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関西でも有名な、数々のスポーツ試合が行われている大阪府立エディオンアリーナ第一競技場は
今まで多くのスポーツを天、上天下唯我独尊のように見守ってきた風貌を醸し出し、どっしりと構えていた
そしてどういうわけか、ここにいてこの建物を私は口をあけて見上げていた
今はこの競技場を囲むように格闘技ののぼりが立っている
「鈴ちゃん!こっち!関係者入り口から入って」
「ち・・ちょっと柚彦君・・・こんな所チケットもないのに私入れないわ・・」
私はわけがわからず戸惑った、すると彼がまっすぐ私をみて言った
「僕と一緒なら入れるよ、何があっても僕の傍を離れないでね 」
彼にぐいぐい手を引っ張られて、どんどん奥へ連れていかれる
やがて関係者入り口であろう大勢の記者団が、たむろしている集団の前に彼が進み出た
「ユズだ!!ユズが来たぞ!!」
関係者入り口の正面玄関に着いた途端、ワッと記者団が私達を取り囲んだ
「ユズ!トップファイターとしての意気込みを聞かせてください」
「ユズ!対戦相手のマカフィーはどう思います?」
「ユズ!その女性は誰ですか?」
あまりにも多くのフラッシュで、目がちかちかした、誰かの肘が私のみぞおちに当たって私はガクリとなった
柚彦君が私を抱き寄せ、守ってくれた、しかし次々とマイクを突き出されて、体がもみくちゃにされる
二人は押し寄せる人の波にのまれながらも、控室の長い廊下に出て、ウェイトルームに向かった、さすがにそこまでは記者団はやってこなかった
私はもう訳が分からずパニック寸前だった
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