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そう言うと、彼は私の荷物とぺしゃんこにされた花束を掴み、車道に出て手を挙げてタクシーを拾った
ガッシリ繋がれた手を引っ張られて、私も彼と一緒にタクシーに乗り込んだ、彼が苛立たし気に言う
「本当にこんな時に自分の車があればいいんだけど・・僕は職業柄車の運転は出来ないんだ 」
隣に座った私は驚いた
「えええ?柚彦君って免許持ってるの?私てっきり・・・ 」
「免許は持ってるけど、契約であと二年は運転出来ないんだ、僕が事故を起こすと大変なことになるから・・・」
契約?
事故を起こすと大変なことになる?
私の中で、今まで見過ごしていた小さな疑問がどんどん膨らんでいった
それにさっきの一撃で、あの俊哉を倒してしまった、正気の沙汰とは思えない彼の俊敏さ・・・・
ズキンッ「いたっ・・・・ 」
俊哉に捻られた手首が、突然痛み、思わず私は声をあげた
「かわいそうに・・・折れてないとは思うけど後で手当てしようね・・・・ 」
彼が私の手を取り、怪我した所を優しくさすり軽くキスをした
「あ・・・あの・・・さっきの・・柚彦君って・・・・私たちはどこに向かっているの 」
自分の顔がひきつっているのを感じながら、私はやっとのことで彼にそう聞いた
車窓の外を見つめている彼・・・背筋を伸ばし唇をギュっと噛みしめて、その端整な横顔を見つめていると、彼がポツリと言った
「着いたら話すよ・・・」