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カメ吉(新アカ)
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#オリキャラ注意
sasada
28
⚠️注意⚠️
・実際の国名が出てきますが、
現実の国名とは関係ありません。
・戦争を助長、賛同するものではありません。
・なかなかにグロテスクは表現があります
馴れ初め
ザワザワと、エントランスから沢山の大声と物音が聞こえる。
誰かが、運び込まれてきた。
此処最近は静かだった特殊救急科が突然騒がしくなり、少し悲しい。
うるさいのは、嫌いだ。
「星原先生ッ!!重篤患者ですッ!!!」
『…はい。容体、は……』
容体を聞く迄も無かった。
見ただけで判る。文字通りの、虫の息。
腹の肉が抉れて中身と、骨が見えている。
片腕も片足も無い。切断面は綺麗だから無事くっつくだろう
顔の皮膚も半分くらい無い。眼球は両方無い
非常に不味い。今すぐ処置をしないと絶対死ぬ。
だが、問題が一つだけある。
問題は、其の患者の”性別”。
患者は、男性だ。
『………手術室に、運んで下さい。準備して、いきます。』
私は、男性恐怖症だ。
どれだけ親しい殿方であろうと、「此の人は私を侵す気じゃないのか」と怖くなる。
幼少の頃から、親戚や父親、近隣に住む人、果には”そういう店”に迄売られかける程、私は物心がついた時から”そういう欲”を処理する為だけの道具だった。
怖くて、恐ろしくて、仕方無い。
だが、今そんな事を云っている場合じゃない
ほぼ虫の息だ。厭呼吸してる時点で奇跡か?
そんな文字通り今際の際の患者が自分の恐怖対象だからといって、救わない選択肢なんて、無い。
準備して向かい、1人で手術をする。
特殊救急科には私だけ。
というか、上層部が気を利かせて態々作ってくれた私だけの救急科だ。
感謝しているが、此の恩を返せと身体を貪られるのが怖い。怖いが、期待には応えなければならない。
殴られたくないから。
『………終わった』
流石に最初の腹の中身が見えてた時はどうしようかと頭を悩ませたが、案外どうにかなるものだ
『……〇〇先生、此の患者はどんな方ですか?』
「あ、ええとですね…」
特殊救急科は「特殊」と名前に冠している通り、特殊な種族や職業、負傷状態の患者が運ばれている。
此の患者は特殊な負傷状態には無かったので、恐らく特殊な種族な職業か何かだろう。
特殊自衛隊とかなのかな?訓練中にこうなったりするのだろうか。
「今回の患者は、ヘルリオン・ジャックマンと云いまして、悪魔だそうです」
『悪魔?』
悪魔?悪魔って云ったか?
悪魔が病院に運ばれてくるなんて初 めて聞いたぞ
ふと其のヘルリオン・ジャックマンという患者に目をやる。
……確かに、なんか変な羽根が生えている。
しかも、手術中は気が付かなかったが、目に見える速さで少しずつ身体が再生している。
…手術の必要無かったんじゃないか?
厭々、流石に手足をくっつけるくらいは必要だっただろう。腹やらは人工皮膚でどうにかしたが、取った方が良いかな…
「えっ、先生どうしました?」
『あ、厭…なんか自己再生してるので、腹部とかに移植した人工皮膚は不要かなと思いまして…』
「わ、本当だ。凄い…もう顔治ってる…」
『あ、其の儘続けて下さい』
『はい、ジャックマンさんの職業がですね…」
『何か問題があったんですか?』
「えぇと…世界反乱軍の、ソルゼロ軍だそうです」
ソルゼロ軍? 世界反乱軍?聞いたことないな
変な職についてるなぁ、此の人。
顔は整ってるのに、勿体無い。
『どんなものなんですか?』
「え、先生知らないんですか?」
『一寸知らないですね』
「世界反乱軍は、今現在殆どの都市がゴーストタウンになった日本を初め、各国での紛争を止めたり、飢餓等で苦しむ人々の支援をする等、簡単に云えば何処にも属さないフリーの軍隊、だそうです。」
『何処にも属さないフリーの軍隊…』
「で、ジャックマンさんは其の組織の副司令官、No.3だそうです」
『えそうなんですか???』
「結構テレビにも出てますよ、此の人」
知らなかった…偉い人なんだな……
『…あ、終わりました』
「あ、御疲れ様ですっ!!じゃあ、ジャックマンさんを病室迄運んで…入院期間等については、他の先生に…」
『あ、い、厭…今回は私が…』
「えっ、だ、大丈夫なんですか?!」
『厭ほら…治したいですし…』
「む、無理しなくて良いですからね!」
『有り難う御座います』
優しいなぁ。
御母さんは優しくなかったから、嬉しいや。
目覚めたという連絡を受けたので、患者の居る409号室に向かう。
扉を開けて、入ろう__とした
やっぱり、怖い。
医者として、悪魔の回復力が気になるのはある。
だとしても、私は医者である以前に、私だ。
怖くはある。
父親やらが私を使って”そういう欲”を発散する時に、「御前はそういう道具としての魅力があるんだ」と、珍しく褒めてくれた事が何回かあった
父親のような大人には、そう映るらしい。
…患者も、そういう目で私を見ないという保証は何処にも無い。
其れでも、勇気を振り絞って、扉を開けた。
『……失礼します』
「おっ」
『…?』
彼は待ってました、と云わんばかりに軽やかな声をあげて、私の顔を見た。
不思議な瞳をしている。血液のような、炎のような、りんごのような…どれも違うかもしれないけど、そんな深い赤色のような色。綺麗だな
「こんにちはせんせ。俺の手と足くっつけてくれたんだって?厭〜助かったよ」
『え、あ、はい…医者として当然ですから…』
何だろう、思っていた性格と違う…
偉い人って、もっと硬い感じじゃないのだろうか?ONとOFFを分けるタイプ?
