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敵国ディオン王国は滅亡し、その国土は余の軍隊により蹂躙されていた。多くの敵国民を奴隷として連行し、敵国民の財産は褒美として兵士たちに自由に奪わせた。
辺境の山岳地帯では処刑されたディオン王国国王の第二王子がゲリラ戦を展開していたが、余は精鋭の魔国兵数万を率いて第二王子追討の作戦を開始した。逆らう敵は一人残らず無慈悲に殲滅した。
作戦は順調に推移し、作戦を開始して一週間後にはもう第二王子が立てこもる要塞を包囲していた。戦況が圧倒的に優勢で油断しきっていたのは間違いない。
ある日、部下が敵国民から没収したお宝を余に献上したいと士官クラスの兵士が願い出てきた。お宝はたくさんありどれも純金製の装飾品で、すべて本物だった。その中に純金製の鎧もあった。
今思えば好奇心旺盛という余の性格を利用した罠だった。何の気なしにドレスを脱いで鎧を身に着けて、似合うかと言いながら側近たちに見せつけていたら、突然鎧が爆発した。鎧の中に大量の爆薬が仕掛けてあったのだ。余であったから即死を免れたとはいえ、超至近距離からの爆発の衝撃で余は無力化され、自力で鎧も脱げない有様だった。
異常事態発生を受けて近衛兵たちが即座に厳戒態勢を取り、余に爆薬入りの鎧を献上した士官を拘束した。士官を連れてこさせて、余は起き上がることもできなかったから横たわったまま尋問した。士官は見覚えのない魔族の若い男。落ち着き払っていて、すでに死を覚悟した表情であり態度だった。おそらく単独犯ではあるまい。黒幕は誰だろう?