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その日、渚は満面の自信をたたえて教室に現れた。
「鈴ちゃん。見て見て。俺の和服姿…これなら絶対モテる気がする…!」
バサッと袖を広げ、どや顔。髪もいつもより丁寧に整えられ、帯もしっかり締まっている。確かに見た目はイケてる。まるで和風ホスト。
「…なんで学校に和服で来たのよ。」
鈴の冷静すぎるツッコミにも、渚は怯まない。
「だってさ!非日常こそ、恋のきっかけになるって言うじゃん?さあ、今日こそは俺とお茶しない?俺、君のこと大切にするのにー」
決め台詞のつもりだったが、鈴は教科書を閉じることなく一言。
「無理よ。」
「えええ~~!?」
がっくり肩を落とす渚。だが、すぐに立ち直ってポーズを決めようと――
「うわ。和服って動きにくいな…くっそ〜…!」
バランスを崩して椅子に引っかかり、見事につまづく。
ドンッ!
床に倒れ込んだ渚を見て、鈴は小さく溜息。
「…着慣れてないなら無理しない方がいいわよ」
「でも…これでモテると思ったんだよ…!」
床にへばりついたままの渚。そんな彼を、誰も助けようとはしなかった。
残念イケメン、今日も華麗に散る。
………
「渚、ほら、立てる?」
「ありがとう…」
その後鈴に手を差し出されてなんとか立ち上がったのだった。
「やばい…下駄歩きにくいな…」
「支えてあげるから、元気出しなさいよ。」
若干渚はこれでもありだな。と嬉しそうなのでした。