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はやく戻ってきてほしい😭 続き待ってます!
『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜2nd season
最終章 『囚われた名探偵』
〜命と引き換えに〜
第3話 望まぬ再会
期限の日。スリックの街へ向かう私達。
クロウザーさんとは現地で会うことになっている。
あれから、もうどれくらい月日が経っただろう。6月の雨が降ってしまうほど時間が流れてしまった。今日も生憎の雨。
馬車の中から外を見つめる。
『……。』
(スリックの街…来るのは久しぶり。
ここに、お姉ちゃんが――。)
私達は馬車を降り、クロウザーさんのいるアジトへ向かう。
『思ったり早かったね。』
『お待たせしました。』
『ここまで来たらもう後戻り出来ないよ。いいんだね?』
『……。』
本当は、まだ少し怖い。でも――
『大丈夫です。』
お姉ちゃんを止められるのは私だけだから。
リリィファミリーのアジト
『交渉を受けてくれるとは思わなかったな。ディッド。』
『こちらも穏便に済ませたいのは同じだ。ん?今日は客が多いな。それに…リリィと似てる顔だ。もしや…。』
『…お姉ちゃんを返して。』
『…へぇ。もしや君が大切な妹か。』
私はニヤリと笑う。
『その話は後だ。私がクロウザーとしたいのはビジネスの話だ。』
『っ……。』
『新しい事業に協力して欲しい、だっけ?』
『あぁ。今このスリックの街にいるのは俺とお前のマフィアのファミリーだけだ。』
『……それ以外は?』
『壊滅させて追い込んだ。彼女は清掃の才能もあれば頭脳も恐ろしいほどよく回る。』
『協力して欲しいなんてよく言うよ。俺とお前のファミリーどちらかが消えれば事業も何も無いのに。』
『最初から対等な交渉などこちらは求めてない。彼女をうちに取り込んだからな。なぁ、リリィ。』
『……。』
暗闇の中からコツコツと足音が聞こえた瞬間、私達の所に矢が一矢飛んでくる。
ヒュッ…!
『主様!\ボス!伏せてください!』
『『!?』』
ドスッ!!
壁に矢が突き刺さる。
『あら、殺すつもりで射ったつもりだけれど…避けちゃったのね。』
暗闇の中から声がする。ずっと求めていた懐かしい声。でもそれは声だけだった。表情は私達を真っ直ぐ見ていた。冷たい瞳と顔で私達を本気で殺そうとしていた。
『お姉ちゃん…っ。』
『主様……。』
『リリィ。お前にお客さんだ。』
『仕事中に呼ぶなんて酷いお方。』
私はほっぺの血を拭う。
『お姉ちゃん、まさか…。』
『…私のお仕事はこのスリックの街のマフィアそして、ディッド様に仇なす者を殺すこと。』
『だから、私も…クロウザーさんも殺すの…?』
『……。』
『お姉ちゃん、私ずっとお姉ちゃんに謝りたかったの。ほら、これ、覚えてないの?』
私はハートの石を見せる。
『…!』
『昔お姉ちゃんにプレゼントした石だよ。ずっと取っておいてくれてたんでしょ?他にもあったよ。箱の中に私との思い出の――。』
バシンッ!!
石を見せたその手を叩きその衝撃で石が落ちてしまう。
ゴツッ。
石が2つに割れてしまう。
『っ、主様下がれ!!』
天樹
313
俺は剣を構えて百合菜を後ろに下げさせる。
『ぼ、ボスキ…!』
『今の主様は百合菜の知ってる主様じゃねぇ!』
『でも、でも……っ!!』
ボスキの肩を掴みお姉ちゃんに触れようとする。
『無駄だ。彼女には幻覚作用、麻薬作用のある薔薇を食べさせてる。』
『その薔薇ってまさか…。ハワイアンウッドローズのことっすか……?』
『アモン、知ってるのか。』
『はい、朝顔のような紫色をしているのが特徴っす。種子に含まれる幻覚作用で吐き気や頭痛を引き起こす怖い花なんすけど……。』
『流石悪魔執事。君は花に詳しい執事なんだね。』
『……。』
お姉ちゃんはただ真っ直ぐ私を見つめている。
『お姉ちゃん、お姉ちゃん……!』
『無駄だよ。麻里衣…いや、リリィには君の声は届かない。私の所有物になったからね。もう彼女は私とこの花なしでは生きられない。この幻覚作用を利用して私の命令しか聞けないことになってる。』
『……。』
俺は麻里衣を見つめる。
『…ディッド様。私仕事に戻ります。』
『あぁ。行ってらっしゃい。』
コツコツ……。
『――ふざけんな。』
俺は剣を抜いてディッドに斬りかかる。
カキンッ!!
『おっと、危ない危ない。』
俺は胸のピストルを抜いて、剣を受け止める。
『さっきから黙って聞いてれば、主様がお前の所有物?ふざけんなよ!!』
『ハナマル……っ。』
『返せよ…俺の、俺達の主様を……っ。』
『…ディッド。君の取引は受けるつもりはない。』
『……へぇ。』
『理由は一つだけ。俺の大切なお姫様を奪ったからだ。麻里衣には伝えておいたんだけどな…。俺が口説くまで他の男に現を抜かすなって。はぁ……。』
カチャッ。
お互いピストルをお互いの頭に当てる。
『麻里衣は返してもらう。それさえ叶えば、取引は受けてやる。』
『無理な取引だな。やってみろ。こちらはファミリーを総上げで迎え撃つ。』
『……お姉、ちゃん…っ。』
今まで見た事ない。あんな……あんな私を見る目じゃ無い瞳。お姉ちゃんは優しくてかっこよくて誰よりも綺麗で強い……それなのに、今は――。
私は割れた石を見つめる。
『……。』
私達の関係は壊れちゃうのかな。
もう、お姉ちゃんは帰ってこないの……?
コツコツ……。
『……うぐっ!うぇっ。はぁ、はぁ……っ。』
頭が割れるように痛い。吐き気もする。でも、あれがないと私は生きていけない。
『副作用が出たみたいだね。リリィ。』
『ディッド、様……っ。薔薇を……薔薇の花を食べさせてください、私に……っ。』
『クスッ。好きなだけお食べ。私のリリィ。』
私は優しくリリィを撫でる。
ノックスファミリー アジト
『よし、交渉は決裂した。俺達は麻里衣を奪還しよう。』
『随分あっさりだな。』
『俺は奪われたものは自分で取り返さないと気が済まないんだ。』
『……いえ、クロウザーさん。我々が取り戻します。麻里衣様を。』
『へぇ……。』
『主様は私の主様です。必ず、デビルズパレスに連れ戻します。』
『主様としたいことが沢山あるんだ。お別れなんて俺は嫌だ。』
『ちゃんと告白の返事も貰ってないっすし。俺以外の男に心を許したことお仕置きしないといけないっす。』
『俺も…好きな人のことは守りたいんです。
自分自身の力で。』
『主様の心を癒して甘やかすのが私の仕事です。必ず救い出します。』
『もうこれ以上大切な物を失わせたくない。主様は私達の手で奪い返す。』
『ディッドの奴も許せねぇけど、俺が1番許せないのは主様だ。必ず俺の手で助ける。』
『私は、あの日主様に救われて全てが変わったんです。だから今度は、私があの方を救いたいのです。』
『我のことを謀ったこと、後悔させてやる。麻里衣にもお説教せねばな。』
『ライバル多いなぁ麻里衣ってばモテるんだから。』
俺はニヤッと微笑む。
『じゃあ、決まりだね。俺達は麻里衣をディッドの手から奪還する。』
次回
第4話 希望を駆けて