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_みぞれは、誰もいないリビングの机で突っ伏し、静かに眠っていた。
驚く程に綺麗だった。
もう生きていないんじゃないか_そう錯覚してしまうほどに。
「…みぞれさん…?」
窓から差し込む暖かい陽光がみぞれの純白の髪を水色に照らす
暖かいくせして、美しいくせして、レイマリの目には冷たく写ってしまう
レイマリは恐る恐る近付く。
静かすぎるリビングの中央へ、ゆっくり、ゆっくりと近づく
_どうして、こうなったんだっけ。
レイマリは考える。
みぞれが座る席の向かいに座る
すぅ、すぅという寝息が聞こえる
彼女はタヒんでなどいない。
レイマリは安心した。
「…よ、よかったぁ」
「…わたし、本当に嫌なことがあったら、タヒんじゃってたら、どうしようかなって」
「…わたし、私は…」
「…レイマリ?」
右斜め後ろから声をかけられる
「うわっ!?…メテヲさん…?」
「…なんでみぞれさんの前で震えてんのさ?」
「…」
「……私、怖いんです」
レイマリは口をつぐんでしまう
その恐怖が宿った声は、普段のレイマリからは想像もできないほどほつれ、儚く、消えてしまいそうであった
メテヲは、どこかで感じた感覚を思い出す
言葉が何も出てこない、違和感を感じているはずなのに、何も出てこない。
(…けど、どこで感じたんだっけ)
考えても、そんなことを思った記憶はどこにも見つからない。
_誰なら教えてくれる?この違和を、苦しみを、モヤ付きを_
_誰なら、全て答えてくれる?
「めめさんは…だめか。」
「…はい。」
「めめさんも、どうしたらいいのか分からないみたいで。」
_重い空気のなか、みぞれが目を覚ます
「…あ、あれ…?いつのまに、私…」
「…みぞれさん…」
みぞれは困惑した様子で聞く
「…え?お二人ともどうしたんですか?」
「みぞれさん…あの…」
レイマリは聞こうとする。
だが、まるで時が止まったかのようにそれは言葉に出来なくなる
「…?」
「…??」
歪む
視界が歪む
それはみぞれの影響ではない、みぞれはただ机でぼうっとしているだけなのだ。
そんなみぞれが、時計を持たないみぞれが_世界を___
「…あれ…」
(…なんで、私”時計”のこと知ってるの…?)
___
みぞれは気づく。
_正面に座る2人の顔が、次第に黒く染まっていることに
「…え?…え?」
「…?み▋れさ…?」
「▋▋れさん…?どうした▋です▋▋?」
何重にも重なって聞こえる声
「…?」
「いや、嫌だ、なんで?」
「前と違う、前は…」
そんな言葉を夢中になって零す
止められない、吐き出してしまうかのように
「…?前は…?」
そんな彼女の零す言葉に、メテヲが反応する
「…前は、って…」
「…!!」
「めめさんに、言っ………!!!」
レイマリが立ち上がろうとすると、視界は酷く歪み、まるで引き寄せられるかのように床へへたり込む
ガタン、という音に誰かが反応したのか、階段を急いで下る音が遠くから聞こえてくる
だが、歪みは収まることなく回転し、ぼやけてゆく
(何も考えられな__!!!)
レイマリは倒れ込み、メテヲがレイマリの元へ駆け寄る。
「レイマリ!!レイマリ!!!」
「しっかり__!!!」
(…!?)
(もしかして、レイマリが苦しんでんのって…こ…れ……??)
___
みぞれはただ壊れたかのように前は、前は、前はと呟き続けた
恐怖に怯え、涙らしき水が流れてくる。
モヤのかかった2人の顔を見たくなくて、みぞれは目を覆う。
(なにが…どうなってるの…?)
(ねぇたすけてよ…ねぇ、ねぇ…)
だが、モヤはどんどん増える
他のメンバーらしき声が聞こえるが、それは何重にも重なって、呪いのように聞こえる
「…い、いやだ、もういや、いやだ_」
「誰か_たすけ……」
途端、視界が橙に染まる
焦げ臭い臭いがこちらにまで迫る
__
「…!?レイマリさん!!メテヲさん!!」
iemonが叫び、3人の元に駆け寄る
「何が起こってるんだよ…!?」
「みぞれさんもメテヲさんもレイマリさんもおかしくなって_」
途端
みぞれの座る椅子付近から、炎が吹き出始める。
「…は!?」
「…は?…は!?」
酷く同様するが、おかしくなったみぞれが炎から離れようとする素振りを見せない。
よく見るとみぞれの目は、瞬きもせず、ただ1点のみを見つめていた。
置かれていたのは、プレゼントの1つだった
(…これ、誰かのだよな……?)
iemonは手を震わせながらみぞれが凝視するプレゼントを開けた。
_時計だ。
「…どうしたらいい!!?」
iemonが必死にそう叫ぶと、みぞれの瞳孔が少し震える。
「…そ、れを_」
みぞれは声を発する。
炎はみぞれを避けるように広がり、次第にレイマリ、メテヲの元にたどり着く。
「…ぁあぁあぁあああっ!!!!!」
iemonは気が狂ったかのように叫び、自分の手元の時計を走ってみぞれのすぐ側に置く。
みぞれは時計を取ると、針を動かす部分に手を添える。
「…皆さんを…助けるんです。」
_視界が橙に染まる。
(…もう時間が無い_)
(…私が…)
みぞれは針を戻す。
ぐるぐる、ぐるぐると逆方向に回る針
iemonは、先に倒れてしまう。
「…助ける…ってんなら、任せましたから。」
「ゲホ、ッゲホ…!!」
煙が、iemonをじわじわと殺していく
みぞれの意識が明滅する
「早く……はや、く………!!!」
何がなんでも、助けてみせるから。