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※もう、ね。相談に答えるというか反省会……笑
📩 相談
中2男子(仮名:Tくん)より
ある友達にひどいことを言ってしまったのに、
タイミングを逃して、謝れませんでした。
今さら言っても許されない気がするし、
普通に接してくれるから、余計に言いづらくて。
でも、ずっと心に残っていて、苦しいです。
日下部
「……言えるうちに、言った方がいいと思う」
「オレ……あのとき遥に、ちゃんと謝れてたらって、ずっと思ってる」
「ごめんって、言うだけのことが、なんであんなに難しかったんだろうって……」
遥
「……言われたって、何が変わるわけでもねぇけどな」
「過去のこと、取り消せねぇし。
謝ったらスッキリするのは、言う側の方だろ」
日下部
「……それでも、
“悪かった”って思ってたこと、伝えたかったんだよ」
「許してほしいんじゃなくて、
“忘れてない”って、それだけでも伝えたかった……」
蓮司
「へぇ。
でもさ、謝罪って、ほんとは“誠意”でも“勇気”でもないと思うんだよね」
遥
「またひねくれたこと言い出したな……」
蓮司
「だって、“謝ってる自分”って、無意識にすごく安心してない?
“やれることやった”って顔して、
“過去の自分”と手打ちしてんの」
日下部
「……でも、それすらできないこともあるんだよ。
言えなかった後悔を、抱えたまま生きるって……」
蓮司
「うん、それもわかる。
でもオレは、“後悔してるフリしてる自分”も、
ちょっと信用できないと思ってる」
「オレね、昔、ちょっとやりすぎたなって思うことがあってさ――
でも、“悪かった”っていう感情が、出てこなかったんだよね。
あのときも、今も」
遥
「……おまえ、そういうとこあるよな」
「謝らないのは、自分に感情がねぇってわかってるからか?」
蓮司
「うん。あるかもね」
「“悪いことをした”とは思ってる。
でも、“申し訳なかった”とは、たぶん思えてない。
その差をちゃんと持ってるやつって、あんまいないよ」
日下部
「それ、悲しくないのか……?」
蓮司
「悲しくないよ。
感じられないやつに、悲しみなんてないでしょ」
「ただ、そのまま生きてる。
だからオレ、人に“許されたい”とも、あんま思ったことないんだよね」
遥
「……謝られても、戻んねぇけど。
でも、言われたら……
たぶん、どっかで、救われるやつもいんだよ」
日下部
「……うん。
だからオレ、今日ここで言っとく。
遥、ごめん。
あのとき、ちゃんと謝れなかったこと……ずっと、後悔してた」
(沈黙)
蓮司
「へぇ……いい空気だね。
なんか、“青春”って感じ」
「ま、そういうの、できる人間は、しといた方がいいよ」
「オレは、たぶん、できないから」