テラーノベル
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ネイルサロンに戻ると、祖父が配ったチョコや、白鳥さんようのワインがレジに並べられていた。
手で持ってこられなかったものを配達で送ってきたらしい。
ただしネイルサロン宛じゃなく私の名前も書かれていた。
苗字が『南城』になっていて、白鳥さんがにやにやと笑っているのが不気味だった。
「最近、色々とおかしいと思ったのよねえ。ふうん。まあワインの手前、黙っててあげるけどさあ」
私も何も言えず、ただただ笑って誤魔化すだけだった。
「あれ、これ誰宛? 古舘紗矢さまっていう小包みが入ってるよ」
「古舘紗矢さん?」
どこかで聞いたことがあるような名前に、小包みを手に取ってみる。
紗矢さんって、漢字が、一矢くんと一字違いだし。
「一応、聞いてみるね。親戚かも」
仕事が終わったら、祖父に電話をしてみようと仕事に戻ったが、仕事終わりの20時に、祖父と一矢くん、両方から着信が残っていた。
『お土産、一つ間違て入ってなかった?』という祖父のメールと『お義祖父さんが、俺の妹宛のお土産をネイルサロンに送ったかもしれないらしい。確認お願いできるか』
なるほど。繋がった。
そういえば元カノと勘違いして、それっきりだ。
結婚式を挙げていないどころか実はまだ入籍もしていないから、妹さんと実はきちんと挨拶したことがない。
あの後、彼女は双子を妊娠していたらしく、悪阻で仕事も辞めたとか一矢くんから聞いていた。本当に結婚しているわけじゃないし、悪阻も酷いなら、とタイミングも逃していた。
『お土産、あったよ』
メッセージを送ったら『妹と会っても大丈夫? 今から家にとりに来たいらしいんだけど』と、すぐに返事が来た。
まあ今は一応結婚しているふりをしないといけないし、祖父のせいで家まで来ていただくことになっちゃったのは申し訳ないけど。
『いいけど、私が持っていった方がいいんじゃないの』
『家に籠ってばっかりで運動不足と注意されたらしい』
逃げれないってことか。
『わかった』
『悪い。あと30分でくるらしい』
って決定事項だったってことじゃん。
だったらお願いって言えばいいのに。
今から家にってことは夕飯は?
妊娠されてる人に、メニューは普通で大丈夫なの?
ハンバーグ、量が足りなかったらどうしよう。お豆腐でかさまし?
洗濯物、カーテンのレールに干したままかも。
次から次へと問題が浮かんできて、急いでマンションに帰るしかなかった。
三十分で来るという言葉は本当で、タクシーで帰ってハンバーグを焼いてバタバタとしていたらインターフォンが鳴った。
『あの……夜分遅くすみません。お、お義姉さん』
「……っ」
お姉さん……?
インターフォンの向こうの彼女は、先日見た時と同じ指先から頭の先まで洗練された綺麗な人だった。
でも今は、とても可愛い。『お義姉さん』って言葉を頬を染めて言う姿は、私も照れるけど嬉しい。こんな綺麗な人と仲良くなれるかもしれないと心が躍っていた。
『あの、すぐに帰ります。夫がもう駅まで迎えに来てくれるんです。その……お義姉さんに挨拶したくて』
その言葉に、中途半端に焼いたハンバーグの火を止め蓋をして一階にダッシュしたのは言うまでもない。
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砂原 紗藍
#再会