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中日
「……怖くないアルか?」
月がまだ空にあるうちに、中国は小さく問いかけた
指先は日本の太ももをゆっくりと撫でている
布越しではなく、素肌の上を、ぬるりと滑る確かな熱で
「……もう、分からないんです」
日本の声は震えていた
それが恐れか、快楽か、自分でも分からないのだろう
けれど――逃げようとは、しない
「君の中まで触れたら、もう戻れないアルよ」
「名前も、心も、全部……俺のものになるアル」
そう囁いた声に、日本は静かに目を閉じた
まるで、諦めるような、受け入れるような、そんな静けさだった
中国の手が、そっと脚を開かせる
力ずくではない
ただ、“拒めない”空気を纏っていた
「……っ…ん……く…」
触れられた瞬間、息が漏れる
そこはもう、火照りきっていた
熱をもった指が、濡れた奥に触れ、静かに探りを入れていく
「っ……あ……ん…や、やだ……っ、そこ…っ、やめ……っ」
「口ではそう言うアルに、身体は……ほら、もう飲み込んでるアル」
濡れた音が、月の下に微かに響く
理性の奥で、日本は気づいていた
これはただの“関係”じゃない
中国の指が、深く沈むたびに
何かが、心の奥から崩れていく
「もっと深く、奥の奥まで、君を知りたいアル」
「快楽で溺れて、名前すら呼べなくなったら……その時、ようやく本当の声が咲くアル…」
中国は、日本の髪を撫でた
まるで愛おしい花に触れるように
「俺だけが知ってる君の声を……もっと、咲かせるアルよ」
そして――指が、いちばん深くへ届いた瞬間
日本は喉から、押し殺した悲鳴のような甘い声をあげた
「……やっ……やだっ……! やだのに……っ、からだが……!」
「そうアル、それでいいアル……」
「今夜、日本は我と――ふたりで堕ちるアルよ」
次回:第六夜「愛を、認めてしまった」