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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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「おやすみなさい」

蒼さんに挨拶をして、自分の部屋へ戻る。

マットレスも買ってくれたから、全然痛くないし、布団があるだけで寝れる。何かに怯えて寝なくて良いし。


横になり考える。

明後日って、なんかデートみたい。いや、違うよね。

ただ蒼さんが気を遣ってくれているだけ。勘違いしちゃいけない。


もしも……。

もしも次に両想いになれる人が現れてくれるのであれば、蒼さんみたいな人がいいな。

贅沢すぎる願いがふと頭をよぎる。

そのまま私は心地良い眠りについた。


次の日、私は休みだったがいつもと変わらない時間に起き、二人分の朝食と昼食の準備を始めようとした時だった。


今日は何にしようか?

そんなことを考えていたら、蒼さんが起きてきた。

あれ?まだ早いのに。眠れなかったのかな。


「おはよ。桜は今日は休みなのに早いな?」

目を擦りながら眠そうな彼。


「はい、なんか身体が勝手に起きちゃって。ご飯の準備でもしようかなと思って。蒼さんは、昨日眠れなかったんですか?あまり顔色も良くない気がします」

眠そうだけど、それ以上になんだか怠そうだ。


「そうだな……。ここ二日間、桜が隣に居てくれたからよく眠れてたけど、本来はあんまり眠れない体質だから。まぁ、慣れたけど」

目を細めながらキッチンへ来て、彼は一口水を飲んだ。


昔は次郎ちゃん(犬)と寝てたのかな。

だから犬っぽい私が隣に居れば、よく眠れるのだろうか。


「ご飯作ってくれてありがとな?眠れるかわからないけど、もう一回横になる」


欠伸《あくび》をしながら彼は寝室へ戻って行った。


蒼さんさえ良ければ私は――。

<トントン>

寝室をノックする。


「どうした?」

蒼さんが答えてくれた。


「あの、入ってもいいですか?」

「いいけど、どうしたの?」

失礼しますと声をかけ、部屋に入る。蒼さんはベッドに横になっていた。


「あの、蒼さんさえ良ければ、私を次郎ちゃん(犬)だと思って寝てください」

「えっ?」

上半身を起こし、蒼さんはキョトンとした顔をしていた。


仕事前に少しでも眠った方がいいよね?


「どういう……?」

蒼さんの話の途中で、私は彼のベッドの中に入った。

「ちょっ!桜?」

私は犬になるんだ。

前に「椿さんの犬になりたいです」と伝えたし。


「蒼さん、寝てください」

彼は戸惑っているようだった。

「やっぱり迷惑ですか?」

思いきったことをしてしまったと思ってはいるが、私に出来ることがあったら役に立ちたい。


蒼さんはフッと笑って

「面白い子だよな」

そう言って再びベッドへ横になってくれた。


ベッドの中では特に何かするわけではない。ただ隣にいるだけ。

ただ蒼さんの体温が伝わってくる。

少しは眠くなってくれるかな。

会話をすることもなく、蒼さんが寝てくれるのを待った。


あっ……。どうしよう。私の方が眠くなってきちゃったかも。

これじゃあ、意味がない。

起きようか?いや、今更そんなことできない。

眠気に耐えろ耐えろ耐えろ……。

自分の中で眠気と格闘したところで、私の記憶はなくなってしまった。



ーー……ーー

寝息が聞こえる。

桜、寝ちゃったのか。まぁ、別にそれでもいいんだけど。

はぁ……。

この子、ガードが緩すぎ。

普通の男だったら襲われている。

彼女の気遣いは嬉しかったが、それ以上に心配になった。


俺以外にも、こんな感じだったのかな。

いや、今まで付き合ったことがあるのは一人だけだと言っていたし。

そんな多くはないのか。

故意に男を誘ってやっているわけじゃないから、余計に心配になる。


「んっ……」

彼女が寝返りを打った。自然と距離が近くなる。

そして、一昨日と同じように腕を掴まれた。

「可愛い」

つい呟いてしまった。そして温かい。

やばい……。俺も眠くなってきた。桜に感謝しないとな。

心の中でおやすみと伝え、目を閉じた。

ーー……ーー





気持ち良い、温かい……。

目を開けた。

ここは……。

ああぁぁぁぁ!!またやってしまった。

叫びそうになり、思わず口を手で塞いだ。

隣を見ると、蒼さんは寝ていた。

良かった、眠れたんだ。私まで寝ちゃったらダメだったのに。

何やっているんだろう。


時計を見ると、お昼を過ぎていた。

あっ、お昼ご飯作らなきゃ。

そーっと寝室を出る。

蒼さんが元気が出るようなご飯にしよう。

昼食を作り終え、そろそろ蒼さんを呼びに行こうとした時

「おはよう」

彼が起きてきた。


「あのっ、蒼さん。ごめんなさい。私また寝ちゃって……」

彼はクスっと笑い

「俺より早く寝てたよ。俺もあの後すぐ寝れたし、ありがとう」

顔を洗ってくると、彼は洗面台に向かった。


蒼さんよりも早く寝ちゃったんだ。

意味ないじゃん。

私、本当に何やっているんだろう。

綺麗なオネエ?さんは好きですか?

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