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side深澤
なんだか学校に行くのもだるくて、休もうかと思ってしまった
でも、その度に阿部の顔が思い浮かんで、行かなきゃと思う
「早く!遅刻するよ〜」
「今行く〜!」
「「いってきまーす」」
結局、花恋と一緒に家を出た
学校に着いても何かモヤモヤする
そのうち担任が来て、阿部の欠席を知らせた
そのあとは、覚えていない
なんの授業をしたのか、友達とどんな会話をしたのか
何も覚えていることは無い
気付けば自分の部屋のベッドに座っていた
午後8時
スマホが通知を知らせた
阿部からだった
内容は、
「嘘だろッッ……」
俺は、すぐに部屋を出た
「ちょっ、たつ!?」
「どこ行くの!?」
花恋の問いかけを無視して家の外に出て走る
行先は学校だ
学校は暗かった
でも、1箇所だけ、鍵が開いていた
そこから学校内に入り、屋上を目指す
階段を駆け上がり、息が切れても走る
屋上のドアを勢いよく開ける
「……やっぱり、来たんだね」
そこには、涙を流している阿部がいた
その涙は月明かりに照らされ、綺麗だった
「…何をする気なんだよ」
「嫌だなぁ笑分かってるくせに」
「なんでだよッッ……」
俺が小さく呟くと、阿部は作った笑顔を消す
「なんでだろうね」
「でも、この世にいる意味がない気がしてさ」
「誰も、俺の味方じゃない」
そんなことを阿部が言うから、こっちは逆にイライラしてきた
「俺は…!」
「俺のことは味方とは思ってねぇのかよ…」
「俺じゃなくてもいい!」
「目黒とか、だてさんとか、他にもいんだろ!!」
叫びに近い声を阿部にかける
「……信じられないんだよ」
「誰も、信じられない」
そう言って、また新たな涙を流した
涙は頬を伝い、コンクリートに染みを作った
その時だった
「なにしてんの?」
後ろから、声が響いた
「ごめんねぇ笑」
「聞いちゃったんだけど、」
「何をしようとしてるん?」
「ッッ……!!」
先生たちだった
佐久間先生、向井先生、岩本先生、そして、だてさん
その後ろには、
「目黒…!」
目黒もいた
「目黒が教えてくれたんだよねぇ」
そう言って微笑むだてさん
「……なんで言ったの」
「阿部ちゃんはさ、誰も信じられないって言ってたじゃん?」
「別にさ、信じなくてもいいと思うんだけど」
「信じられないってことだけで命を落とすなんて、」
「くだらない」
「なッッ……!!」
さすがに、言い過ぎではないのか?
「俺さ、言ったよね?」
「阿部ちゃんのことが好きだよって」
「好きな人だから、心配なんだよ」
「好きじゃない人になんて、こんな言葉言えない」
「……だからなに」
「俺は、本気で悩んで、悩んでも悩んでも」
「答えが出なかったから、だから、こうなってるんだよ……」
「でもさ、ちょっとわかったかも」
「おれ、だれも、しんじられない……」
枯れることを知らない涙は溢れ出る
「信じられなくてもいいから」
「信じなくてもいいから、生きて欲しい」
だてさんが、涙声になりながら伝える
「ごめん、もう、無理だよ」
阿部が俺らに背中を向ける
「阿部ちゃん……!!!!」
「バイバイ」
そう言って、俺らの方を向いて、
落ちていった
最後に見せた顔は、微笑んでいた