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成瀬りん
633
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たつ
53
#日常
ももは
551
ORVAS・トレーニングルーム。
照明を落とした空間に、静かな緊張が漂っていた。
寺での修行を終えた翌日。
唯我と一祟は正式な手合わせを行うため、再びこの場所へ集まっていた。
畑中が二人を見据えながら口を開く。
「実戦慣れを高めるため、ネオ・コードの力も使用可だ。ただし、やり過ぎは厳禁だぞ」
その背後では、朧、風音、ジュリーが静かに見守っている。
唯我と一祟は一定の距離を取り、それぞれ構えた。
一祟は静かに目を閉じる。
深く息を吸い、ゆっくり吐き出す。
そして――
「……心得ました」
気配が変わる。
まるで一本の大樹のような静かな構え。
対する唯我は龍焉刀を抜き、斜めに構える。
剣先は床すれすれ。
鋭い視線が一祟を射抜いた。
「なら、遠慮なく行くぜ」
畑中が手を上げる。
「始め!」
瞬間――
唯我が地を蹴った。
龍焉刀が唸りを上げる。
鋭い斬撃。
だが一祟は紙一重で回避し、そのまま反撃へ移る。
唯我の攻撃は速い。
しかし一祟は、それを読んでいたかのように最小限の動きで対応する。
「へぇ……さすがだな」
唯我が後方へ跳ぶ。
龍焉刀に紫電が走る。
「《雷閃牙》!!」
横薙ぎの一撃。
放たれた衝撃波が一直線に迫る。
しかし――
「《神威撃・流影》」
一祟は地を滑るように移動。
衝撃波を避けながら唯我の死角へ回り込む。
「ちっ!」
唯我は宙返りで離脱。
すぐに体勢を立て直した。
続けざまに《疾風閃牙》を発動。
無数の斬撃が嵐のように襲う。
だが一祟は全てを見切り、避け切った。
「今のを全部避けるかよ……!」
「……想像以上です、唯我さん」
互いに驚きを隠せない。
観戦していたジュリーが息を呑む。
「凄い……」
風音も真剣な表情で分析する。
「唯我くんの攻撃も凄まじい。でも一祟くんの対応力が異常ね」
朧は小さく笑った。
「唯我はこの数ヶ月、徹底的に鍛えた。剣士じゃない。もう戦士だ」
その言葉に畑中も頷く。
一祟もまた、唯我の成長を肌で感じていた。
「……本当に強くなりましたね」
そして二人は再び構える。
空気が張り詰める。
互いに理解していた。
次で決まる。
唯我が龍焉刀を握り締める。
「終わらせるぞ」
「はい」
唯我の奥義――
《絶閃・龍牙》
龍焉刀に全エネルギーを集中させる必殺の一閃。
一祟の奥義――
《神威撃・天嵐掌》
暴風そのものを拳へ宿す究極の掌打。
「はあああああっ!!」
「せいっ!!」
次の瞬間――
轟音。
衝撃波。
トレーニングルーム全体が激しく揺れた。
二つの奥義が正面衝突する。
爆発的な力が解放され、唯我と一祟は同時に吹き飛ばされた。
床へ倒れ込む二人。
静寂。
そして――
「そこまでだ」
畑中の声が響く。
勝負あり。
結果は相打ちだった。
◇ ◇ ◇
しばらくして。
床に座り込んだまま、一祟が静かに笑った。
「流石です、唯我さん」
唯我も息を整えながら口元を緩める。
「よく言うぜ。お前こそ本気出してなかったんじゃねぇのか?」
「それはこちらの台詞です」
思わず二人とも笑う。
その表情には確かな敬意が宿っていた。
風音が満足そうに頷く。
「本当に良い試合だったわ」
ジュリーも微笑む。
「どちらも素敵だったわよ」
畑中は二人の前に立った。
「勘違いするな。ここは通過点だ」
空気が引き締まる。
「次は本物との戦いになる。今以上に強くなれ」
二人は静かに頷いた。
一祟が立ち上がる。
「またお願いします、唯我さん」
「ああ」
唯我も立ち上がる。
互いに拳を軽く合わせる。
それは言葉以上の信頼の証だった。
確かな友情。
そして、ライバルとしての絆。
二人の胸には、新たな炎が灯っていた。
◇ ◇ ◇
――その頃。
アスガルト。
特別訓練を受ける公太は、ついに終盤へ差しかかっていた。
だが、その矢先。
予期せぬ事件が発生する。
現場は騒然。
疲労。
焦り。
苛立ち。
周囲との軋轢。
積み重なった全てが、公太の心を追い詰めていく。
(俺は……何のために強くなるんだ……)
揺らぐ視界。
震える拳。
そして胸の奥で燃え続ける炎。
だが――
まだ終わりじゃない。
公太の本当の試練は、これから始まろうとしていた――。
コメント
1件
おお……第50話、めっちゃ熱かったわ!唯我と一祟の本気の手合わせ、お互いの成長が感じられるいい試合だったな。特に一祟があの唯我の連続攻撃を全部見切って避けるシーンは読んでてゾクゾクした。《絶閃・龍牙》と《神威撃・天嵐掌》の正面衝突、相打ちってのが二人の実力が拮抗してる証明で最高。畑中の「ここは通過点だ」って言葉もグッときた。最後の公太のところ、何かやばそうな空気だな……次が気になりすぎる🔥