テラーノベル
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「えっ? 収穫祭?」
何と、ジンから心ときめく提案をもらってしまった。
「フォクスでは、米の収穫が終わると毎年盛大に祝ってたんだ。出店が出たり、お米を使った料理の大会を開いたりしてさ」
「すっっごくやりたい!!」
楽しい確定イベントだ。領全体は流石に無理だけど、お米の産地でならやれるはず。
嬉しすぎて飛び上がって喜んでいれば、そっとジンに手を繋がれた。いつの間にか私よりも大きくなったじんわりと暖かい手に心臓が跳ねる。
「じゃあ、今からノアのところに行こう。作戦会議だ」
「うん!」
繋いだ手も嬉しいし、収穫祭も嬉しい。嬉しいの大渋滞だ。
ジンが繋いでくれた手をチラチラと何度も見ながらノアの元へとゆっくりと歩いていく。
そのことが、ジンも私と2人の時間を大切に思ってくれているみたいで嬉しいがもっと積もっていく。
「ノア、相談があるんだけど」
そう言うジンの手は未だに私の手を握っている。ノアの前で手を繋いでいるのが恥ずかしいのに、名残惜しくて離せない。
「何? もう言ったの? とりあえず、おめでとう。姉さんのことよろしくね」
「え? ノアも一緒にやるでしょ?」
「……え? まさかただ手を繋いでいるだけなの?」
信じられないものを見るような目でノアはジンを見た。
「折角なら、ロマンチックな方がいいだろ?」
「そう? そんな必要ないと思うけど」
ん? どういうこと? 手を繋いでる話かと思ったら、収穫祭の話?
ロマンチックな収穫祭って何だろう。ハートがいっぱいとか? うーん。お花がたくさんの方がロマンチックかも……。
「ロマンチックな収穫祭にするならお花をたくさん使った感じはどうかな? 木の実も上手く使えたら可愛いと思う!」
「あー、そうだね。いいと思うよ?」
「だな。ロマンチックな収穫祭もいいよな」
あれ? 何だろう。この一人だけずれている感は……。
「ロマンチックって収穫祭の話じゃないの?」
「……アリアは、収穫祭っていったら何の出店がいいと思う? 俺はだんごなんだけど」
「僕はおはぎかな。あずきも美味しいけど、きなこもいいよね」
おだんごとおはぎかぁ……。いいよね。おいしい……じゃなくて、何か誤魔化そうとしてる?
「出店の話もいいんだけど、その前に──」
「肌寒くなってきたし、少し早いけど雑煮とかおしるこもいいよな」
「豚汁もありじゃない? 甘酒は外せないよね」
お雑煮、おしるこ、豚汁、甘酒……。
頭のなかを美味しい食べ物が占拠していく。
「おいなりさんとのり巻き、押し寿司の販売もいいよね! あとは、干し芋とか干し柿? ちょっと時期が早いかなぁ……」
「焼きいもはどう?」
「さっすがノア! 名案だよ!! 外で食べる焼き芋! 美味しい以外の未来が見えない!!」
楽しみ過ぎる! 絶対に美味しい収穫祭にするんだから!
収穫祭について、場所と日時も含めて具体的に計画を立ててお父様にプレゼンをすることになり、私たちは図書室へと向かう。
ノアが魔術でオロチとべにちゃん、しゅいちゃんに集合をかけてくれた。
「ふーん。秋の花ってこんなにあるのね。この花は最近生けたから、ここら辺で栽培してるわね」
「べに、柿のジャム作るですよ!」
しゅいちゃんはお花の図鑑を、べにちゃんは料理本を見ながら、案を出してくれる。
べにちゃんはコック見習い、しゅいちゃんはメイド見習いとして屋敷の仕事を学んでいて、得意分野で収穫祭に協力してくれるみたい。
見習いをしている理由なんだけど、「「ただでご飯をもらうなんてありえない(ですよ)」」って言うんだよね。
レッドプテラの仲間をまとめてくれたり、背中に乗せてくれたりしているから十分働いてくれていると思うんだけど、譲らないところを見ると2人なりの考えがあるのだろう。
オロチとノア、ジンはみんなで1枚の地図を囲んでいる。
「最短でも一月は準備にかけた方が良いのではないか? これから収穫するのではなく、既に終えており、かつ中心部に近いところとなると……」
オロチが的確な判断であっという間に候補地を2つにしてくれた。その候補地をジンとノアとどちらが良いか話し合っている。
私はというと、前世の記憶を屈指してお米を使ったまだこの世界にないレシピを考える。何か一つくらい新商品の屋台を出したいのだ。
黄金色の稲穂を思い浮かべれば、実った時の感動を思い出し、やる気も倍増だ。
みんなで集まって思い思いに収穫祭を描き、それを共有していく。何て楽しいんだろう!
その気持ちがあと数時間後にはペシャリとつぶれてしまうなんて、この時は思いもしないのだった。
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コメント
1件
収穫祭の準備、みんなでわいわい楽しそうでこっちまで嬉しくなっちゃった…! おだんごとか焼き芋とか食べ物の話に夢中になって、気づいたらロマンチックの意味がずれてる感じ、アリアちゃん可愛いなあ😊 最後の一文が怖くて、ちょっとドキドキしてる…次が気になる〜!