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そして、その言ったもん勝ちルールはどんどん進む。
「キヨ花さん、高尾さん、浪岡専務で、猪鹿蝶、300点っ」
と壱花が叫ぶと、斑目が、
「何処が猪鹿蝶だっ」
と叫び返し、倫太郎が、
「蝶しかいないじゃないかっ」
と蝶柄の着物を着たキヨ花を見て言う。
どうして、こういうときだけ一致団結するんですか。
っていうか、社長。
あなたと私は敵なんですか。
ふたりで斑目さんに勝たないといけないのではなかったのですか。
そう思いながら、壱花は主張する。
「でも、最強メンツなんで、1500点でもいいくらいですよ」
すると、倫太郎が、
「確かに。
浪岡常務ひとりで、1500点は行きそうだな。
最強古狸だから」
と日頃の恨みを込めて呟いていた。
だが、そこで、斑目が壱花に文句をつけてくる。
「お前が最初に猪鹿蝶で300点とか言ったから、こんなハイパーインフレ状態になったんだよな」
「でも、うちのおばあちゃんちの方はそうなんですよ。
猪鹿蝶が300点、ニゾロで200点です。
美園さんもそう言ってました」
と壱花は言って、
「美園さんって誰だ」
と斑目に問われる。
「付喪神様です」
「……人間様に訊いてこい」
「しかし、なんだ。
此処はいつもこんな風なのか?」
と花札をやりながら、斑目が訊いてくる。
「こんなって?」
と壱花が訊き返すと、
「いつもたいして商品売りもせずに、ゲームとかやってんのかって聞いてるんだ」
と花札をやっていると聞きつけて覗きに来た海坊主たちに囲まれたり、懐かれた子狸に膝に乗られたりしながらも、まったく動じていない斑目が言う。
「いえいえー。
そんなにゲームはしませんよ。
やるたび、怪しいあやかしが増えてく気がするんで……」
と江戸すごろくを思い出しながら、ははは、と笑って壱花は言った。
「どっちかと言うと、お菓子を作ったりとかが多いですね。
かきもち焼いたり、文字焼き焼いたり。
ああ、この間は、タピオカ作りましたねー」
と言うと、
「タピオカ、女子は好きだよな」
と斑目は手札を見ながら言ってくる。
「そうですねえ。
まだまだ人気ありますよね。
タピオカミルクティーとか、たまに買って飲みますよ。
美味しいですよね。
でも、ちょっとタピオカが邪魔なんですよね。
喉に飛び込みそうになるんで」
「じゃあ、飲むなよ」
「でも、ミルクティーが好きなんですよ」
「じゃあ、ミルクティー飲めよ」