🇺🇸ん”っ…いってー…
呑み過ぎてガンガンと悲痛を上げる頭に起こされ、頭を抑えて起き上がる。
🇺🇸…ここどこだ…?
俺はふと気付く。
今、俺がいるこの場所は俺の家じゃない事、そしてホテルでもなく、誰かの家だという事。
チラッとスマホに目を通せば、日付けは変わっていて外はまだ暗い。
俺は酔いの冷めた頭で昨日の事を思い返す。
俺はあの後どうなった…?確かロシアにビール呑みながら愚痴って…ヤバいその後の記憶が全く無い。
もしかしてあのままロシアの家に連れて帰られたか…?
🇺🇸えー…申し訳ないしなんか嫌だな…
そう呟いたと同時に、誰かがガチャリとドアを開けて入ってきた。
🇯🇵あら?起きたんですね、大丈夫ですか?
🇺🇸…日本?
入ってきたのは日本だった。
日本は固まる俺を他所に、持って来ていたコーヒーを俺に手渡す。
🇺🇸…もしかしてここは日本の家か?
🇯🇵はい、私の家です
恐る恐る聞いてみれば、やはりそうだった。
ロシアじゃなかった事に少し安堵したと共に、またある疑問が浮かぶ。
🇺🇸…どうやって俺をここまで連れて来たんだ?それになんで俺が酔い潰れたって知ったんだ?
俺がそう聞くと、日本は苦笑した。
🇯🇵ロシアさんから電話を頂いたんですよ、アメリカさんが酔い潰れたって聞いて…まあ残念ながら私は貴方を1人ではかつげないのでロシアさんにアメリカさんをここまで連れて来てもらいました
🇺🇸…あー成程な
何となく納得した。
じゃあロシアにまたお礼言わねぇと…
…ーーカチッカチッと、時計の針が動く音だけがする。
…気まずい。俺もそうだが日本も何も答えない。
俺は頭を悩ませた。
日本は俺の事もう好きじゃなくなったかって。親父とデキてるのかって。
何で最近俺を避けてるのかって。
折角日本が隣にいるのに喉に詰まって声に出ない。
…そんな長い沈黙に終わりを伝えたのは日本だった。
🇯🇵…私、アメリカさんの事ずっと好きですからね
🇺🇸…は?
🇯🇵嫌いになんかなってませんから
日本はクシャリと笑った。
…今のは幻聴か?
そんな事を考えていると察してか、日本はゆっくりと口を開く。
🇯🇵ロシアさんから聞きました、私がもうアメリカさんの事好きじゃないんじゃないかって事、イギリスさんとデキているんじゃないかって事も
あの野郎、全部話しやがったな…そう思いながらも、俺は少しロシアに感謝した。
🇺🇸ああ、だって最近お前俺の事避けてるように見えるし…ずっと親父といるしさ…嫌いになったんじゃないかって思って
🇯🇵そんな訳ないじゃないですか!
日本が声を張り上げる。
滅多に声を張り上げないあいつが。
日本はギュッと俺の手を握り締める。
🇯🇵…確かに、避けているような行動はしていました…
日本はしゅんと、肩を下げる。が、裏腹に俺の手を握り締める力は一層と増す。
俺はそんな日本に声を掛けようと口を開くが、その前に早く日本が先に口を開いた。
🇯🇵アメリカさん、今日は何の日ですか?
🇺🇸今日?今日は俺の誕生日……あ
俺は言葉をとぎる。
🇯🇵気付かれましたか?
日本はスッと立ち上がり、どこからか大きな袋を持って来て俺に差し出した。
🇯🇵お誕生日おめでとう御座います、アメリカさん
日本から差し出された袋の中には、俺宛の手紙と、可愛らしいぬいぐるみと俺が欲しがっていた服が入っていた。
🇯🇵えっと…ぬいぐるみは私の趣味で作りました…お揃いの
手を弄りながらボソッと呟く日本は少々顔を赤く染めていた。
俺はそんな日本をギュッと抱き締め優しくキスをした。
🇺🇸暫くお前が俺を避けていたのも、全部サプライズの為だったんだな…ありがとう
俺は皆に愛されていると、不覚にもそう感じた。
今度親父にもお礼を言わないとな…。
🇯🇵実はケーキとクッキーを作ったんです、だから今日の夜一緒に食べませんか?
🇺🇸マジか!沢山作ってくれたんだな!
俺はもう一度、可愛い恋人を強く抱き締めた。
🇺🇸はぁっ?!お前日本がサプライズしようとしていた事知ってたのかよ!
俺は後日、お礼を言ようとロシアに会いに来ていた。
🇷🇺まぁな、それにこういうものは黙っていた方が一番良いからな
唖然とする俺を他所に、ハッと笑うロシアはお礼としてウォッカを買って来いと言い、どこかに行ってしまった。
🇺🇸クソ〜…
俺はうねる。
だがそれと同時に、やっぱりあいつは良い奴だなと思った。
🇺🇸ウォッカ買ったら日本の所に行くか〜♡
俺は俺らしくなく、るんるんとステップを踏み歩き出した。
勘違いでも良い。やっぱり俺は愛されているな。
『終』
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