これはまだ見ぬサッカー界の天才が、高校サッカーからサッカーを始め、様々なライバルと切磋琢磨しながら、サッカー日本代表のストライカーにまで登りつめる物語である。
群馬県の山岳地域の田舎で育った少年、赤城貴也は、幼い頃に両親が離婚、そして、引き取られた母親が早くに亡くなったこともあり、母親の実家がある群馬県の山奥でお爺さんとお婆さんと暮らしていた。
そんな大自然に囲まれた環境で、地元の妙技山の険しい道を登ることが日常的になっている、絵に書いたような野生児的な少年だった。
そんなある日、学校から貴也が帰っていると、たまたま山でサイクリングをしていた3人の男達に出会った。
1人が転倒してしまったらしく、軽い怪我を負っていた。近くに病院などもないため、貴也は負傷した人に家に来るように言い、残りの2人は一旦宿に引き返して、車で迎えに来る約束をして、負傷した男を連れて貴也は家に帰ることにした。
治療を終えて、貴也はたまたまテレビをつけた所、 サッカーの日韓ワールドカップの試合が行われていた。
貴也は、サッカーの試合を見るのは初めてで、スーパースターが必死になって走る姿や、ゴールの瞬間の観客の熱にとにかく目を奪われた。
貴也はこれまでに感じたことのないような選手のパワーと美しさを見て、夢中になってしまった・・・
そんな様子を見た、男は貴也に話しかけた。
『君、サッカー好きなのかい?さっきからずっと目を輝かせて夢中に見てるけど。実はおじさん、昔はプロサッカー選手をしてて、今は高校でサッカーのコーチの仕事をしてるんだよ。』
『そうなんだ!おじさん凄いね!でも、自分、サッカーを見るのはこれが初めてで、こんな面白いスポーツが世の中にはあるんだね!びっくりしたよ!』と貴也は答えた。
『そうなんだ、そしたらもし君がサッカーやりたくなって、高校生になったら、一緒にサッカーやろうよ!』
『本当に?ありがとう、おじさん!そしたら、僕もプロ目指してサッカーやってみるよ!』
『お!プロだって?そりぁ、目標が高くて良いことだ!おじさん応援するよ!』
そして、貴也はプロを目指してサッカーを始めることを決心した。
この怪我した男は実は、元日本代表の三鷹という人間で、日本で初めてブラジルのプロサッカーリーグに参加した日本のサッカー界におけるパイオニア的存在であった。
次の日、貴也は中学校の同じクラウスのサッカーが詳しい友達にサッカーのことについて尋ねた。
貴也「昨日のワールドカップ見てさ、すっげー感動しちゃったんだよね。高校から俺もサッカー始めたいんだけど、群馬で1番サッカーが強い高校ってどこなの?俺、そこに行ってサッカーしたいと思ってるんだよね。」
サッカー部の友達「はぁ?お前何言ってるんだ?群馬で1番強い高校は、前橋育栄だけど、お前がそこでやってけるわけないだろ。3年間ずっと補欠どころか、ずっと3軍以下だよ。あそこは県内だけでなく、全国から本気でプロを目指すような優秀な選手が集まってくるんだぜ?素人のお前が通用するわけないし、高校サッカーってそんなに甘くないぜ?」
貴也「そうなのか?まあ、でもやってみないとわからないし、俺の夢はもうワールドカップでゴールを決めることにしたんだよ!なるほど、前橋育栄か!まずはそこで活躍だな。」
友達「何言ってるんだか。(呆れ顔)」
それから、数カ月後、貴也は必死に勉強し、受験にも合格して、地元の強豪校で、全国大会でも常連の前橋育栄高校に入学し、サッカー部に入ることとなった。
前橋育栄高校は、強豪高校であるため、入部希望者も多く、仮入部の最初の練習時点で100名を越す入部希望者が集結していた。
集まっていた人間は、当然、貴也のように素人はおらず、ほとんどの人間が中学時代に腕をならしていた手練ばかりである。
しかし、この100名近くの人間は、推薦組を除く人間であり、推薦組のエリート20名はこの中にはいなかった。
そんな中、コーチが現れ、全員がコーチに大きな挨拶をしていた。
貴也もとりあえず、周りの人間にならって、少し遅れたが挨拶をしてみた。
コーチ「それでは、集まっていただいた諸君、こんにちわ。今日は皆の能力を見たいので、シャトルランのダッシュ、100メートル走での計測を行う。」
そこから、30人ずつ1列に並ばされ、シャトルランのダッシュが始まった。
中学時代にそれなりに腕を鳴らしたサッカー自慢が次々とシャトルランを離脱していく・・・・
貴也の番がついにやってきた、貴也の組の30人も、何十本を超えたあたりから次々と人が離脱していく中、貴也は平然とダッシュをこなしていた。
最終的に貴也以外、誰もいなくなったため、貴也の組のシャトルランが終わったが、このとき誰もこの男の身体能力には全く気づいていなかった。
少しの休憩時間の後、100メートルの計測が行われることになった。
そこで、貴也は周囲の度肝を完全に抜くことになる。。
貴也自身は、80%くらい程度で走ったつもりだったが、横並びで走った他の4名を完全に置き去り状態にしてしまった。
もちろん、走ったタイムも新入生の中で断トツで1番で、そのスピードは陸上部でも全国大会でも通じるレベルだった。
コーチは貴也の初速の速さに注目し、貴也に対して声をかけた。「君、スピードすごいね。」と言った。
貴也は少し困惑したが、コーチは「お前はここで大活躍することができるだけのポテンシャルがある」と言って、去っていった。
次の日のサッカー部の練習では、冒頭に総監督の田中から、新入生に対する挨拶が行われた。
田中「諸君、サッカー部への入学、歓迎する!昨日のシャトルランで何十名か入部を断ってきたものもいたが、諸君はこれから3年間、サッカーだけでなく、人としても大いに成長してほしい。そのためにサッカーの技術だけではなく、体力、人間力も全て兼ね備えて、これまでの幾栄高校の立派なOBのように、世界でも戦える人間になってほしい。」
総監督の田中の言葉は、伝統からくる威厳と重みがあり、貴也の心を躍らせるような感覚があった。その後、新入生同士の紅白戦が行われることになった。
コメント
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スポーツ読みたかった!!✴️
本格的なサッカーの話、めっちゃ待ってた!
すごい臨場感😳