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ソ連の大きな手の平のなかで、フランスの腕がギリギリと軋んでいた。過呼吸で苦しむイギリスを抱きしめるフランスの力は、恐怖によるパニックのせいで尋常ではない強さになっていた。このままでは、ただでさえ弱っているイギリスの身体を壊してしまう。
(まずいな、フランスの力が強すぎる。このままではイギリスの呼吸が本当に止まる……)
ソ連はウシャンカの奥で眉をひそめ、冷徹に状況を分析する。
アメリカもまた、イギリスの冷え切った左手を握りしめながら、内心で激しく焦り狂っていた。
(フランス、力緩めろよ! 親父の身体が保たねぇ!!)
「わか、んな、かわ……っ」
過呼吸のイギリスを抱えたまま、フランスは壊れた機械のように呟き続ける。焦点の合わないオッドアイが、暗闇の中で激しく泳いでいた。
「フランス」
ソ連はあえて低く、地響きのような、けれど絶対に揺るがない確固たる声を放った。
「それ?……ん……?」
「おれだ。イギリスは今、アメリカが守っている」
ソ連の大きな手が、フランスの頭を優しく包み込む。
「まも、る……?」
「ああ。外側を守るのは、俺と、お前だ」
ソ連のその言葉が、フランスの閉ざされた世界の殻を破り、鼓膜の奥へと染み込んでいく。
「――だから、イギリスを潰すな。力を入れるのをやめろ」
「……、……あ、ぅ」
ハッと我に返ったように、フランスの両腕から、嘘のようにガクンと力が抜けた。
自由になったイギリスの胸が大きく上下し、「はぁっ、ひゅう……っ!」と、ようやく途切れ途切れの空気がその喉へと流れ込んでいく。すかさずアメリカがイギリスの背中を支え、自らの胸へと引き寄せた。
力を失ったフランスの両手は、冷たい床の上へと力なく落ちる。
そして、自分の腕が引き起こしかけた「最悪の事態」を理解した瞬間、フランスの瞳から再びボロボロと涙が溢れ出した。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……っ!」
床に額を擦り付けるようにして、フランスは今度は謝罪の言葉を狂ったように繰り返し始めた。
かつて教育係に体罰を受けていた頃、許しを請うために何度も何度も口にさせられた、呪いのような言葉。
「ごめんなさい、ぼくが、ぼくのせいで……っ! ごめんなさい……!」
ベレー帽が完全に床へ転がり落ち、隠されていた左の青い瞳と右の赤い瞳が、涙でぐしゃぐしゃになって暗闇に晒されていた。
自身も弱りきって、恐怖の底にいるというのに、それでもフランスは傷つけてしまいそうになったイギリスへの罪悪感に、狂わされそうになっていた。
コメント
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第11話、めちゃくちゃ重くて心臓ギュッてなった……。ソ連の「外側を守るのは俺とお前だ」って台詞がめっちゃ沁みた。冷静だけど優しいリーダー感、かっこよすぎる。フランスの「ごめんなさい」連呼のシーンは、過去の体罰の記憶がチラついてて、ただのパニックじゃない深さを感じた。国家の擬人化って設定を超えて、一人の人間のトラウマと向き合う話になってて刺さりまくり。続き早く読みたい🔥