暁:「あーあ何処かの突っ走り馬鹿のお陰で結紐が切れたわ」
黒月:「あのな、俺のせいもあるだろうがそういう風にしたのはお前だろうが」
初任務の最中黒月が磔にされ喉元に刃物を突き付けられた事で「家族が危険」に晒された、そのせいかお陰か暁の髪を高い位置でポニーテールにしていた結紐がぷっつり切れたので、普段就寝時以外に解くことが無い暁とって今髪をおろしているのは不都合なのだ
瑠征:「家族が危険になると結紐が切れるって本当だったんですね」
翠恋:「間近でみる事はそう無いものね~」
賀樂:「ストックはあるだろ?結紐の」
暁:「あるけどね・・・」
それとこれとは話が別だと思いつつ任務は終了しており黒月が磔になった原因も捕獲済み、あとは連合に報告して帰宅するのみ・・・とは行かないもので
犯人:「私を警視庁に引っ張ったとしても無駄手間でしか無いぞ」
瑠征:「お兄さんが行くのは警視庁では無くて連合なんですけど・・・」
まさかの警視庁が出て来るとは、連合は政府に認められている合法組織とは言え認知度は低いので良く起こる事らしい
犯人:「それに私には”あの先生”が付いてるから君達なんて屁でもない」
”あの先生”誰だろうか、それよりもこの犯人を連行しなければ
賀樂:「はいはい帰んぞー」
瑠征:「分かりました!」
翠恋:「帰ったら何しようかな~」
黒月:「疲れたー」
暁は黙って先導する兄、賀樂について行くが暁にはどうにも”あの先生”と言う言葉が妙に引っかかる、忘れているだけかも知れないがその言葉が引っかかる節は無いはずだと悶々と考えつつ連合へと帰還する
ー連合ー
翔:「・・・ん、此奴で間違い無いな」
暁:「まるで殺人現場でしたよ、ざっと七十人は転がってたかな」
翔:「七十・・・他の報告通りだな・・・」
今回担当した任務で分かった事、それは想像以上に<カルマ>が残虐で不愉快極まりない事、七十もの命を奪っておきながらゲラゲラと奇声をあげ更に命を奪おうとする姿勢・・・実に不快だ、暁が知るまでにも<カルマ>によって数千数万もの命が奪われ続けている、それはもう世界問題になる程に
暁:(”あの先生”・・・と同じかは知らないけど私達の先生は、元気かな)
翔:「・・・報告も終わったし帰っても良いぞ・・・」
暁:「あ、ああ分かりました」
黙り込み考え事をしていた様で、気を使わせてしまったかも知れない、がやはり気にはなるので聞いてみる
暁:「翔さん、捕まえた犯人が”あの先生”と言っていたんですが、何か分かりませんか」
翔:「・・・・・・そう遠くない内に分かる、俺は次の任務もあるし退散だ」
誤魔化された様な隠された様な、任務だと言って去っていってしまった、連合でも”あの先生”と言う人物はそれだけ重要なのかも知れないと、呼び止める事はせず帰路を辿る
暁:「皆はもう帰ってるし・・・今日の晩御飯は何かなー」
何がリクエストされても良いように材料は買い込んであるが意外と皆バラバラの献立を所望してくる事が多々あるので油断は出来ない
ー朱空家 リビング(居間)ー
帰ってきてみれば、母と父が不在なのか居間のテーブルで項垂れている兄弟計四人、そして腹の音が聞こえてきた
グゥゥゥゥ
暁:「・・・一応聞くね、自分達で作ろうって気はなかったの?」
黒月:「そもそも俺は調理台に立つ事すら今禁止」
瑠征:「帰ってから宿題やってました・・・」
賀樂:「俺も大学のレポやってたし・・・」
翠恋:「私は部屋の掃除~・・・」
それでも充分に時間はあっただろうに何でなんだと思えば再度兄弟達が口を揃え言う
四人:「そもそも今日の料理当番はお前/暁/姉さん/だろうが!/でしょう!」
暁:「・・・・・あぁ、そうだった」
思い出した様に手をポンッと叩く、そうだったじゃない!と思う兄弟達に今から作るから待ってなさいとでも言うようにキッチンへ、あまり時間を掛けては更に機嫌を損ねてしまうので作り置きの物で手早く済ませる事にして晩御飯を食べ終わり兄弟たちの機嫌も直った頃、母 光来と父 縁が帰宅
光来:「初任務お疲れ様、お土産あるわよ」
縁:「真逆罪界まで行くとはね、只の調査任務だと聞いていたのに」
兄弟:「罪、界?」
今日で二つ目の気になるワード、「罪界」って何なのだろう、大方翔から聞いたのだろうが
縁:「また聞く事になるだろうけど、説明しておこうか」
光来:「罪界って言うのは私達陰陽術師が祓うべき対象の<カルマ>の住処、本来なら人間や妖怪が立ち入る所じゃないのよ、連合に所属してる人は別だけど」
縁:「連合に所属している人達には特別に許可が降りているからね」
成程、あの<カルマ>がうじゃうじゃと居る場と言う認識で良さそうだ、その”特別な許可”が無いと滞在する事はおろか入界すら禁止されていると言う、その方が安全だと思い、政府と連合が位置付けたらしい、そして黒月が磔にされた場こそが罪界なのだと知った
ー[罪界]ー
連合が標的とする<カルマ>の住処及び生息地、界層と呼ばれる空間が幾つも存在する、そしてその罪界に立ち入る事を入界と言う
だから忌々しさやら禍々しさやらを感じた訳か、どうやら<カルマ>達は人一人不快にさせる事は容易の様だ、何故かは分からないが「やらねばならない」とその場に居た兄弟全員が思った
ー次回 名を持たぬ式神鳳凰ー
ーTo Be Continuedー
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