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__目が覚めるとそこは、荒れ果てた我が土地だった。
…何年、経ったのだろうか。
幾度もの戦争、介入で、街も、豊かだった畑も、何もかも灰となってしまった。
____戦争が終わった。
戦時中の記憶は全然なくて、ただ体を引きちぎられたり、毒瓦斯を吸わされた苦しさと、見捨てられた子どもたち、痛い、苦しい感覚だけは鮮明に覚えている。
後は、全然覚えていない。思い出そうと思えば思い出せるかもしれない、けど、そんな気は、沸かなかった。
どうにかしてボロボロの体を起こし、荒れ果てた景色を見回しながら、
「…..W końcu to już koniec.」
(やっと、終わった..)
そう、静かに呟いた。
戦争は、終わったのだ。
無惨で、残虐な悲劇は、ついに終演の時を迎えたのだ。
もう、当分は体を真っ二つに引き裂かれたりは、しない…だろう。
「戦争は….嫌いなんよ」
好きだった場所、思い出の場所が焼け野原になるのを、何度も見せつけられた。辛くて苦しくて、今すぐにでも逃げ出したかった。__戦争なんて、嫌いだ。
“もう終わったことだろう?”なんて言葉で片付くはずのない、片付けてはならない、
僕のこの”痛み”は、失われた”幸せ”は、奪われた”モノ”は、もう二度と還ってきたりしない。
これだから、戦争は嫌いなんだ。
何もかも、失って無くなってしまうから。
大切な人だって………..
大切な、人…. ふと、誰かの名前が、脳裏によぎった。
「__リト……….」
そうだ、いつも僕の頭の中にはその名前があった。戦時中も、何か辛いことがあったらいつも思い出して元気をもらっていた。大切な人の名前__。
ぶわっと、無意識に涙が出た。
_リト、Litwo..君は僕を元気づけてくれた、緑輝の瞳、明るい声、全てが、全てが僕にとっての宝物だった。君と過ごした時間がどれだけ僕にとって幸福だったか…。
「リト、…Byłeś dla mnie jak słońce.」
(君は僕にとって、太陽のような存在だったよ)
あぁ、またあの幸せな時を、過ごしたい。ボロボロになってしまったけれど、叶うならばまた、やり直したい。
また、君の、隣にいたい。
笑顔のリトの手を引いて花畑を走り回った思い出、並んで見上げた黄金色の空__
「もう、100年….かぁ」
長かったなぁと思いながら、でも、思い出はずっと色褪せなかった。
胸の奥にずっと残り続けていた、名前。
「__Chcę cię zobaczyć, Litwo.」
(リトアニア、君に会いたい。)
灰色の空を見上げて、大切な人との思い出を思い出し、再会を願って、言葉を贈った。