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第15話 「学究国」
石と知識で組まれた王城の最奥。
天井まで届く書架、壁一面の地図。
「……この地脈、百年前より僅かに歪んでおりますね」
紫の外套を纏った青年が、地図を指でなぞる。
声は丁寧、所作は完璧――執事そのもの。
だが、言葉の端々には独特のリズム。
「知は積もり、地は語る
歩かなければ、真は測れぬ――」
その時。
「入るぞー?」
はるてぃーの声。
じおるは振り向かないまま、静かに言った。
「ようこそお越しくださいました。
炎煌国をはじめとする七ヶ国の王子様方……
そして、翠草国のアサシン王子殿」
一斉に足が止まる。
「え、なんで分かるん……?」 きゅーが小声で囁く。
ゆーまがそれに返す。
「……観察力と推理力が異常ですね」
じおるはようやく振り返った。
紫の瞳、柔らかな微笑み。
しかしその奥は――鋭い学者の目。
「私はじおると申します。
学究国の王子であり、
この国の執事を務めております」
一礼。
「本日は……私を“旅に誘いに来られた”。
そのような認識でよろしいでしょうか?」
はるてぃーが一歩前へ。
「あぁ、その通りだ」
「目的をお聞かせ願えますか?」
「世界を見ること。
国の外を知ること。
そして――仲間を増やすこと」
じおるは少し考え、地図を丁寧に巻いた。
「率直に申し上げますと……
この国は、私が不在でも回ります」
ざわ、と空気が揺れる。
「ですが」
一歩踏み出した瞬間、床が僅かに軋んだ。
山田が目を見開く。
「……今の、足音ちゃうやろ……」
「身体能力も、学問の一部でございます」
何でもないことのように言い、続ける。
「書物だけでは測れぬ地形が、世界にはございます。
現地に赴かねば分からぬ“現実”が」
そして、じおるの視線は――
最後列の、たくぱんへ。
「……特に、
貴方のような“例外”が同行されるのであれば」
一瞬、張り詰める空気。
たくぱんは無表情。
「……俺は何も話していない」
「ええ。ですが分かります」
じおるは、穏やかに微笑んだ。
「貴方は
“強さだけを求めている顔”ではありません」
その一言に、たくぱんの瞳がわずかに揺れる。
沈黙。
はるてぃーが、静かに言った。
「一緒に来てくれ、じおる」
「学んで、見て、
帰ってきたら――また国を強くすればいい」
じおるは目を閉じ、少し考え――
そして、深く一礼。
「……承知いたしました」
顔を上げ、にこり。
「執事として、
世界を見届けるのも――務めでございますから」
✨じおるが仲間になった!✨
第16話 1/13 投稿予定