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試練の日から数日が経った。
3人は文化祭準備に励む。
ハルとトウマは相変わらず着せ替え人形となっていた。
女の子達はメイド服を着ようとしていたが、「そんな服を着て君達が危険な目に合ったら大変だ。」というトウマの一言で却下された。
霧島とミズキは一緒に装飾を作っていた。
「なんか俺が提案したやつが採用になって、あのハルとトウマを従えたみたいだな。」
何故か誇らしげに語る霧島を横目にミズキは作業を続ける。
ビーッビーッ
【緊急事態!緊急事態!生徒は速やかにシェルターに避難してください。繰り返します。】
けたたましく鳴るサイレントと放送に一斉にみんな走り出す。
「雨音さん、南君、柊君!急がないと!」
その場を動こうとしない3人に霧島が声をかける。
「大丈夫、霧島。先に行っといて。」
「必ず後を追うから。」
ハルとトウマが霧島に伝える。
「何を言って•••!雨音さんも!」
「大丈夫、そのために私達が居るんだから。」
トウマの携帯に花村から着信がある。
【3人共無事か?学校近くに奴らが出た。俺が到着するまで学校敷地内の奴らだけを頼む!いきなりの実戦になるが、俺も3分以内には到着するから!頼むな! 】
「行くぞ!来い!」
ハルの手に槍が握られる。
「力を!」
ミズキの手に斧が握られる。
2人は先にベランダから校庭に飛び降りると次々と校庭に侵入する屍達と戦い始めた。
「全く、はりきってるな。霧島君、校内にも侵入している可能性があるから、僕と一緒にシェルターまで移動するよ。」
そう言ってトウマの手に弓が握られる。
「•••柊君は、なにも言わないの?」
「僕はちゃんとイメージ出来てるから大丈夫。それより急ごう。」
トウマは霧島を連れてシェルターまで向かった。
「おうおう!いい感じだな!」
「花村さん!」
花村も到着する。
「全部隊長に告ぐ!学校周囲の屍の殲滅は任せた!叶!校内のトウマと合流しろ!俺とハル、ミズキは学校敷地内の殲滅を図る!行くぞ!」
「はっ!」
それぞれの持ち場に行き、指示を遂行する。
「ハル!振りが大きすぎる!ミズキ!重心を低くしろ!」
花村は大鎌で屍をなぎ払いながら2人に指示を出す。
「はい!」
ハルもミズキもそれに対応するように自分の動きを修正する。
その時、ミズキには声が聞こえた。
“あの小僧、後ろをとられるぞ。”
ハッとして振り替えるとハルの後ろに屍が複数でてきていた。
「ハル!」
ミズキは急いで身を翻すとハルの後ろの屍に斧を振り下ろす。
「ミズキ、ありがとな!」
「2人とも!油断するな!」
校庭に次々と侵入しているところを見ると、外の部隊も苦戦しているようだ。
「大将直々に来てくれるってよ!持ちこたえるぞ!」
花村は鼓舞する様に声をかえた。
その頃校内ではシェルターまでの移動に苦戦していた。
「霧島君!伏せて!」
「わぁあ!」
霧島は急いで伏せると、その上をトウマの放つ矢が飛んで行く。
「段々数が増えてきたね。霧島君、立てる?」
トウマは霧島に手を差し出して立たせる。
「•••ごめん、足も遅いし、どんくさくて•••。」
「そんなことないよ。それに霧島君には感謝しているんだ。」
トウマは敵から視線をそらすことなく矢を放つ。
「君だけは僕達の心配をしてくれて、ミズキのことを大切にしてくれる。ハルもミズキも僕の大切な家族なんだ。だから、君だけは守りたい。」
霧島の胸が高鳴った。
(俺が女なら惚れてたぜ、危なかったぞ、柊君。)
「トウマ!」
「叶さん!」
2人の元に叶が合流する。
「この子は?逃げ遅れたの?」
「僕達の心配をしてくれてたら、逃げ遅れちゃって。」
「!」
叶が驚いた目で霧島を見る。そして武器をしまうと霧島の手を握った。
「この子達をよろしくね!悪い子達じゃないから!」
「は、はぁ•••。」
「もういいから!叶さん、早く霧島君をシェルターに避難させてください! 」
「トウマ、私が引き付けとくからあなたがお友達と一緒に行きなさい!」
叶は再び両手に武器を握る。
ウキウキしているのが手に取るようにわかった。
「わかった。行こ、霧島君!」
「うん。柊君のお母さん、失礼します!」
「お、おか•••!」
霧島の手を引いて走るトウマを見送る叶の目に光が宿る。
集団で叶に屍が襲いかかるが、叶は一瞬で切り捨てた。
外の屍の数が減ってきたことを確認すると花村はミズキの側に行く。
「ミズキ、体力の消耗が早い。瓜生さんも到着した。武器をしまって下がれ。」
「まだ、まだ•••!」
「ミズキ!」
「!」
「武器をしまえ。そして下がれ。」
花村の気迫に押されミズキは武器をしまった。その瞬間、激しい動悸と目眩に襲われる。
「ミズキは聞こえるんだろう、武器の声が。」
花村に返事をしたいのに声がでない。息をするのさえ体に負担がかかる。
「声が始めから聞こえる奴は適応力が高い。だがな、その反面武器に従いすぎて無茶な戦い方をする。」
花村はミズキを抱える。
「ハル!シェルターまで案内してくれ! 」
「わかった!」
ちょうどその時、瓜生の部下の姿が見えた。
「花村大佐!」
「よかった、到着したんだな!ここは任せた!」
「はっ!」
そうしてハルの案内に着いていきシェルターへと向かった。
シェルター前には屍達が群がっており、中に入ろうとしていた。
壁のひび割れる音と一緒に、外にまで悲鳴が響いている。
「ミズキはここにいて。動くなよ。ハル!」
「おう!」
そこにトウマと霧島も到着する。
「トウマ!叶は?」
「叶さんなら校内の屍を引き付けてくれています。」
「わかった。そこの君はミズキの近くで待機してくれ。行くぞ!」
3人はそれぞれ攻撃を開始した。
「雨音さん、大丈夫?」
「うん•••大、丈夫•••。」
まだまだ目眩が収まらない。霧島はミズキの近くにいるしかなかった。
“来るぞ。”
あの声がしてミズキは重い体を必死の思いで起き上がらせる。武器を握る腕には力が入っていない。
「雨音さん!無茶は」
「うし、ろ•••。」
「う、うわあああ!」
霧島が振り返るとそこに屍が立っている。
霧島の悲鳴に3人は振り返る。
「くそっ! 」
ハルも花村も囲まれており、今すぐ移動はできない。
「ミズキ!」
トウマの標準を合わせるが、すぐ近くに屍がわき対処できない。
「にげて•••!」
「あ、雨音さんに、触れるな!」
ミズキの制止も聞かず、霧島が手を広げミズキの前に立った。屍はすぐに霧島に襲いかかり、霧島は目を瞑った。
「おりゃ!」
そこに瓜生が軽々と大剣を振り下ろす。
「瓜生さん!」
「すまん、他のシェルターの沸き潰しをしていたら遅れた!」
瓜生は霧島とミズキを見下ろす。
霧島の膝はガクガクと震えている。
「助かった。ミズキちゃん、もう大丈夫だからな。」
そう言って瓜生が花村達と合流し、次々となぎ倒して行った。
「瓜生さん、なんかおかしくないですか?」
「あぁ、だから”沸き潰し”た。ここにもいる可能性がある。花村、気を引き締めろ。」
「はい!」
瓜生と花村は一抹の不安と違和感を抱えながらも制圧に向かう。