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二階に戻ってまずやるべき事、それはネットで名前に関する調べ物、そして食事の用意だ。
どちらも本日新規加入のフェアリーの為の物である。
名前は本名と芸名の二つを用意する必要があり、食事は対価の先払いである。
くっくっく…… こちらの本気を分からせる為にも先程デパートで購入・食べ比べの結果選ばれた精鋭達で迎え撃ってくれる!
ソウルカードのインストール完了。さぁ出番だフェアリー君、プロを自称する君のその実力を見せてもらおうか!
ステータス・オープン!
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[ランク] F
[種族] 妖精
[名前] なし
[種族特性] 《楽天家》《無邪気》
[個体特性] 《磨耗した魂》《プロ意識》《人間不信》《安楽死願望》
[種族技能] 《治癒魔法:G級》《光魔法:G級》《飛行》《読心術》
[個体技能] 《治癒魔法:F級》《闇魔法:G級》《火魔法:G級》《変身魔法:D級》
《護身術:D級》《演技:A級》《演出:A級》《言語習得:B級》
[契約義務]
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の食事を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低7日分以上の保存食を与えなければならない
・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体の最低1回以上の入浴を認めなければならない
・この個体の主人が、この個体にダンジョン外での労働を依頼する場合、この個体と依頼内容と報酬を協議し合意を得なければならない
・この個体の主人は、この個体が主人との依頼に基づきダンジョン外での労働に従事した場合、
別途記載の【労務規定】に基づき対価を支払わなければならない
・この個体が参加するダンジョン探索においてこの個体が死亡した場合、
この個体は自身の意思により一方的に契約を破棄することが出来る
【労務規定】
・ダンジョン外の労働(以下、依頼労働)においては、その都度に依頼内容の協議により労働内容・拘束時間を元に
労働量(以下、単位WA)を裁定する
・基本対価として1WAにおける報酬を以下に定める物とする
パン切れ 一立方センチメートル分(パン屑による代用は、これを禁ずる)
チーズ 一立方センチメートル分
ミルク 小さじ一杯
ハチミツ 小さじ一杯
・一日の依頼労働時間は最大六時間と定め、六時間以上の労働時間が発生した場合、
通常の労働量に(超過時間×超過時間の労働量係数)を加えて対価を計算する
・依頼労働の発生がある場合、主人の同行・監督の元に労働時間と同じ時間量の準自由時間が与えられる
~~~~以下略~~~~
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そっと、ステータス画面を閉じる。
ステータス・オープン(小声
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[ランク] F
[種族] 妖精
[名前] なし
[種族特性] 《楽天家》《無邪気》
[個体特性] 《磨耗した魂》《プロ意識》《人間不信》《安楽死願望》
[種族技能] 《治癒魔法:G級》《光魔法:G級》《飛行》《読心術》
[個体技能] 《治癒魔法:F級》《闇魔法:G級》《火魔法:G級》《変身魔法:D級》
《護身術:D級》《演技:A級》《演出:A級》《言語習得:B級》
~~~~以下略~~~~
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そっかー 見間違えじゃ無かったかー……
個体技能がたくさん付いてるなー これは大当たり、SSRどころかLR。
“なれよ”だったらチートゲットでケモ耳獣人とかエルフの姫騎士とか凄い才能を秘めた奴隷少女とかにこれから出会っちゃうなー
ハーレムかー まいったなー(棒
……チラッ
[個体特性] 《磨耗した魂》《プロ意識》《人間不信》《安楽死願望》
《プロ意識》かー すごいなー あこがれちゃうなー
……チラッチラッ
[個体特性] 《磨耗した魂》《プロ意識》《人間不信》《安楽死願望》
……
<唯今、小野麗尾 守の精神状態に言語で表現する事が非常に難しい狂態が発生しております。ページはそのままでもうしばらくお読みください>
……
ふぅ。まさか二重底とは、このブサの守の目を持ってしても見抜けなかったわ!
[個体特性]は《薬物依存症》とか無かったし、まぁ大丈夫だろう!
労務規定も事前の取り決め通り、三十六個だったし! ……三十六個で、済んだし。
真面目な話、
『[個体特性]《安楽死願望》』と、
『[契約義務] ・この個体が参加するダンジョン探索においてこの個体が死亡した場合、この個体は自身の意思により一方的に契約を破棄することが出来る』
この組み合わせ、あれか。契約の場では[契約義務]の部分だけで「私を死なせるような召喚主に仕えたくない」と言う意思なのだと判断したけど、『[個体特性]《安楽死願望》』なんて物があるから実際は「死にたいけど、こんな苦しい死に方は嫌だ」って思考か。苦しくない死に方を見つけたらダンジョンで自殺でもするのかな?(震え声
バルクさんに与えている抗命権をこいつにも認めていたら、ストレートに自殺待った無しだったかもしれん。
今度のイベント、参加させて大丈夫なのか……?
