テラーノベル
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朝、佐野勇斗 が転校してきた日。
教室ってだいたい転校生でざわつくのに、窓際で一人外見てる俺は振り向きもしない。
『佐野勇斗は吉田の席の隣な。』
そんなことを言われても俺は無反応を貫いた。
いつも独りだ。
今回も挨拶で終わるだろうと思ってた。
勇斗は席についてすぐ、小声で
「よろしく…」
俺は冷たく返す。
「うん、」
目も合わせない。普通ならあいさつそれで終わるのに、勇斗は俺の顔をずっとみていた。
休み時間、クラスの人たちが勇斗の周りに集まって質問攻めしてる中、俺だけ席で本を読む
誰も話しかけてこない。
勇斗は途中で立ち上がって、その輪を抜けて俺の席に近づいてくる。
「昼、一緒に食べない?」
俺はびっくりして顔を上げる。たぶん、その一言を言われたのすごく久しぶりで、返事が遅れる。
「……なんで?」
「なんでって、隣だし」
それだけ。勇斗は普通みたいに言う。
俺は少し迷ってから、小さく頷く。
昼、屋上近くの階段で二人で食べる。
俺は最初全然喋らなかった。
勇斗がずっとどうでもいい話をしてくる。
ふと勇斗のほら話に少しだけ笑ってしまった。
勇斗の動きが止まった気がして、横を見てみる
「笑えるじゃん」
そう言われて、俺はすぐ顔逸らす。
耳だけ赤くなってる俺を見てくる勇斗の顔は恋に落ちたかの様な顔をしていた。
放課後、俺は一人で帰ろうとした、でも勇斗がついてくる。駅を過ぎてもついてくる。
止まって聞く。
「なんでついてくるの」
「仁人のこと知りたいから」
その言い方があまりにもまっすぐで、俺は何も返せなかった。
そのまま歩いて、古いアパートの前まで着く。
大家が出てきて言う。
『もう家賃払えないなら出てってって言ったでしょ』
俺は、キョドってしまう。
落ち着いた後、
何も言わず引き返そうとしたら、勇斗が前に出て財布から札を何枚も出して払う。
俺は「やめて」って言うけど、勇斗は振り向かなかった。
それから無言で勇斗の家に連れて行かれる。
車で着いたのは信じられないくらい大きな家で、俺はさすがに「無理」って玄関で立ち止まった。
でも勇斗はそのまま振り返って言う。
「無理じゃない。今日からここ住んで」
俺は戸惑う。
「そんなの知らない人だし」
その瞬間、勇斗が近づいてきて、目を合わせてきて言う。
「知らないなら、今から知ればいいじゃん」
夕飯も、部屋も、お風呂も全部用意されてて。
俺は意味がわからないまま過ごす。
夜ベッドに座ってたら勇斗が部屋に来る。
隣に座ってくる。
しばらく何も言わない。
それから急に言う。
「俺、仁人のこと好き」
俺は固まってしまう。
朝会ったばっかりなのに。
勇斗の顔は冗談にも聞こえない顔だった。
「……意味わかんないから」
「でも本気。仁人がひとりなの見て、なんか母性なのかな?笑湧いてきて。俺が一緒にいたいって思えた」
俺はその時、なぜか拒否できなかった。
1人だったのは確かだった。
自分にこんなふうに言ってくれる人なんて初めてで、心臓が速く動く。
黙ってたら、勇斗が小さく聞く。
「付き合ってよ」
俺は下を向いたまま、すぐ返事をする事ができなかった。
朝会ったばっかりで、全部が急すぎて頭が追いつかない。
でも勇斗は急かさなかった。
ただ俺の顔を見つめたまま、小さく言った。
「嫌ならちゃんと言って。やめるから」
その声が思ったより優しくて、仁人は余計に胸が苦しくなる。
こんなに大事にされたことなくて、どうしたらいいか分からない。
勇斗の手がそっと頬に触れて、顔を上げる。
目が合った瞬間、仁人が少しだけ震えてるのに気づいて、勇斗が眉下げて笑う。
「こわい?」
俺は首を横に振る。でも声が出ない。
そのまま勇斗がゆっくり顔を近づけて、ギリギリで止まる。
触れるか触れないかの距離で、
「キス、していい?」
俺は息止めたまま、小さく頷く。
勇斗は、少しだけ目を細めて、すごく大事なもの扱うみたいに唇を重ねてくる。
一瞬だけ。
ほんとに触れるだけのキス。
でも離れたあと、俺は耳まで真っ赤になってしまった。
勇斗はそれ見て我慢できなくなってもう一回キスをしてくる。
今度は少し長めだった。
俺は息ができなくて服をぎゅって掴む、勇斗はキスをしたまま肩を抱き寄せてそのまま抱きしめる。
唇を離したあと、勇斗が額くっつけたまま言う。
「…かわいい。やばい」
恥ずかしくて顔を隠そうとするけど、勇斗に手を掴まれて逃がしてもらえなかった。
そのまま仁人が小さい声で、
「……いなくならないなら」
勇斗はその言葉を聞いた瞬間また唇を重ねて、今度は抱きしめたまま離さなかった。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡300
「絶対離さない。仁人は俺の隣」
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