この作品はいかがでしたか?
9
この作品はいかがでしたか?
9
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
※ワンク
⚠️赤桃⚠️
自衛おねがいします
寝る前の甘いココア。どうしようも無いほど情けない顔をした男。
眠くなると体温が低くなる俺とは逆に、眠くなると体温が高くなるこの男。肌を重ねて眠りに落ちれば、暖かくも冷たくもない、中途半端なぬるさ。
可愛い顔をしていて、綺麗な手をしていて、細長い手足をしていて、あざといくせにこれ以上無いほどの屑野郎。
来世は人に生かされて、人に太らされて、人に殺されて、人に食われる家畜にでもなればいい。
ずっと一緒にいるつもりなど毛頭ない。さっさと恨みを買った女に刺されて死ぬか無理心中でもされればいい。
俺が好きなのはこの中途半端なぬるさだけなのだ。他に丁度いい奴が入ればそいつの所に行けばいい。
(その丁度いい奴が、明日にでも現れればいいんだけどな)
そんなことを思いながら、俺は今日もこの中途半端なぬるさと関係を愛おしく思いながら、この男を撫でてやるのだ。
「ねぇさとちゃん。好きだよ」
珍しく甘えたなこの男は、俺に嫌われている自覚はあるのだろうか。
いや、きっとある。どうせこいつも、俺自身の事など好きでは無いのだから。
「ん、俺も好き」
そう返せば、満足そうに微笑む。
俺もこいつも、互いを好きな訳でもないし、愛してる訳でもない。
そのくせに恋仲で、でもキスは一度もしたことがない。
こいつは、俺が好きじゃないのに好きだと言うし、恋人繋ぎもするし、たまに甘えたがる。
俺も、こいつが好きでもないくせにその好きに嘘の言葉を返すし、こいつに大人しく抱かれてる。
俺が好きなのはこいつの体温だけだが、こいつは何が好きで俺と一緒に居て、態々一緒に暮らすのか訳が分からない。
セフレでもなく、ソフレでもなく、どこにでもいるような恋仲。
そういう中途半端な関係も、互いを縛らずにいれていいと思っている。
「ねーさとちゃん?」
「なんだ?」
こいつに合わせた甘ったるいココアを渡すと、ココアをじっと見つめながら声をかけられる。
ココアを一口ばかり口に含むが、いつまで経ってもこの甘ったるさには胸焼けがしそうだ。
ソファにぽすっと、1人分空けて隣に座る。
「さとちゃんさ、俺のこと好き?」
好きも何も、好き以外答えさせる気など無いのだろう。機嫌を取るために、いつも通り答えるだけだ。
「好きだよ。当たり前だろ」
思考せずともスラリと出てきてしまう嘘は、あの愛おしいぬるさを失わぬために、いつもいつもついている。
なぜそこまであの中途半端なぬるさに執着するのだと聞かれても、俺の中にその答えはない。
ただ、心地好くて、愛おしいだけなのだ。ただ、それだけだ。
「えー、じゃあさとちゃんに申し訳ないことしちゃうなぁ」
「は、」
ぎぎぎと、隣に顔を向ける。
目の前の男はココアを一口飲む。「あちち、」と態とらしく舌を出すが、熱い筈が無い。態々飲みやすい様にぬるくしてから出しているのだから。
「ほら、××って子いるじゃん。俺のこと大好きで何でもしてくれるの。お金もいっぱいくれるし言ったら欲しいものなんでも買ってくれる。俺と一緒に暮らしたいんだってさ」
何となく、こいつの言いたいことがわかってきてしまった。
「丁度さとちゃんにも飽きてきたし、いーでしょ? ほんとに俺のこと好きで別れたくないなら別れはしないし。××だって俺が色んな子と付き合ってるの知ってるもん。一人増えても問題無い。てことでさ、明日の昼くらいには向こう行きたくて_」
少し潰れたスポンジの入っているソファが、ギシリと音を立てる。
俺の持っていたココアは倒れ、白い絨毯に血のように広がる。
目の前の男は、カップから流れ出ていく物など気にせずに、そのままカップを床に落とす。
コツっと、曇った音が床に響く。
押し倒されていることなど知らぬような顔で、妖艶な笑みを浮かべた。
「…なぁに、もしかして怒っちゃった?そんなに俺のこと好きなの?」
俺の両頬に手を添えて、そこらの女を見る目で俺をじっと見つめる。
「うるせぇよ。お前なんかが好きなわけないだろ。ただお前の体温が気に入ってるだけだ。寝る時、暑くも寒くもなくて、ぬるいから…。だから、他にそういう奴がいるならそいつのところに行けばいいんだよ。態々お前に拘る必要もないし。お前じゃなくていいんだよ別に」
少し早く回る口は、そこでようやく止まった。
「お前じゃなくてもいい」そう言った途端に、こいつは俺の頬から手を降ろして、ぶらりと絨毯に落とした。
「あっそ」とでも言いたげな、どうでも良さそうな顔で。
「そ。じゃそいつのとこ行けばよかったじゃん。なんでずっと俺といたの?」
「だっ、て…そういう奴が見つからなかっただけで」
「見つけようとしてなくない?だってさとみって俺と出かける時以外外でないじゃん。俺以外とも寝てないし。探してないよね?」
面倒くさいと思っていることを隠そうともせずにぺらぺらと話す。
別れようが別れまいがそんなことはどうでもいい。
だが、あのぬるさが失われるのだけは、それだけは。
「さとみってさぁ、俺のこの体温だけが好きって言い張ってるけど、ほんとにそれだけ?」
「は、どういう_」
「好きなんでしょ?俺のこと」
ぶわりと、何かが身体中を巡った感覚に、吐き気がした。
「ゔっ」
「えー、そんなに俺のこと好きなの嫌なのー?傷付きそう」
よしよしと、頭を撫でられる。
どうしようもない愉悦感と、不快感が、同時に頭を支配する。
「り、ぬ…」
「ん、何?」
今すぐ離れたいのに、身体は言うことを聞かない。
「さとちゃんは、ほんとおれのことすきだねぇ。いいよ、××よさとちゃんの方が稼いでるし。さとちゃんの方がかわいーしね」
頬を撫でられ、顔がふにゃりと緩む感覚がした。
「これ以上飽きさせないでね?」
んーなんか気に食わない
没かな
とりあえず書き方こんな感じ