まぁ、いつまでも訪れていない未来に怯えていても仕方がない。 ……召喚!
かくして俺の部屋に現れたのは、煙管を咥えた闇深きフェアリー。
「こちらでは初めまして、ゴ・シュ・ジ・ン・サ・マ。で、ダンジョンじゃないみたいだけど早速”お仕事”ってわけなの?」
「……ああ、そうなん…… だ!? え? え!?」
「? 何よ?」
「……キェェェェェェアェェェェェェシャァベッタァァァァァァァ!!! シャベッタ! ニホンゴ! ニホンゴナンデ!?」
「煩いわね、仕事する場所の言葉なんて覚えて当然でしょ。言葉を話せなければコッチも仕事になんないわよ。」
突然俺が大声を挙げたので、
「まもるー、何かあったのー?」
「ゴメン母さん、驚いただけで問題は無いよー」
お騒がせしました。
「しゃべれるんだ、日本語」
「まだ言うの。契約の場でアンタの魂視た時に言語体系の記憶を写したし、大体あの場でも言葉で会話していたじゃない」
「……う、ん。まぁ、そうだけど。今までモンスターと意思疎通は出来ても、日本語で会話したこと無かったので。その、ごめん」
「仕方の無いゴシュジンサマねぇ」
ふぅ、と溜息を一つつき、
「それで、呼び出したからには決めているんでしょう? 私の名前」
契約の場では決められなかったので少し待ってもらっていた。
芸名を即決で求められる場面は俺の人生には無かったのだ。ある人がいれば是非話を聞いてみたい。
「……君の名前はエインセル、芸名はブルームフラウって考えてみたんだけどどうかな?」
「名前には、何か由来があるのかしら?」
「……その、エインセルは妖精の呼び方の一つなんだけど、自分自身って意味があって、音の響きも良い様に感じたから決めてみた」
「それで、芸名の方は?」
「……君から名前とは関係も聞こえ方も違う物にしてくれってリクエストがあったから、名前とは違う言語と意味を考えてみて」
「うん」
「……ドイツって国の言葉でブルームは花、フラウは女性を意味するみたいで、合わせたら音の響きは悪くないと思ったし、名前とも被らないからこれでいいかなって」
「妖精・花・女性…… 安直ね」
辛辣ゥ! けど自分にネーミングセンスが無いのは認めている。
「まぁ、エインセルは良いとしましょう。今まで付けられた名前の中では一番マシだわ」
マジか。今までどんな名前を付けられたんだ。
「でもね…… ブルームフラウ、これ、何? 音の流れに可愛さを感じないけど正気? 絶対、略してブルーちゃんとかフラウちゃんって呼ばれるわ。アンタ、自分が他人の為に考えて付けた名前がぞんざいに扱われるのを許せるの? ……なにより、花の女ってひょっとして売女って意味で使われていないでしょうね? もしそうならアンタ、
ド ウ ナ ル カ ワカッテイルノカシラ?」
「違います!違います!!! 断じてそのような心積もりは! お気に召さないようならすぐに改めさせていただきます!」
契約の場に続き、流れるように土下座。
「まもるー さっきから何やってるのー?」
「うるさくてゴメン! 大丈夫! 大丈夫だから!」
俺のささやかなプライド以外は。
「まぁ、別にいいわ。困るのは私じゃないから」
「……ありがとうございます。それでは続いて報酬の件ですが」
「待ちなさい」
ん? 何かあるのか?
「今回はまだ、報酬の話はいいわ。」
「……なんと」
「細かい契約は詰めているからアンタが報酬をケチるとは考えていないわ。契約違反は損害賠償の上で契約破棄だしね」
「まぁ、そこは誤魔化す積もりは無いよ」
「……でも、アンタはまだ、私の実力を見ていないわ。私はアンタと契約はしたけど、実績は見せていない。だからまずは今回の仕事を見てもらうわ。その上で判断…… いえ、理解してもらうわ。私の仕事にはアレだけの報酬を支払う価値があるってことをね。」
「……別にエインセルを疑っていないんだが」
ついでに言うと、正直報酬は高くないんだが(人間視点)
「仕事をして、対価を貰う。これが妖精の契約の基本よ。御伽噺でも聞いたことがないかしら?」
「……まぁ、そうだな。基本的に妖精側から約束を持ちかけるのが多かったと思うけど」
「そうね、そして最後に人間が約束を破るのも、ね」
「……約束を盾に妖精が無茶を言い出すのも、な」
「「……」」
「やめましょう」
「……ああ」
仕事前に険悪な雰囲気を作るのは宜しくない。
ボクラハナカヨシ、イイネ?