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あいる
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君が亡くなって一年が経った。
俺は新しい恋人を作ろうとしなかった。
今も一人、君と住んでいた家で暮らしている。
君のアクセサリーも小物も全てあの時のあの場所。
一人の寝室は少し広い気がした。
半年前まで、君のいないこの家が、
ひどく嫌だったのに
今はもうすっかり慣れてしまっている。
一つ変わったところと言えば、
煙草を吸い始めたこと。
リラックスできるから吸い始めたと
言っても過言ではない。
りうらがいなくなったことがきっかけで
少し苛々することが増えた。
だから煙草に手を染めた。
もし、りうらがまだ生きてたら、身体に悪い
とか言って止めてくるんだろうな。
なんて考えながら今日もベランダで
煙草に火をつける。
息を吐くと、白い煙が空へ流れていく。
煙を目で追いかけていると青い空が
視界に入ってきた。
「お墓参り、行こうかな」
ふと、口にした言葉。
俺は貴重品だけ持って家を出た。
街の雰囲気はとても明るいのに、
俺だけが違う世界にいるかのようで
居心地が悪かった。
「花、買って行こ」
数ヶ月前の墓参りから足を運んでないから
もう、花たちは枯れているだろう。
菊や、カーネーションなどの花たちを
二つずつ買い、店を出た。
大神家と書かれた墓の前にしゃがんで、
柄杓で水を掬い、優しく洗う。
「今日は快晴だよ、りうら」
墓に向かい喋りかける。
聞こえないのは分かってるけれど、そうすることで
安心してしまう俺がいる。
「菊とカーネーション買ってきたんだ」
そう呟きながら、花立に買ってきた花を生ける。
次に手を合わせてりうらの心と繋がる。
目を瞑り、りうらに今日も好きだよ。と伝える。
この思いが伝わったかは分からないけれど、
伝わっていると信じて、目をそっと開ける。
「また来るよ」
そう言い残して立ち上がり、荷物を元あった所に
返しにいった。
コメント
1件
無愛。さん、第2話読みました〜!😭💕 りうらちゃんが亡くなって一年、煙草を吸い始めた主人公の変化がとてもリアルで胸が痛い…。ベランダで煙を追いかけるところとか、空を見上げて「お墓参り、行こうかな」って呟くシーン、すごくエモかったです。菊とカーネーションを買って、優しく墓を洗う描写からは静かな愛情が伝わってきて、最後の「また来るよ」にじんわりきました。続きも気になります…! また感想書きますね🌸