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「吉〜!」
「Bonjour!」
そう言って私に抱きついてきたのは、隣国の化身に仕えているドール、仏華でした。
「Hello.仏華」
彼女が隣に居て、笑っている。なんて、幸せなんでしょうか。やっぱり、好きですね。
「吉、今日のお泊りの買い出し?」
仏華は、相変わらずキラキラと光り輝いている赤と青の瞳で此方を見つめながらそう言いました。
「えぇ。主様は、フランスさんに抱きつかれて身動きができそうになかったので」
数十分前の光景を思い出して、ついつい、笑みが溢れてしまいました。
「jeのご主人がごめんね」
少し可笑しそうに仏華はそう言いました。
「にしても、颯太がお泊まり会を提案するなんて珍しいよねぇ〜」
思い出すように仏華はそう言いました。
颯太は、オーストラリアの化身に仕えているドールです。彼は、私の弟でもあります。
「そうですね。しかも私の家で」
私の家、と言いましたが、正確には、イギリス家の家と言った方が正しいですね。
イギリス家の今居るの方々は、私と主様の二人です。昔は、スコットランド様やイングランド様、旦那様も居ました。
「確か、久し振りに家族で集まりたいじゃん!って理由だっけ」
楽しそうに笑いながら仏華はそう話しかけてきました。矢張り、可愛らしいですね。
「本当に、彼はいつでも元気ですよね」
彼女と話しているとついつい笑みが溢れてしまう。あぁ、幸せだな。ですが、颯太達は、“私”を好きなだけで、“俺”は好きでは無いのでしょうね。
「では、早く買い出しを終わらせて帰りますか」
「だねぇ〜」
穏やかな顔で笑う彼女。
彼女も、あの頃のことをどう思っているのか。なんて、私には分かりませんね。
「吉、今日ってさ、日本国では、お盆って言って、死者の魂が帰ってくる時期らしいんだ。奥様もヴィシー様も、、、、、、なんてそんな事ないよね」
苦しそうな、悲しそうな、そんな歪んだ顔でそう独り言のように話す仏華を私は見ていられなかった。
その後の買い出しの時の彼女の様子は、いつもの“仏華”で、何ら変わっていませんでした。