テラーノベル
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中学校に上がると、バスケ部に入部した。
練習はきつかったけど、毎日充実していて楽しくてそんな毎日が続けばいいと切実に願っていた。
けれど、幸せは長くは続かない。
中学二年生になり声が変わり始めると、それがきっかけとなり母さんが暴走した。
「母さん、落ち着いて!」
「どうして……ああぁあ!どうしてよぉ!」
リビングで暴れだす母さん。
砕けた皿が床に散らばり、テーブルに飾られていた花が無惨に潰れて落ちている。
「どうして男の子みたいになっていくの! 」
「母さん……俺は」
「ああぁああぁ! 私のせいなの!? 私のせいで歩美は! 」
ガシャンッ! と音を立ててまた皿が割れる。
その度に飛び散る小さな破片。母さんはお構いなしにそれを踏みつけていく。
足から滲んだ血が母さんが動く度に床に擦れて伸びていく。
「わかってるわよ!兄さん達が私にいつも言うのよ! お前はとろい!なんにも自分でできやしない! 情けない! 九條の恥だ! 甘やかされて育ってきた世間知らずだって!だから子どもなんてまともに育てることなんて無理だ!どうしてあんな男と結婚したんだ?本当にお前は運のない馬鹿な女だなって笑うのよ!」
取り乱し、声を荒げながら叫ぶ母さんは俺の声が聞こえていないみたいだった。
「もう嫌!私なんていなければよかったの!?また兄さん達がこんな私を笑うんでしょう? 」
「落ち着いて!母さん」
「うあああぁああああぁああああああっ! 」
髪はくしゃくしゃに乱れ、目を大きく見開き、涙が止めどなく流れていく。
そのようすを体調が良くなり退院したみちよが怯えがら部屋の隅で見ている。
このままじゃ家族が壊れてしまう。
「私が流産したときだって、兄さん達はお前には子育ては無理だって言ったのよ……だけどね、あなたがお腹に宿って出産予定日を聞いたときに、ああ……この子は歩美なんだ。もう一度私の元に来てくれたって思ったの」
怒りながら話ているかと思いきや、スイッチが切り替わりにっこりと微笑む母さん。
「神様に感謝しないとね」
俺は歩美じゃない。
だけど、きっとここで否定をしてしまえば壊れてしまう。
「歩美」
だから、俺は嘘をついた。
貫き通せるはずもない。
「〝お母さん〟」
残酷な嘘を。
#ファンタジー
#ざまあ
設楽理沙
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