姉御は突然走り寄り、粉雪が舞う中俺に抱きついてきた。
「どうしたんすか?」
「お前を脅かす、波調を感じた。いてもたっても入れなくて波調を追ってきた」
「姉御、そんな能力あったんだ。。。」
俺は何故か姉御の背中に腕を回さなかった。肩にそっと左手を添えた。
「何か霊的なものと接触したか?」
「。。。いや、特には」
姉御は俺の右腕をみた。
「その包帯は?」
「古傷から出血があった」
「見せてみろ?」
姉御は俺の腕を観察する。
陰陽師関係のやつと接触はあったか?
「陰陽師?なんの事だ?」
「お前の腕から感じられるのは、式神の毒気、、、はっきりとはわからないが恐らく白虎だ。」
「式神?白虎」
13年前、鎌倉乱闘事件の時、ツグミは確かに獣のような状態になりこの右腕に噛み付いた。おそらく電車の中で中島の浄化領域に入った時に毒気というものが浄化され右腕が動くようになった。
「式神っていうのは陰陽師が召喚する鬼神だ、その中でも凶将に属するのが白虎だ」
「腕が動かないんです。。。」
「骨や筋肉、神経は問題ない、式神に支配されてるから式神を祓うか、飼い慣らすしかない。」
「。。。」
急いで何かしても仕方ない、13年動かなかったから、動かない事には慣れている。
「てか、姉御は花魁淵の時の記憶はどうなんですか?」
「川下りした後は覚えてない、学(ドク)から何となくは聞いたが、解決したのなら過程はどうでもいい。」
メイドモードの方が可愛げあってよかったかも。。。
「気が向いたら学に相談しろ」
姉御はそういうと雪降る夜街へホワイトアウトしていった。
何故抱きついてきたのか?あの人は本当にわからない、不思議な女だ。
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