テラーノベル
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課題も残りあと少し。
夏の暑さにもだいぶ慣れて、
俺の生活リズムも何となく落ち着いてきた。
朝から母親の監視の目は変わらないけど、
机に向かう手が少しだけ軽くなる。
kr「あとこれさえ終われば……」
そんな気持ちが、
心のどこかで膨らんでいた。
昼前、スマホに通知が来た。
tr「クロノアさん、今日ゲーセン行かね?」
pn「俺達でプリでも撮ってみようぜw加工マシマシでww」
sn「本当久々に会いたいですね…」
簡単な誘いなのに、
画面を見て固まった。
前なら即座に「無理。ごめん」だったけど、
今日の俺は、ほんの少しだけ迷っていた。
kr『課題まだだから、また今度』
結局そう返してしまう。
でも、そのたった一言を送信したあと、
妙に心が締めつけられる。
午後、残った課題を片付けながら、
みんなのメッセージを何度も
スクロールする。
pn「クロノアさんが来れたらもっと最高だったな〜」
tr「今年の夏は一回ぐらいは4人で集まりたいね」
sn「クロノアさん、無理しすぎないで下さいね〜!」
みんなの優しさが、逆に痛く感じた。
夕食の時、母が
「課題さえ終われば、あとは自由でしょ」
と珍しく甘いことを言った。
kr「そう…だね」
けど、その “自由” って、
本当に俺のためのものなのか
分からなかった。
夜、ベッドに寝転びながら、
自分の手のひらを見つめる。
この手で何かを掴みにいく勇気――
まだ、自分にはない。
だけど、みんなが誘ってくれる限り、
俺もいつか“行きたい”自分になれるだろうか。
そんな期待と、
どうしようもない不安を抱えながら、
目を閉じた。
コメント
2件
うんうん、やっぱり面白い! 続きが気になる終わり方するやん!! 楽しみダァ!!