「せんせ、なんか元気ないじゃん。顔青いよ」
『え、あ…そ、そんな…ことは…』
ふ〜ん、と云いながら、私の顔を見つめる。
すると視線が私の身体へと移動する。
怖い。なんだろう。何か機嫌を損ねただろうか
すると彼は
「せんせ、男性恐怖症でしょ」
そう云った。
『えっ?』
「厭〜、俺、手術中も若干意識あったんだけど、一緒に居た看護師の人には普通だったのと、なんか怖がってる感じと、俺と一定の距離取りたがるから、かな? 」
『え…』
確かに、ほぼ無意識だが彼が前のめり気味になる度距離を取っていた。
そう思うと凄い観察眼だ。組織のNo.3というだけはあるのだろうか?
「せんせ、治したいの?」
『…え、ええ…まァ…。仕事でもプライベートでも、支障が出ますし…』
「成程ねぇ。じゃ、ほら。」
『え?』
ニコニコしながら、彼は紐を荷物の中から取り出し、自分の手を縛った。
『なっ、何して…』
「え?厭、此れで先生怖くないでしょ?ほら、足もくっついたけど未だ上手く動かないからさ」
『え、あ… 』
「治したいなら俺のとこ来なよ、退院迄付き合うよ」
『い、良いんです…か?』
「良いよ良いよ!俺せんせみたいな人好きだし」
そうニコニコと笑う。
好き? 好きってなんだ。
でも、云われても不快じゃない、怖くない。
……信用しても良いのだろうか?
『…わかり、ました』
其れから彼の部屋にちょくちょく通った
最初は近づくのも、目を合わせるのも怖かったけど、少しずつ話せるようになったし、近づいても取り乱さなくなった。
同じ病院に勤める男性医師や男性看護師の人達と話せるようにもなって、色んな人から『本当に大丈夫なんですか?!』と心配された
心配してくれるのは、嬉しい。
でも、迷惑を掛けているだろうから、申し訳無い気持ちもある。
今日、彼が退院する。
上司の方が2人迎えに来てくれて、とても心配していた。彼が重症を負った紛争が先日漸く終わったらしく、見舞いに来れずに心配だったらしい。
良いなぁ。あんなに愛してくれる人が 身近にいるなら、嬉しいだろうな。
私はというと、エントランスで彼を見送る時に、一番偉いザンダーという方にとてつもなく感謝されて、ルーラという彼の先輩に宥められていた。
其れを見ながらも、正直驚いていた。
泣く程感謝する人?は初めて見たので、どうしたら良いか判らなかった。
「__じゃ、せんせ。御世話になりましたぁ」
『えぇ、もう御無理は成さらずに。 』
「えぇ、其れは一寸難しいな…」
『あ…すいません……』
「あ、そうだ。」
『?』
思い出したかのように、彼はまともに動くようになった足で近づいてきて、私の手を引いた。
なんだろうと思ってると、私の掌の上に小さく折り畳まれた紙を置いて、こう云った。
「俺の連絡先書いてあるから、仕事終わったら連絡してよ。俺、せんせともっと仲良くなりたいな〜」
そう云われて、心臓の音が大きくなった。
煩い。脳が揺れているんじゃないかと錯覚する程足元がふらつきそうになる。
でも、嬉しい。私は首を縦に振った。
「やった。じゃ、又ね。せんせ」
初めて会った時のようにニコニコ笑って、手を振って彼は病院を去った。
『〇〇先生、れんらくさきのとうろく?って、どうやるんですか』
「え、どうしたんですか?急に」
『私が担当したジャックマンさんという方にれんらくさき?が書かれた紙を貰ったので、登録してみたいんです』
「え、先生登録の仕方知らないんですか?」
『今の今迄機械とは無縁だったので、判らないんです』
「意外だなぁ…」
キャスト
主人公…星原 弥月
患者…ヘルリオン・ジャックマン
患者の上司…ザンダー
患者の先輩…ルーラ
コメント
3件
弥月ちゃん...!久しぶりの弥月ちゃん嬉しい...!!闇の片鱗が凄い...
うわあ、219話まで読んできてこのエピソード…!すごく好きです。男性恐怖症の医師と悪魔の副司令官、出会い方が壮絶すぎるのに、ヘルリオンの「治したいなら俺のとこ来なよ」の軽さと優しさにぐっときました。自分を縛ることで先生の恐怖を和らげようとする発想、彼なりの誠実さがにじんでいて。連絡先を渡すシーンの心臓の音の描写も、すごくリアルで共感しました。この先、どう関係が育っていくのか、すごく気になります。