テラーノベル
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隼人, ❥ ↝😈🔥サブ垢
※一番初めの話から見ることをおすすめします。
できるだけ原作と一緒にするため、人格崩壊の可能性あり。
俺、紅瀬あっとは、一年間父さんの仕事の都合で九州に住んでいた。
もともと関東に住んでいたから、仲の良い友達と離れるのはすごく寂しかったけど、中学1年生だった俺にひとり暮らしという選択はなく、泣く泣くみんなと離れることに。
そして――今日、やっと住み慣れた地に戻ってきた。
「久しぶりの我が家だぁ……!」
玄関を上がって、家の中を走り回る。
「やっぱり、この家が一番落ち着くな」
俺の言葉に、その場にいた家族全員が笑顔になった。
「そうだなぁ」
「ふふっ、そうね」
「兄さん、はしゃぎすぎだよ」
父さん、母さん、そして妹のとあ。
ふふっ、当たり前だけど、何も変わってなくて安心したなぁ……。
でも、俺はまたすぐにこの家を出ていくことになるんだけど……。
「ねえあっと、本当に紫乃学園に行くの……?」
急に寂しそうにな表情に変わった母さんが、恐る恐る聞いてくる。
「うん!もちろん!」
「でも……」
言いよどんだ母さんに変わり、父さんが口を開いた。
「どうしてよりにもよって紫乃学園なんだ……あそこは全寮制なんだぞ……!父さん、寂しいっ……」
「え、ええっ……泣かないでよ父さん……!」
めそめそと泣き出す父さんの背中をさすって、苦笑いを浮かべる。
そう。俺は明後日から、紫乃学園という中学へ編入し、寮生活を送ることになっている。
「紫乃学園なんて、そりゃあ有名な進学校だが……ここらじゃ暴走族の巣窟としても有名じゃないか……!」
「たしかに、私も兄さんがあの中学に行くのはちょっと反対……」
父さんととあの言葉に、あははと乾いた笑みがこぼれた。
たしかに、父さんの言うことは間違っていない。
俺の通うことになっている紫乃学園は、表……つまり、公には県内でトップの進学校だけど、じつは、いわゆる『不良』と呼ばれる生徒が多いのだ。
裏では『暴走族学園』なんて言われているらしい。
「あんな危ないところに、こんなかわいいあっとを入学させるなんて……!」
父さんは泣きながら、俺を抱きしめてきた。
父さんってば、またかわいいかわいいって……。
俺は、男だし。それに、
自分の子供だからこそ思うことで、俺にかわいさなんてこれっぽちもない。
ひ弱なわけでもないし、かわいいわけがないのに……。
「やっぱり、心配だ……!暴走族ばかりいる学園に、あっとを通わせるなんて……!それに、中学生の分際で暴走族なんて言語道断だ!バイクの免許を取れる年齢でもないのに……!」
「バ、バイクで暴走行為はしてないよっ……!」
思わず、そう反論した。
実は……暴走族に入っている人の中に、何人か知り合いがいた。
ただ、みんな悪い人ではないし。悪いこともしていない。
暴走族っていう肩書きではあるけど、事実上みんなは街を守っているんだ。
他の不良グループが悪さしないように、暴走族の肩書きを背負っているだけ。
「……どうして知ってるんだ?」
父さんの言葉に、びくりと肩が跳ね上がる。
「って、風の噂で聞いたことがあって……」
「まあ、たしかに問題行動は起こしていないみたいだけどなぁ……」
それ以上聞いてこなかった父さんに、ほっと胸を撫でおろす。
ごまかせてよかった……暴走族に友達がいるなんてバレたら、いくら優しい父さんでも激怒すること間違いなしだ。
「問題は起こしてないとはいえ、危ないことには変わりない……」
「清お愛してくれるのはうれしいけど、俺は大丈夫だよ!」
「まあ、兄さんなら……変なやつに絡まれても、誰にも負けないだろうね」
とあの言葉に、母さんは頷いてくれたけど、父さんはまだ不安な様子。
俺は幼いころから、父さんに言われて空手に柔道、護身術も習っていた。
おかげで父さん以外に負けたことなんて一度もないし、普通の男の子よりもたくましく育ったと思う。
心配する必要なんてないだろうし、自分の身ぐらい自分で守れる……。
「あっとが強い子なのは十分わかっているが、そうは言っても……」
「どうしても紫乃学園に行きたいんだ……ダメか?」
「うっ……!!か、かわいい……!」
また変なことを言ってるけど、お願いすれば、父さんはNOと言えないのを俺は知っている。
昔から父さんは、俺ととあにはこれでもかというくらい甘かったから。
「し、仕方ない……寂しいけど、あっとのお願いを断るわけにはいかないからな……」
だばーっと勢いよく涙を流しながら、そう言ってくれた父さん。
「ありがとう!父さん大好き!」
父さんが優しくてよかったっ……。
「あ、あっと……!父さんも大好きだ!でも、いくつか約束してくれないか?」
「約束?」
いったいなんの……?
