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新入生同士での紅白戦は、ポジション別に2チームに分かれることになった。
貴也は、フォワード(FW)として白組に振り分けられることになる。
貴也はシャトルランや100メートル走ではブッチギリの成績を出し、周囲を驚かしていたものの、紅白戦でも周囲の度肝をある意味抜いてしまうことになる。
貴也はなんと、学校の体育以外でほとんどサッカーをした経験がなく、サッカーの基本となるポジショニングの概念や、ボールを止めて蹴るなどの基礎基本が、まるで無かったのだ。
そのため、相手チームのキックオフと同時にボールだけをめがけて、ただただ突進して追いかけているばかり。
当然、新入生とはいえ、強豪校に入っている選手ばかりのため、そんな貴也の猪突猛進なチェイシングは、軽くパス回しによって、かわされてしまう。
貴也は、フォワード(FW)にもかかわらず、ピッチの端から端まで駆け回り、ついにはディフェンスの最終ラインまで下がってしまっている始末であった。
通常、守備をサボらずやってくれるフォワード(FW)はチームにとってありがたいものの、完全にポジショニングを無視した行動や、前線で相手のディフェンス陣に脅威にならない動きの無さは、少しチームを混乱させた。
そして、相手味方限らず、貴也の行動によって、貴也は完全にサッカー素人だということがバレてしまった。そうしてると、貴也のチームの1人でトップ下のポジションをやっている、金城という男が声を掛けてきた。
金城「君、サッカーは素人?そんな走って、無駄にボールだけを追ってばかりで疲れない?」
貴也「え、全く疲れてへんよ!!ボールが全然奪えんくて、全然シュートできん。どうしたら、ええんや?」
金城は、貴也の発言と行動に驚きを隠せなかった。わずか5分程にも関わらず、全力のスプリントを何回もしており、本当に全く疲れていない様子と、そのスプリントでの走る速さにも驚いた。
貴也は全くのサッカー素人であるため、恐らくボールコントロール技術やシュート技術は無いだろうとも、金城は考えていた。
そして、金城はある確信をする、こいつを囮に使えば、ゴールのチャンスを生み出せるかもしれないと。
金城「君、一回僕の言うとおりに、動いてみてくれないか?うちのチームでゴールを奪えるかもしれないんだ」
貴也「ゴールが奪えるんなら、なんでも良いぞ!俺はどんなことをしたら良いんだ?」
金城「OK!そしたら、俺が右手を上げて合図するから、そしたら君はDFの裏を取るようにして、ゴールの右隅あたりをめがけて全力でダッシュしてほしいんだ!だから、ずっと俺の右手が上がるかどうか見ててほしい。」
貴也「わかった!右手が上がったら、ゴールの右隅あたりをめがけて、全力ダッシュしたら良いんだね!」
貴也は10分ほど、それまでとは変わり、金城の右手が上がるのを待ちながら集中していた。
そして、ついにその時がやってきた!
金城がついに、右手を上げた!!!!
その瞬間、まるで空間を閃光の如く、貴也がDFの裏に抜け出し、ダッシュをする。
当然、DFもいくら素人とはいえ、万が一のことを考えて、その動きに釣られて、貴也を追いかける。
貴也は自分にボールがパスされると思いこんでいたが、実はこれは金城の策であった。
貴也がダッシュして、DFが釣り出されることで、金城の前にドリブルとシュートができるスペースが空いたのだ。
金城は、空いたスペースに即座に少しのドリブルをして、ペナルティーエリアの少し外付近から、左足を振り抜き、強烈なミドルシュートを放った。