テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
羽海汐遠
16,167
30
金木犀
467
只野隙間
82
翌朝。
焼いたパンとトマトと卵のスープ、ヤングコーンやツナ缶、ブロッコリーなどのサラダを食べて。
今日の僕は朝出発組。だからすぐカヤック準備にかかる。
今日はシットオンという、要は上に乗っかるだけのタイプの艇。
後は柏先輩だ。
「今日は宜しく」
「宜しくお願いします」
という事で出発する。
今日も男性組は最後の出発。
ただ今回は昨日の成果もあってか、皆さん余裕がある感じ。
艇をカーブでスライドさせるのも綺麗に決まる。
柏先輩も、ほぼ姿勢制御だけで操っている感じ。
ただ乗り換えた区間、津々井先輩より柏先輩の方が重いようで、ちょっと苦労したけれど。
そしてあっさりと見覚えのある赤い橋へ。
楽しい時間の終わりを告げる目印だ。
今回は女性陣も、それなりに体力が残っていたらしい。
片付けを手伝ってくれた。
そして着替えて、出発地のキャンプ場に戻る途中の車内で。
僕だけじゃ無い。
全員が、これで終わりで残念という感じ。
そんな雰囲気を察したのだろう。
運転中の草津先生が教えてくれる。
「ここは確かに綺麗で流れがいい川ですけれどね。平地の流れのゆるい川で遊ぶのも楽しいんですよ。魚を始め、色々な生き物が多いですからね。細めの水路なんかに入ると、小魚が飛び込んできたりする事もあります。それこそ利根川の中流くらいの処とかでもいいです。そういう別の楽しさがあるんですよ」
確かにそう言われてみると。
そんな楽しみ方も面白いかもしれない。
更に小暮先生が、とんでもない事を言う。
「それに草津先生、このうち2艇はキープしたんですよね」
「ええ。於田先輩から今回譲り受けたんです。一戸建てからマンションに引っ越すそうなんで。あとFRP製のカヌーも1隻追加ですね。今回は持ってきていないですけれど」
つまり3隻は、あの家にキープしたという事か。
その気になれば、いつでも使えると。
しかし気前がいい先輩がいるものだ。
更に。
「でも小暮先生も、この前ミニホッパーをオークションで落札しましたよね。状態いいから、夏までに霞ヶ湖あたりで試したいって言ってませんでしたっけ」
草津先生が爆弾投下。
「クッチー、駄目。あれはまだ生徒には言っていなかったのに」
慌てている小暮先生の台詞に被せて。
「ミニホッパーって何ですか」
そう石動先輩が尋ねる。
「1人用の小型のヨットですよ。風がいい感じに吹いていれば、最高に楽しい乗り物です」
「あ、先生ずるいのですよ」
たちまち発生する抗議と、小暮先生の弁解。
「だって1人乗りですし、生徒が沖合で沈したら、助けられないじゃないですか」
「魔法使い2人と、念動力持ちと、空飛ぶ宴会場があるのです」
「せめて昔のカンを取り戻すまで、1人で練習してからです」
それにしても……。
「それにしても先生達、どれだけ色々そういう遊びをやっていたのですか」
皆の疑問を代表して、松戸先輩が尋ねる。
「登山系を除けば、あとはダイビングと素潜りと、モトクロス位でしょうか」
「クッチーはあと、野生の食物採集ですね。大学時代、海で防波堤にへばりついた牡蠣を食べすぎて、酷い目に遭った事もありましたっけ」
「それは若さ故の過ちです」
先生方2人とも、まだまだ色々引き出しを持っている模様だ。
つまり今回のカヌーが終わっても、まだまだ楽しい遊びは色々あるという事か。
マイクロバスはキャンプ場へ向かっている。
「霞ヶ湖と言えば、霞ヶ湖マラソン大会でコスプレして走ったのも、懐かしいですね」
「あれは小暮先輩がやろうって言ったからじゃないですか」
「セーラー服スタイルは恥ずかしかったですね。でもステッキ片手に、自作のフリフリな魔法少女コスチュームで走ったクッチーの度胸には、勝てなかったです」
「その黒歴史は、生徒の前で言わないで欲しかったです……」
そんな先生方の暴露大会をBGMに。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!