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グルッペンの「おもろいやん。気に入った」という言葉が、部屋の隅々にまで音を響かせた。
その声で、圧の張り詰めた空気が一瞬ほどけるようにも感じられたが、俺はそれが油断の合図とは思わへんかった。
レパロウはまだ椅子に座ったまま。
それでも緊張や震えはなくなったらしく、はっきりとした強い眼差しで前を向く。
戦う兵士としてその熱と眼差しを持つのは、判断において一種の好材料になる。
信じる者が、努力を続けた奴が、選ばれる証明かもしれん。
グルッペンが微笑みを保ったまま一息つき、皆がその言葉の余韻を噛みしめるように静かに待つ。
さっきまで反対しとった奴らの顔はそれぞれで、興味と警戒の混ざった表情。
そんな中、トントンがゆっくりと紙に内容を綴りゆく音だけが、かすかに聞こえる。
gr「よかろう。お前の忠誠心、その言葉、その覚悟を確かめた。」
その一言で、レパロウの背が更にしゃきっ伸びた。
が、続けて
gr「、、ただし即座に幹部に任命するわけにはいかないんだゾ。」
張り詰めた緊張感が戻ってくる。
次に紡がれるのはなんなんやろか、
この場におる奴全員が傾聴しとる。
「と言うわけでエミさん、なんかええ案ある?」
em「えっ、私ですか!?」
予想外の方向に振られた話に戸惑うも、まぁ相変わらず回る頭でエミさんが絞り出した。
em「試用任務として後方支援、偵察、小規模護衛――民間人との対面を含む部署を経験する、でしょうか。それぞれ付いとるから、部署ごとに『幹部の器に足りる人材』かを判断すればええんとちゃいます、、、?
それが終わったらまたグルさんが正式に価値があるか見定めればええ。
ウチの国の最終判断は統領やから。」
とエミさんの言葉を聞き終わるなりグルッペンは
「それで」
と即答する。
まぁ適切な判断やろ。
それはそうと、、、、
rbr「、、、元は戦闘試験での合否、昇格判断やったからこそ、納得いかへん部分もあるんやろ。」
俺の言葉に少し反応したのか、思い当たるところがあるのかレパロウはやや俯く。
別にお前が思うとるのは無理もないし、それは傲慢でもなんでもない。
というか、事前に言われとったことが事後改訂されるなんて普通に考えたら、納得できんわ。
、、でもシャオロンも言っとった通り、忠誠心だけでは幹部は務まらん。
これはいわば、実際の任務の中でどれだけ己を保てるかを見せろという意味での追加試験や。
お前は今、その分の期待をかけられとる。ええな?」
納得、できてたらそれでええ。
少なくとも自分の立場を弁えとるあたり、反論しようとする意思はなさそうやから納得はしとるんやろ。
はい、と前を向いて答える。
tn「なら、この案で異論はあらへんな。」
方向性がまとまったからか、トントンはペンを置き顔を上げた。
何人かの幹部がゆるく頷く。
空気は引き締まり、グルッペンはレパロウに向かって静かに一言。
gr「さて、明日からが本番だゾ。
お前の道はこれで決まった。
逃げるなよ。」
牽制か、度胸試しか。
rp「逃げるわけあらへん。
僕は、、
自分で自分の価値を証明します。」
あぁ。
「でも、諦められへん。だから周りが黙るくらいの力見せつけて、僕の価値を僕が証明します。
僕以外有り得へんって、見せます。」
お前はほんま、そういう奴やったわ。
gr「それでこそ、だ。」
するとグルッペンは、上機嫌そうに笑って
「部屋と日用品、食事、孤児院への連絡の手配はこちらで行う。
試験期間は兵士の宿舎に泊まった方が何かと便利
やろうから、安心するんだゾ。
あとは、、もう下がってええ。外でコネシマ達が待っとるやろうし、顔を見せてやれ。」
rp「ありがとうございます、!!」
*
gr「ってことでトン氏、手配よろしく」
tn「、、カス。ほんまカス。」