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——任命から、さらに数日後。
司令部の奥、公式文書が並ぶ執務室。
tnが淡々と書類を読み上げていた。
「司令就任に伴う付随事項を確認します」
机の上に置かれたのは、軍章ではなく国の書式だった。
「第一。
幹部任命により、wrwrd国の市民権の取得資格が自動付与されます」
rbrの指が、わずかに止まる。
「第二。
年俸、作戦成功報奨、危険手当を含め——」
数値が告げられる。
前線の兵士とは、桁が違った。
「第三。
功績記録は国家公文書に登録。
名誉勲章の授与対象となります」
tnは顔を上げる。
「拒否権はあります」
「市民権・報酬・名誉、すべて放棄可能です」
室内が静まる。
utは、何も言わずにrbrを見ていた。
zmも、腕を組んだまま黙っている。
rbrは、しばらく視線を落としていたが、やがて口を開いた。
「……市民権を得たら」
静かな声だった。
「自分は、完全に“この国の人間”になります」
utが頷く。
「せやな」
「金も、名誉も」
「お前が今まで距離を取ってきたもんや」
zmが低く言う。
「楽になるで」
「名前も、立場も守られる」
rbrは、少しだけ笑った。
「守られる……」
そして、はっきりと言った。
「市民権は、受けます」
utの眉がわずかに動く。
「理由は?」
「逃げ道を無くすためです」
その場の空気が、変わった。
「どこにも属さないから動けた」
「でも今は——」
rbrは、正面を見据える。
「この国の司令として、判断する立場になった」
「なら、責任も同じだけ背負います」
tnが小さく息を吸う。
zmは、ふっと笑った。
「覚悟、決まりすぎやろw」
utは、静かに言った。
「金と名誉はどうする」
rbrは即答しなかった。
少し考えてから。
「必要な分だけ」
「残りは、前線の整備と医療に回してください」
zmが思わず声を上げる。
「幹部の初仕事がそれかい」
「らしいやろ」
utは、どこか満足そうだった。
——数日後。
公式発表。
rbr
wrwrd国 市民権取得
総合司令 任命
功績勲章 授与
前線では、噂が一気に広がる。
「司令、元は市民ちゃうかったらしいで」
「……それでも前線の無線、普通に出てくるよな」
その夜。
rbrは、勲章を机に置いたまま、無線を取る。
「前線、状況どうですか」
即座に返る声。
「司令、判断を」
肩書きが増えても。
市民権を得ても。
金も名誉も、手にしても。
rbrが見ているのは、変わらなかった。
線と線の間。
壊れかける前の、ぎりぎりの場所。
utが背後で言う。
「全部、手に入ったな」
rbrは、首を振った。
「いえ」
「ようやく、立つ場所をもらっただけです」
二人の司令は、同じ地図を見ていた。
この国の“内側”から。
それでも、
前線と同じ距離で。