テラーノベル
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すまない、アーサー。
友人の妻を奪う私は非道だ。許してくれ!
だが、どうしてもリディアのことが忘れられないんだ!
側にいたいんだ! 大切にしたい。その役目は私でありたい。
せめて、決して触れることはしないと誓う。
この2年その誓いを守ってきた。
優しいリディアは、契約結婚を引き受けてくれた。
事情を知っている両親からは、応援されている。 リディアの負担にならないように、引退してなるべく顔を合わせないようにしてくれた。
私が学園の頃からずっとリディアのことが好きだと、ばらされる心配はない。
邸の使用人達は、詮索せずリディアに対して好意的なのでほっとしている。さすが両親の人選は素晴らしい。
契約結婚であるにも関わらず、リディアは妻としての務めを果たそうとしてくれた。
理性が飛びそうになるのを必死に堪えた。
提案しておきながら、自分が破りそうになるなんて、どこまでも非道な自分が許せない。
妻……私の妻。
いい響きだ。かわいい。だが、それも、もう終わりにしなければいけない。
己の欲のために、君の気持ちを蔑ろにしてはいけない。
離縁という傷をつけてしまう私を許してくれリディア。
アーサー、お前が羨ましいよ。
お前と顔を合わせたくない。
リディアを誰よりも見てきたのは私だ。
許されるなら、このまま……。
フレデリックは、空になったボトルを確認すると、ソファーに腰掛けたまま叶わぬ恋の夢の中へと落ちていった。
◇ ◆ ◇
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