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罪界についての説明を受け皆それぞれ寛いでいたので約束のアップルパイは明日作る事にして暁は自室に戻って着替えを終え何をしようかとのんびりしていた、すると聞こえてくる声が一つ
鳳凰:「やっと一人になりおったの、娘や」
暁:「ピャ・・・!」
思わぬ声の主に驚きおかしな声が出てしまう、これには鳳凰も驚いた様でクスクスと笑いを堪えているのが分かる
暁:「笑うなら笑いなさいよ・・・変な声でた・・・」
鳳凰:「くふふ、済まぬの娘つい笑ってしもうた」
暁:「あと、私の名前は娘じゃない」
鳳凰:「そうかそうか」
にこやかにそう言われまるでおばあちゃんみたいだなと思いながら鳳凰に問う
暁:「貴女って名前が鳳凰なの?それともただの種族名なの?」
鳳凰:「簡単に言えば妾は名を持たぬ、お主の言った通り[鳳凰]は種族名に過ぎぬ故、先の主から離れた後は名乗る名など無くての」
暁:「つまり?」
鳳凰:「妾に名をおくれ、現主 暁や」
名をくれなど、何時ぶりに言われただろうか、雅や大蛇に名付けをした以来では?と思い目をぱちくりさせる、鳳凰に名付けなど一人の人間が行っていいものかも分からないが付けてくれと言われたからにはテキトーにぽいっと付けられるものじゃ無い、しかも親切に「名をおくれ」とまで言われてしまっては致し方あるまい
鳳凰:「嫌か?嫌だと言うのなら無理強いはせぬよ」
何故だろう、「無理強いはしない」と言ってくれているのに言葉に圧がこもっている気がしてならない
暁:「・・・変な名前になっても文句は言わないでよ」
鳳凰:「流石は妾の主、物分りが良くて助かるの」
どんな名前がいいだろうと思うが、鳳凰に付ける名前だ、ご大層な物になる可能性が否めないが名をくれと言った本人、本鳥(?)からは期待が向けられている気がする
暁:「・・・妃泖」
[妃泖]声に出さず考えようと思っていたらボソッと声に出ていた様だ
鳳凰:「それが妾の名かの?」
暁:「嫌なら鳳凰のままで呼ぶけど?」
鳳凰:「否、嫌な訳では無いぞ、寧ろ鳳凰より先々の主が付けた名よりもしっくり来る名じゃわ」
暁:「なら今日からって言うか今から鳳凰じゃなくて妃泖ね」
妃泖:「感謝するぞ、主よ」
妃泖と言う名を貰い、少々上からではあるが感謝はされているので悪い気分ではないし、とても気に入ってくれた様子、と思えばノックが聞こえた
暁:「どうぞ」
雅:「失礼しますお嬢様」
大蛇:「俺も居ますよお嬢」
ノックの正体は元より己の従者であり式神の雅と大蛇、どうしたのだろうかと思えば雅が口を開く
雅:「弟様がアップルパイが明日まで待てないと」
妃泖:「黒坊は子供じゃの〜?」
鳳凰である妃泖は暁を通し物事を見ているので声も式神同士又は主にのみ聞こえる、式神でありながら宿り神の様である、そして黒坊は勿論黒月の事
大蛇:「鳳凰様がお嬢の式神ってマジだったんスね・・・ちょっと疑ってましたわ」
妃泖:「今は妃泖と呼べ?鳳凰はただの分かり易い名称じゃ」
雅:「ではその様に、そして弟様はどう致しますか?」
ほっとけほっとけと視線を送る、目は口ほどに物を言う様に、雅には大蛇くらい砕けた口調で接してくれて良いと言っているのに全く変える様子が微塵もない頑固な狐、それに暁は「お嬢様」とは名ばかりの・・・名家から嫌われた除け者なのだから
大蛇:「まぁこんな世間話しに来た訳じゃねーんスわ・・・お嬢”お上”に何かしました?」
”お上”それは朱空本家の最上層に属するお偉い様方の事、政治にも関わっている集団の様な者達で現在の朱空本家の当主を筆頭に存在している
雅:「先程この様な手書きが送られて来まして・・・僭越ながら読ませて頂きます」
その手書き・・・要するに手紙を懐から取り出し読み出した、その内容はこうだ
[ー朱空家”元”本第二御息女様ー 貴女方の御家族、血縁関係にあるもの達は我々最上層に背き貴女を死なせて居られぬ様子、従って少々手荒な法を取らせて頂く所存、しかしそれが嫌と申されるのであれば”呪い子”である貴女が此方へ赴き直々に処罰を受けて頂きたく思っております]
雅:「朱空家最上層部一同、と」
随分と腹の立つ文を送り付けてきたものじゃなと妃泖は呟くが暁は聞いていなかった、何せ”お前が死んで居ないからお前の家族を手に掛ける”と言っている様なもの、今まで己が呪い子と呼ばれようがどうでも良いと割り切ってきたが、今回ように家族に手荒な真似をすると言われれば流石に動揺もする
大蛇:「お上は相当頭に来てるらしいっス、どうするんスか?」
妃泖:「妾達の主が生きている事にどれだけの不満があるやら・・・」
雅:「許す事は出来かねますね」
式神達がそう話して居ても何も聞こえぬかの様に固まり俯いたままの暁、その様子に従者の二人は困惑し宿っている妃泖は「致し方あるまい」と頷く
<カルマ>より先に朱空の家系関係が崩れるやも、と不穏が過ぎる
この未来がどうなるかそれは自分でもわかる事はない
ー次回 どうしてー
ーTo Be Continuedー