ボディが両性です 多分中身はかなり雄々しい