首をかしげた俺を見て、父さんは、「ちょっと待っていてくれ……!」と言いながら別の部屋へと走っていった。
すぐに戻ってきた父さんが手に持っていたのは……小さな箱。
父さんは、それを俺の前でパカッと開いた。
「万が一の時に用意していたんだが……中学には、これをつけて通ってくれ」
箱の中に入っていたのは……。
「え……?何、これ?」
ボサボサの黒髪にウィッグ……に、おっきなメガネ。あと……カラコン?
さっぱり状況がわからず、再び首をかしげる。
父さんは、まるで苦渋の選択を強いられたかのように顔を歪め、口を開いた。
「そんなかわいい姿であんな危険な場所になんか行かせられないから、せめてこれをつけて学生生活を送ること!これが……お父さんからの絶対条件だ!」
ぜ、絶対条件って……。さすがにこれは……。
たしかに、俺は黒と赤色の髪で目はオッドアイだから、どうしても悪目立ちしてしまう。
カラコンとウィッグに、メガネも……か。
……でも、少し面白そうかもしれないっ……。
「わかった。ちゃんとつけていくよ」
俺が紫乃学園に通いたい理由。
それは、この学校には遠距離恋愛中の恋人である、にしきこと、白神にしきがいるから。
ちなみに、にしきは俺が帰ってきたことも、紫乃学園に編入することも知らない。
びっくりさせようと思って、秘密にしてるんだ。
変装して……さらにびっくりさせるのもいいかもしれない……。
にしき、俺だって気づいてくれるかな……ふふっ。
「ちょっと試してくる!」
洗面所に向かい、変装セットをつけてみると、俺の面影はまったくもってなくなってしまった。
これは誰だかわからないかもしれないっ……!
「ど、どうかな?」
リビングに戻って、みんなにお披露目する。
父さん、母さん、とあの前に立つと、みんなは俺を見て目を見開いた。
「す、すごいな……!あっとのかわいさが完全に隠された!」
「あらま、ここまで変わっちゃうのね〜……これなら、大丈夫かしら」
「たしかに、言われないと兄さんてわからないわ、これは」
どうやら本当に別人になったようで、3人も納得してくれた様子。
にしき、これじゃあ気づかない……ちょっと不安だ……。
『“サラ”がどこにいたって、俺が見つけるから』
以前、にしきに言われたセリフが脳裏によぎった。
……うん、きっと大丈夫。
にしきならきっとすぐに俺だって見破って、びっくりしたって笑ってくれるはず。
“fatalのみんな”も、気づいてくれたらいいな……。
早く、みんなにも会いたい。
自然と笑みがこぼれて、会える日が待ち遠しくなった。
待ってろ、にしき。
俺は恋人の顔を思い浮かべ、にっこりと微笑んだ。
波乱万丈な学園生活が待っているなんて、知る由もなく――。
コメント
1件
めちゃくちゃ良いですね!