17本の向日葵

⚠薬･リスカ(ちょっと)

その日も、侑は練習中に治の姿を追いかけていた。治が他の部員と楽しそうに話しているのを見ると、心臓を鷲掴みにされたような苦しさを感じた。特に、角名と話しているときの治の笑顔が、侑の胸を切り裂く。

​（なんで、俺には笑ってくれへんのや…）

​その嫉妬は、侑の心を徐々に蝕んでいった。練習中、治がスパイクを打つ。いつもは完璧なトスを上げるはずの侑の手から、ボールは大きく逸れた。

​「ツム、なんや今のトス！？」

​治の鋭い声が体育館に響く。侑は、何も言い返せない。ただ、俯くことしかできなかった。治は苛立ちを露わにし、角名の方へ歩いていく。

​「な、角名ー…今のトス、ありえへんやろ」

​治の声が、侑の耳に届く。角名は、スマホを弄りながら、淡々と答える。

​「まあ、ありえないとは思うけど、別にいいんじゃない。そういう日もあるでしょ」

​その声は、いつもの角名の声だった。だが、侑には、それが治を慰めているようにしか聞こえなかった。

​（俺のトスで、俺のことで、サムは…角名に慰められとるんか…）

​心臓が、再びきゅっと締め付けられる。侑は、その場でしゃがみ込み、頭を抱えた。

​「う…っ、くそ…」

​震える声が、誰にも届かないように、消えていく。

​その夜、侑は薬に手を出す。手首の傷はもう隠しきれないほど増えていた。カッターを握り、薬の瓶を手に取る。

​（もう、どうでもええ…）

​薬を数錠、手のひらに乗せる。数錠では効かない。どんどん増えていく。10錠、20錠…一気に口に放り込み、水で流し込む。喉の奥に広がる苦い味。その味は、侑の心を満たす絶望の味だった。

短くてごめんなさい🙇‍♀️キリ悪いし結構色々ダメだった💦